著者
山田 尚勇
出版者
国立情報学研究所
雑誌
学術情報センター紀要 (ISSN:09135022)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.81-109, 1998-03

本稿では、まずごく初歩的な数理的分析を通して、かつて日本の思想を風靡した精神主義の非合理性を検討し、大東亜戦争における日本の敗北の真の一因を明らかにする。その上で、そうした思想を醸し出す一端となった、日本語の表記法の問題点を検討し、この間題についてはわれわれの多くがいまだに不合理な思考の枠に囚われていることを指摘する。
著者
小島 秀一 高須 淳宏 安達 淳
出版者
国立情報学研究所
雑誌
NII journal (ISSN:13459996)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.23-35, 2002-03-29
被引用文献数
6

Web上に散在する情報を扱い易くするための手段として,サイト上のページをグループ化するという方法を提案する.意味的に関連した文書をひとまとまりにすることにより,サイトの全体像をユーザへ提示することなどが可能となる.従来の文書の自動分類などでは文書間の類似度を利用して処理が行われているが,本手法ではページ間のリンク構造に着目してサイト内のページ集合をWebグラフとみなし,強連結成分をグループとして抽出することを試みている.またグループは階層的な構造をしているので,その階層構造を抽出するために強連結成分の分割を行っている.
著者
根岸 正光 山田 尚勇
出版者
国立情報学研究所
雑誌
学術情報センター紀要 (ISSN:09135022)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.27-39, 1992-12-25

わが国の学術論文では、外国論文に比べて、一般に共著者の数が多いといわれることがある。この背景には、わが国における研究活動のあり方、さらには、わが国の文化的社会的風土があるはずである。本稿は、文献データベースによる共著者数の統計的調査のための予備調査の結果報告と、多数連名の論文を生む、わが国の研究環境に関する試論よりなる。予備調査における日米比較では、わが国の論文のほうが著者数が多いという結果がえられたが、研究分野別間での差異が予想されるので、今後の本格調査設計上の要件をまとめる。後半では、共著論文の性格と創造性、学術雑誌の編集方針に関して、欧米とわが国の相違を、事例を通じて比較検討し、今後、情報メディアの発達が共同研究の実施を一層容易にする反面、成果の発表においては個別化・個性化をもたらす可能性を考える。
著者
山田 尚勇
出版者
国立情報学研究所
雑誌
学術情報センター紀要 (ISSN:09135022)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.253-311, 1995-03-31

多様性を持つ人類は、いろいろな能力において個人差が大きい。その中でも感覚器系の能力が他と大きく異なっている人たちとして、先天盲や先天聾の人たちがある。そのほか、難読症者の中にも感覚器系の異状によるものがみられる。さらには、異状の程度としては低いものと思われている人たちとして、左利きがある。 また人類を他の動物から大きく引き離している能力の一つとして、言語の使用がある。この言語には、もっともふつうなものである音声言語のほかに、それを墨字や、盲人の用いる触字(点字)に写した文章があり、またそれらとは少し系統の異なるものとして、今では手話が自己完結の言語として認められている。 本稿では上記の感覚障害者たちが、必要に合わせて適当な特殊言語を用いているのに並行して発現する、大脳の言語処理機能の特殊性や異状性について、手話の活用を中心に、脳科学的、心理物理学的な一般向けの展望を試みる。 さらに健常者が手話という特殊言語を第2言語として習得し駆使しようとするときに起こる一般的な問題と、その軽減の可能性について考察をする。
著者
杉本 晃宏 松山 隆司
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究では、ユーザが手にし、それを持ち変えて観測している物体を装着型視覚センサでとらえ、その物体の3次元形状、及び、表面情報を復元する手法の確立を目指している。本研究によって得られた成果は、以下のようにまとめられる。1.装着型能動視覚センサを用いた視線検出:視線測定装置とコンピュータ制御可能な2台の首振りカメラで構成される装着型能動視覚センサを構築した。そして、視線測定装置と2台の首振りカメラを強調させることによって、周囲の奥行きが場所毎に大きく変わる環境でも、正確にその視線情報を検出する手法を考案した。2.3次元把持物体の形状復元:把持物体の全形状を復元するためには、物体を手で持ち変える前後で復元された部分形状を張り合わせる必要がある。本研究では、復元された部分形状を距離画像として捉え、物体表面の局所構造を保持する距離画像の張り合わせ手法を考案した。3.3次元把持物体の表面情報の復元:対象物を手で持ち変える前後で得られた画像群の明度情報を解析して、環境中での証明の強度と物体表面の反射特性との両方を推定する手法を開発した。本手法は、複雑な分布をもつ一般照明下において反射率を正確に推定することが可能であるという点において従来手法にはない特長を備えている。4.装着型能動視覚センサを用いた運動推定:2台の能動カメラそれぞれを注視点制御することにより、3次元空間中を自由に移動する人物の運動を逐次的に推定する手法を考案した。本手法は、装着した2台のカメラの基線長に依存せずに、長い運動に対しても、高精度な推定を安定に実現する手法となっている。