著者
山内 乾史
出版者
佛教大学教育学部学会
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
no.20, pp.175-188, 2021-03-18

現在,「ブラック校則」をめぐる議論が盛んである。しかし,校則をめぐる学術的議論は極めて少ない。本稿では,その数少ない校則をめぐる学術的議論およびその周囲の議論を取り上げ,校則とは何かを問い,校則と道徳の関係を検討することを目的とする。具体的には,まず先行研究を概観し,校則をめぐる議論を整理した。ついで,青春ドラマ(学園ドラマ)に現れた教師像の分析を通じて,教師・校則と学校文化との関係を検討した。従来の研究においては,校則は「明文化されたもの」と考えられているが,明文化されないものも含めて,校則は規則の類に留まらず学校文化の中に「学校的なるもの」として埋め込まれたものをも含めて成立するのであり,学校文化=文脈を考えて検討すべきものであると論じた。ブラック校則合理性学校的なるもの学校文化青春ドラマ(学園ドラマ)
著者
原 清治 山内 乾史 浅田 瞳
出版者
佛教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

いじめはこれまでにも子どもたちや社会の様態にあわせてさまざまに深化してきた。今日では「匿名性」を特徴とするネットやケータイを利用したいじめが多く発生している。本研究ではネットいじめの発生要因にについて分析し、ネットいじめの新たな視点を提供することを目的とした。結果として、ネットいじめの要因として(1)ケータイの依存度の高さ(ケータイの使用時間、メールの送信回数)、(2)性別、といった従来の要因だけではなく、(3)学力移動によってネットいじめの被害に大きな差異が生じることが明らかとなった。また、(4)学校によってネットいじめの被害に大きな差異はみられず、学校文化による影響をネットいじめは受けにくいことも明らかとなった。
著者
山内 乾史 南部 広孝
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.9-25, 2013-05-30 (Released:2019-05-13)
参考文献数
19

本稿は,比較教育研究の観点から見た高等教育研究の状況について検討することを目的としている.もともと高等教育は国境を越える性格を有していることから,わが国の高等教育研究において比較という研究手法は当初から意識されてきた.日本高等教育学会と日本比較教育学会の学会誌掲載論文の比較では,対象地域の広がりの点で違いはあるものの,どちらも「合わせ鏡」的研究が多く,近年「トランスナショナル研究」の増加が見られるという共通の傾向が確認された.また,年次大会における研究発表題目の分析からは,両学会ともに大学教育の内実に関わる研究が限定的であることが浮かび上がった.互換可能性を高める改革の要請やトランスナショナル高等教育の新たな展開などが強まっている現在,比較という手法はますます重要性を増すと考えられる.