- 著者
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岩田 泰幸
岩田 朋文
- 出版者
- 埼玉県立自然の博物館
- 雑誌
- 埼玉県立自然の博物館研究報告 (ISSN:18818528)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, pp.39-46, 2019 (Released:2019-06-14)
ヤマガタトビイロトビケラ幼虫について,埼玉県内の荒川水系(上流から中流)で調査を実施した.本種は本州中部の山地帯においては普通種であり,その幼虫は晩秋から初夏にかけて河川の淵で多数見つかることが知られる.本報告では,埼玉県内における本種の追加記録を公表し,県内の本種の生息環境を主に河川形態に基づいて記載した.本種の生息環境と多くの個体が見つかった場所の特徴は,次の4つとなる:1)河川形態は一蛇行区間に複数の瀬と淵をもつAa型である,2)階段状の淵(S型の淵)を有する,3)淵には落ち葉など枯死植物体が多く積もる,4)特に淵の縁部に多くの個体が見られる.その一方で,ヤマガタトビイロトビケラに近縁なNothopsyche sp. NAの幼虫は,前者とは異なり,中流域の主に河川形態がBb型のところにおいて,R型あるいはM型の淵に繁茂する抽水植物(ヨシなど)の流水で洗われた根際から多くの個体が得られた.