著者
市川 隆一 氏原 秀樹 田尻 拓也 荒木 健太郎 藤田 実季子 太田 雄策
出版者
国立研究開発法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2023-04-01

顕著な積乱雲発達時や線状降水帯下での豪雨リスク等、気象ジオハザード(Geohazard)軽減を目指して、地球の中性大気中の水蒸気の3次元構造を精度良くかつリアルタイムに把握・監視する技術の確立を目指す。具体的には、約1kmメッシュの多点稠密GNSS(全地球測位衛星システム)観測網と新開発の機動観測型超広帯域マイクロ波放射計等から得られた水蒸気情報に基づいて水蒸気トモグラフィー解析を行い、これを踏まえて高時空分解能で水蒸気の動態予測手法を向上させ、気象ジオハザード軽減に資する、豪雨発生の2時間ないし3時間前からの積乱雲の発生・発達を予測可能な手法の構築を目指す。
著者
雨宮 薫
出版者
国立研究開発法人情報通信研究機構
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では、訓練による運動習熟が時を経てどのように保存され、適応されていくのかを検討することにある。そのために、まず普段使用することのない運動学習を訓練させ、その後のブランク後にどのように獲得した技能が思い起こされるか、また思い起こされる技能は、最初の技能獲得時の運動技能レベルにどれほどよるのかを検討することを念頭に、初期の運動学習を設定した。この実験では、被験者に普段使用することのない左手の薬指と小指を自己最速スピードで交互に動かす訓練を繰り返し行ってもらった。技能レベルを操作する目的で、自主的に訓練をするグループ、そして受動的にロボットにより介助され訓練をするグループを設けた。通常、受動的な訓練は効果が限定的であることが知られているが、自分の能力を超えたスピードを経験する訓練効果については未だ効果が検証されていない。そこで、自己能力を上回るスピードで受動訓練をうけるSuper passiveトレーニンググループ、自己能力レベルと同じスピードで受動訓練をうけるSelf passiveトレーニンググループを設けることで、技能レベルが操作できるかを検討した。さらに、受動訓練が下方方向にも影響を与えるかを検討するために、自己能力レベルを下回るLow passiveトレーニンググループを設けた。結果、Super passive群は、自主的に訓練するグループの半分の訓練試行数で同等レベルの訓練効果を得ることがわかった。また、Self passive群やLow passive群の訓練効果より訓練効果が高く、受動訓練の直後にパフォーマンスが高くなる傾向が見られた。以上のことは、受動的にうける訓練内容により、パフォーマンスが通常訓練より促進される方向にも、抑制する方向にも影響することを示している。こうして得られた技能差や学習の相違を元に、次はブランクをへての学習の蓄積について検討する。
著者
川上 彰
出版者
国立研究開発法人情報通信研究機構
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

中赤外光を直接整流して電力抽出を行う光レクテナの開発を目指し、マイクロストリップ線路および分布定数型Metal-Insulator-Metal (MIM)トンネルダイオードの研究を行った。電子線描画装置を用いた金属薄膜の微細加工プロセスを開発し、中赤外光領域におけるマイクロストリップ共振器を作製した。分光器を用いて共振器を評価することで、中赤外光領域におけるマイクロストリップ線路の位相定数の評価を行った。更にMIMダイオードの試作を行い、正負非対称の非線形特性を観察した。
著者
逵本 吉朗
出版者
国立研究開発法人情報通信研究機構
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では、単一光子間の和周波発生(SFG)を用いた量子もつれ交換高度化の世界初の原理検証実験を目標に研究を行っている。この目標を達成するためには、量子もつれ光子対の高効率な生成・検出システムの確立と、高効率かつ安定なSFGモジュールの作成を含めた量子インターフェースを開発することが必要である。今年度は、周期分極反転ニオブ酸リチウム導波路(PPLN/W)をサニャック干渉計へ組み込み、高輝度量子もつれ光子対源および高効率なSFGモジュールを開発した。まず、中心波長 775nmのモードロックレーザでPPLN/Wを励起し、量子もつれ光子対を生成した。次に、得られた光子対を中心波長1535nm/1565nm・波長幅0.9nmの周波数フィルタで狭窄化し、この帯域内での同時検出レートを超伝導単一光子検出器(SSPD)で検出した。量子もつれ光子対の検出レートは最大で1.4MHzに達し、光子対の高効率な生成・検出システムの確立に成功した。この成果については現在論文を執筆中である。また、SFGモジュールの立ち上げを行った。92%以上という非常に高い効率でレーザ光を結合させることに成功し、第二高調波発生(SHG)の規格化変換効率1129 [%/W]を得た。これにより、SFGモジュール単体で見ても先行研究よりも高いSFG変換効率を有していることを確認した。さらに、PPLN/Wにより生成したSHG光を励起光源として応用し、非常に大きい平均光子数(1程度)を有する量子もつれ光子対の生成に成功した。これまでの研究で、この様な量子もつれ光子対を用いることで、その非局所性を最大限に利用することができるというシミュレーション結果を得ており、その予測を実験的に裏付けることに成功した。この成果については米国物理学会誌Physical Review Aに掲載された。
著者
山岸 典子 Matthew de Brecht
出版者
国立研究開発法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

同じ人が同じ作業をやる時でも、ある時はうまくでき、あるときはうまくできない。この違いは、作業を行った時の注意や準備状態に大きく左右されている。本研究では研究代表者が開発した「準備内観報告パラダイム」による行動実験の知見を基に、準備状況の進行過程の神経メカニズムを明らかにすることを主目的とした。「準備内観報告パラダイム」に基づいたfMRI並びにMEG実験を実施し、rCMAが準備に関わる脳部位であることを特定した。また、リアルタイムで脳活動を読みだしコーディングができるハードウェアシステムを構築し、脳活動から被験者の注意や準備状況を推定することに成功した。
著者
高口 太朗
出版者
国立研究開発法人情報通信研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本年度は、以下の通り研究を行った。まず、本研究開始までに研究に着手していたネットワークにおけるグループ抽出手法を引用ネットワークに特化させるよう改良を行った。次に、改良した手法を複数の実際の引用ネットワークデータに適用し、グループ構造についての統計的分析を行った。その結果として、本手法が論文タイトルに含まれる語句の意味でグループ構造を捉えていることを確認した。また、研究分野ごとの特徴的な引用パターンについてもその存在を示唆する結果を得た。さらに、研究分野によらず複数の引用ネットワークデータに共通して現れる構造的な性質を見出した。これらの成果には下記2つの意義がある。1つは、提案の手法が引用ネットワークから意義のあるグループ構造を抽出できることを確認したことである。もう1つは、既存の研究分野分類やキーワードなどによらず引用関係のパターンにもとづいて研究分野や研究トピックを推定できる可能性を示したことにある。特に後者は、研究分野の融合と学際化が進む現状において研究分野の動向を客観的にとらえる1つのアプローチとして重要である。これらの研究成果については国内学会において発表を行った。
著者
長妻 努 国武 学 坂口 歌織
出版者
国立研究開発法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

極域短波レーダ及び磁力計の地上観測網とNASAの内部磁気圏探査衛星を用いた地上-衛星同時観測により、Pc5地磁気脈動の励起特性に関する研究を行った。その結果、太陽風動圧急増時に太陽風中の速度と磁気圏境界の速度によって形成されるケルビン-ヘルムホルツ不安定性によって励起される圧縮性のPc5地磁気脈動が存在することを明らかにした。また、中規模の地磁気嵐時の回復相においてPc5地磁気脈動強度が増加している様子を捉えた。
著者
片桐 祥雅 川原 靖弘 高田 哲 川又 敏男
出版者
国立研究開発法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ストレスによる知的労働生産性低下の防止を狙いに、深部脳活動の減弱が暑熱環境暴露や高負荷印加状態でいかに注意機能を低下させるかについて神経生理学的方法に基づき調べ、頭頸部冷却刺激を中心とする深部脳賦活法を検討した。結果、注意機能維持に深部脳の高い定常的活動度と抑制・賦活パターンを呈する同期的活動が重要であり、頭頸部冷刺激はこの深部脳活動増強に寄与することを明らかにした。さらに、深部脳活動が最大となる条件を心理学的指標との相関において明らかにした。