著者
濱西 伸治 青木 良浩 和田 仁
出版者
宮城工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

まず,ヒトから計測可能な三種類の聴覚由来の生体反応を剣道の練習前後で測定した.その結果,DPOAEレベルは剣道の練習前後では有意な変化は見られなかった一方で,剣道の練習は,感覚細胞よりも脳の中枢により大きな影響を及ぼしていることが示唆された.また,FEM解析ソフトを用いて,面の打突部に打撃を与えたときの応力分布を解析した.その結果,打撃によって耳部よりも,頭頂部でのダメージが大きくなることが示唆された.
著者
和田 仁
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.161-169, 2016-06-30 (Released:2016-11-16)
参考文献数
32
被引用文献数
3

要旨: 五官 (視覚, 聴覚, 味覚, 嗅覚, 触覚) の中で, 聴覚器は空気の疎密波などの機械的振動を捉える器官である。 ヒトはこれを音として感じ取っている。 従って, この音を感じ取る感覚細胞のメカニクスも実にメカニカルである。 また, 我々の聴覚は非常に感度がよいが, これは2種類の感覚細胞, すなわち内有毛細胞と外有毛細胞がコルチ器の中で相互に協調することにより実現している。 本総説では, これまでの多くの研究者の研究成果を踏まえ, まず有毛細胞の構造について概説し, 次に内有毛細胞における音受容メカニズムについて説明する。 さらに, 内有毛細胞と外有毛細胞がいかに協調し合っているかについて講述する。
著者
和田 仁
出版者
香川高等専門学校
雑誌
高松工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:03899268)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.105-127, 2003-03

幕末から一歩遅れて,明治三年に結成された赤心報国党の「尊王懐夷」運動は,時勢遅れであったとの評価が一般的である。しかしそれは後世の「勤皇家」顕彰運動に伴う「政治的評価」にすぎないのではなかろうか。本稿では,赤心報国党の同志たちも幕末の尊王討幕派と同じく「草莽」の人々であったことに視点を据えて,同志の一人,篠原箭太郎の書簡等を通じて,再検討してゆくことにする。
著者
和田 仁 湯浅 有 小池 卓二 川瀬 哲明 高坂 知節
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.237-242, 1999-08-31 (Released:2010-04-30)
参考文献数
8

これまで, 耳小骨筋反射がCMや中耳インピーダンスに及ぼす影響は報告されているが, 耳小骨振動に及ぼす影響については明らかにされていない。 そこで, 我々は, 耳小骨各部位の振動速度を直接計測することが可能なレーザドップラ振動計を用いて, モルモットおよびウサギの対側刺激による耳小骨筋収縮前後での, 耳小骨の振動挙動変化を計測した。 そして, 刺激音圧の増大に伴い, 耳小骨振動振幅が減少し, また, 耳小骨振動の周波数が低いほど, 振幅の減少量が大きいことを明らかにした。 さらに, 反射前後で, 耳小骨の振動様式に生じる変化を推察した。
著者
和田 仁孝
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.413-430, 2004-03-31 (Released:2009-10-19)
参考文献数
15

法は, そもそも「自律的主体」概念を要とする近代の秩序編制装置として「法主体化のプロジェクト」を推進してきた.しかし, 皮肉にもそれが可能であったのは, 法と対峙した共同的社会組織が, 法の偏頗性に起因する機能不備を補完していたからにほかならなかった.しかし, 現在, 共同的社会組織の融解にともなって, 人々の法制度への要求は過剰化し, そのことで法の機能不全も露呈してきている.法はそれが本来想定した「法主体」とは異なる, 流動的で多元的な「個人化」の波に直面せざるを得なくなっているのである.「公」「私」の境界の崩壊によって流出した「感情」や「日常的正義感覚」が, 法の個々人による「自前の解釈」への応答を要求し, もはや法は, 普遍的に妥当する実体的規範を説得的に人々の前に提示できなくなってきている.近代の「普遍的正義」という正当化原理が, 「個人化」の動きの中で, もはや有効に作動しなくなっているのである.法という, 「個人」を超越する普遍性に根拠を置く制度, 「個人化」とは対極にあるはずの制度が, 現在の, この「個人化」の流れに直面したとき, そこでは何が生じているのだろうか.ある医療事故訴訟過程の中に見られる「個人化」への対応, 司法の周縁を調整的に拡張するADRの試みなどを, ここでは検討していくことにしたい.
著者
大山 健二 和田 仁 高坂 知節
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.46-55, 1992-02-29 (Released:2010-04-30)
参考文献数
16
被引用文献数
2

Distortion product otoacoustic emissions (DPOAE) の計測による蝸牛機能の評価の臨床的な有用性について検討を行った。 正常の聴力を有し中耳機能に問題がないと考えられた例では, f2/f1=1.2とした場合, 10kHzから500Hzまでのf2に対して2f1-f2の周波数において雑音レベル上10-35dBの安定したDPOAEが検出された。 感音性難聴耳では, その聴力に応じてDPOAEレベルの正常値からの偏倚が認められた。 DPOAEは誘発耳音響放射と比較すると, 反応の蝸牛内の場所への特異性がはるかに高いと考えられ, その測定値をDP audiogramとして記録すると聴力図と極めて良く一致するものが得られた。 いくつかの問題もあるが, 本法が今後外有毛細胞機能低下の蝸牛内分布に関する客観的な情報を得るための臨床的検査法として, 盛んに利用されていくことが予想される。
著者
青山 琢人 胡桃澤 清文 名和 豊春 大和田 仁
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.66-73, 2010

セメントペーストの反射電子像の画像解析から未水和セメント、水酸化カルシウム、粗大空隙の各相の自己相関関数を求め、セメントペーストの3次元イメージモデルの構築を行い、その3次元イメージモデルから塩化物イオンの拡散係数の推定を試みた。その結果、混和材を混入していないセメントペーストでは実測値に対し2分の1程度での推定を行うことができた。また、健全な試料の3次元イメージモデルからCa<sup>2+</sup>の溶脱を考慮し人工劣化試料の塩化物イオンの拡散係数の推定を行った結果、人工劣化試料の実測値に対し同一オーダーでの推定を行うことができた。
著者
和田 仁孝
出版者
The Japanese Association of Sociology of Law
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.43, pp.22-30,232, 1991-04-30 (Released:2009-01-15)

This paper examines the conditions on which small Claim litigation process canbe more favorably accepted by lay litigants. The point is that, beyond the role of legal decision-malcer, judges should give emotional support lay litrgauts to help them establish theiv own strnctnred idea of their problems. In order to make this judge's newrole workable, followiny alternative perceptions on litigation, lawyers and small claim cases must be emphasized:1) litigation as a process of transformation of each litigants idea of his problem, 2) judge as dispnte processor or negotiator (not as "legal" profession), 3) small claim case as a complex which consists of emotioual, societal and legal problems.
著者
和田 仁孝
出版者
日本法社会学会
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.43, pp.22-30,232, 1991

This paper examines the conditions on which small Claim litigation process canbe more favorably accepted by lay litigants. The point is that, beyond the role of legal decision-malcer, judges should give emotional support lay litrgauts to help them establish theiv own strnctnred idea of their problems. In order to make this judge's newrole workable, followiny alternative perceptions on litigation, lawyers and small claim cases must be emphasized:<br>1) litigation as a process of transformation of each litigants idea of his problem, <br>2) judge as dispnte processor or negotiator (not as "legal" profession), <br>3) small claim case as a complex which consists of emotioual, societal and legal problems.
著者
和田 仁 小林 俊光 高坂 知節
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

我々はこれまで、主に耳小骨連鎖離断・固着の診断を目的とする診断装置MIDDLE EAR ANALYSER(MEA)の開発を行ってきた。しかし、従来型インピーダンスメータ同様外耳道に挿入したプローブで測定するため、測定結果に及ぼす鼓膜の影響が大きく、アテレクタシスや鼓膜が薄い場合にはMEAによる耳小骨連鎖異常の診断は難しい。そこで本研究では、超音波を利用した、鼓膜物性値および厚さの測定手法を開発し、鼓膜物性値および厚さを定量的に測定することを試みる。これまでに1.外耳道に挿入できる超小型センサを試作し、内視鏡付きのマニピュレータ、カメラおよびモニタを組み合わせることにより、外耳道内を観察しながらセンサを自在に動かし、測定が行えるシステムを構築した。2.物性の異なる境界面での、超音波の反射と透過の割合を求めることができる、インピーダンス理論を適用し、システムの出力に対する式の導出を試みた。その結果、鼓膜密度を既知とすることで、鼓膜の厚さおよびヤング率を求めることが理論上可能であることが明かとなった。今後の計画1.構築したシステムを用いて、人工中耳モデル、側頭骨標本、正常者および鼓膜疾患例を測定する。2.測定および数値計算結果より、鼓膜物性値および厚さの定量的測定可能性について検討する。
著者
和田 仁 小林 俊光 未武 光子 豊島 勝
出版者
THE JAPAN OTOLOGICAL SOCIETY
雑誌
Ear Research Japan (ISSN:02889781)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.67-69, 1988 (Released:2011-08-11)
参考文献数
6

Temporal bones are extracted from fresh cadavers, and the condition of only the ear-drum attachment to the temporal bone is made. Then, the dynamical characteristics of the ear-drum of the specimen are measured with a newly developed measuring apparatus. At the same time, applying the impedance theory of the tube to the external auditory canal and the energy method to the ear-drum, the equation corresponding to the output of the apparatus is obtained. Comparing the measurement results and the numerical results, the Young's modulus EE and Damping parameterξE=cE/2 (mEkE) 1/2 are determined to be EE=3.25×108 dyn/cm2 andξE=0.158.
著者
高松 俊昭 和田 仁一 深田 栄一 松本 博志
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.781-787, 1980-12-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

放射線を用いて多孔質ポリテトラフルオロエチレン (EPTFE) の種々のグラフトポリマーを作り, それらの抗血栓性を調べた. EPTFEは内径10mm, 厚さ1mmの管状および厚さ0.79mmのシートを用い, ビニル系モノマーは酢酸ビニル (VAc), メタクリル酸メチル (MMA), スチレン (St) および2-ヒドロキシエチルメタクリラート (HEMA) であった. EPTFEはこれらのモノマー液中でγ線を照射し, グラフトポリマーを作製した. VAcグラフトポリマーの一部はビニルアルコール (VAl) に, Stグラフトポリマーの一部はスルホン化スチレンに変換した. これらのグラフトポリマーを室温で生理食塩水中で強制伸縮したときの吸水量を測った. その飽和吸水量はグラフト率や親水性の増加によって増加した. 生理食塩水に対する接触角は飽和吸水最の大きいものほど減少した. In vivoテストでの開存率はグラフト率が5%以下では良い結果を与え, VAl>MMA>VAc>St>スルホン化Stグラフトポリマーの順に低下した. スルホン化Stグラフトポリマーを犬の上大静脈に移植中, 溶血が起こり, 血栓による厚い内膜が早期に形成された.
著者
小林 俊光 川瀬 哲明 吉田 尚弘 大島 猛史 和田 仁 鈴木 陽一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

耳管開放症の疫学研究を行った。とくに慢性腎不全に伴う腎透析患者における耳管開放症の発症の実態を調査した。その結果、腎透析を行った147人中13人(8.8%)が透析後に耳管開放症を発症したことが透析病院での検診結果で判明した(Kawase T, et al.:参考文献)。腎透析と耳管開放症の関係を示した世界で初めての報告である。耳管開放症の画像診断を検討した。その結果、座位で行うCTが有用で臨床応用可能であることを示した。また、バルサルバ法の負荷によって、診断精度が向上することを示し、臨床的な重症度ともよく相関することを示した(Kikuchi T, et al.:参考文献)。耳管開放症・耳管閉鎖障害に影響する因子としての聴力の影響を検討した。その結果、耳管開放症の症状は難聴があると、軽減つることが判明した。例えば、鼓膜穿孔、耳硬化症、真珠腫などのために伝音難聴があると、経耳管的に中耳に伝達され知覚される自声が低く知覚されるために、耳管開放症の症状が軽減する。しかし、一度、手術などの治療によって、聴力が改善すると、知覚される自声が大きくなり、不快な症状が自覚されることとなる。このような病態を潜在性(隠蔽性)耳管開放症と新しく提唱した。中耳真珠腫においても、以上のメカニズムが働いているかどうかを、真珠腫新鮮例171例において検証した。真珠腫の中には約30%の鼻すすり型耳管開放症が含まれているが、鼻すすり(+)群と鼻すすり(-)群の聴力の比較を行ったところ、鼻すすり(+)群が有意に聴力は良好であった。また、術後に鼻すすりを継続した群は鼻すすりを停止した群よりも有意に聴力が良好であった。つまり、鼻すすり癖の停止、継続には、聴力が影響すること、そしてそれは自声強聴を知覚する度合いの違いによるものと解釈された(Hasegawa J, et al.:参考文献)。
著者
安藤 真好 和田 仁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.397, pp.31-34, 2002-10-17

内耳蝸牛基底板上に存在するコルチ器は,空気の疎密波である機械振動を電気信号に変換する働きを有している.この音受容のメカニズムを解明するには,コルチ器の振動挙動を明らかにする必要がある.しかし,コルチ器は蝸牛内に存在するため,生理的な状態で直接観測する事が困難である.そのため,その振動挙動は未だ明らかとなってはいない.そこで本研究では,コルチ器の複雑な構造を再現し,また,その周囲に存在するリンパ液も考慮したFEMモデルを構築した.本モデルを用い,まずコルチ器への入力である周囲のリンパ液の圧力を決定し,次にコルチ器の振動挙動を解析した.その結果,コルチ器は内柱細胞の基部を中心とした回転運動をすることが示唆された.