著者
山田 昭広
出版者
明星大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本課題の第2目的である本文批評については特記すべき事項はない。第1目的である古版本に見える書き込みの収集と整理が第2年目の研究の中核となった。その研究実績を以下に報告する。(1) 学会発表(a)平成10年8月に英国ストラットフォードで開催の第28回InternationalShakespeare Conferenceにおいて、“A Seventeenth-century Reader of King Lear,with SpecialReference to the Marginalia in a First Folio at Meisei University"を発表、英・米・加・伊・日・西などの研究者約30名からなる分科会で討議。討議内容は下に述べる図書の刊行に役立った。(b)日本シェイクスピア協会の依頼で、会報Shakespeare News(38巻2号、平成11年3月発行予定)のために「1630年頃のシェイクスピアの読者」を執筆、寄稿した。(c)名古屋大学英文学会第38回大会(平成11年4月24日)で「17世紀のシェイクスピア読者-1623年の戯曲集の欄外メモを中心にして」と題して講演の予定。(2) 図書刊行 平成10年12月、明星大学図書館所蔵のシェイクスピア本の書き込みについての研究The First Folio of Shakespeare:A Transcrjpt of Contemporary Marginalia in a Copy of theKodama Memorial Library of Meisei Universityを公刊した。お詫びと謝辞 本年度限りで明星大学を退職するので、本課題はここで打ち切らざるを得ない。申し訳ない。顧みれば、課題16件、延べ33年度分の科研費を受けて今日まで研究。心から感謝したい。
著者
山下 淳志郎 堤 史朗 中田 重厚
出版者
明星大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

この研究の目的は1890年代における近代製糸業の展開に伴う岡谷地域社会の構造転換の構造発生的把握である。その為1)岡谷近代製糸業成立・展開の構造的・機能的契機把握の問題、2)岡谷近代製糸業と経営・労務管理の展開、3)製糸労働力市場の再編と地主制共同体規制の三論点に焦点を絞り、国家・地域相互の媒介的規定関係を解明把握せんとした。岡谷近代器械製糸業は、地域レベルの自然的、社会構造的条件によるだけではなく、むしろ早急の近代化を目指す国家レベルにおける殖産興業政策の一環たる官による県営製糸場の設立、指導と民営育成促進の如き誘導勧業に応じ展開するが、国家独占資本蓄積機構整備上設置された国立銀行、その背後の日本銀行等金融関係による淘汰過程を通じて、片倉等大製糸の集中化とこれによる地域社会支配の構造基盤形成が現実化して行くのである。岡谷製糸業の労務管理施策は、その方向づけが農家経済の低生産性に依存する官僚主導案の中に先取り的に示され、その先導のもとで1870年代後半の開明社、80年の友誼社(工女取締り規則)、87年の共同揚返場の設立を経て、1902年の製糸同盟規約(女工登録制度)において整備され、工女労働力の確保は差別的に賞罰規定を含んだ等級賃金制によって果され、この事はまた貧困農家に原料繭の買い叩きを受認ならしめた。かくして製糸業労資関係は低生産の農家経済と封建的なイエ制度を構造的に組み込み、前近代性を性格付けられた。しかしこの前近代性の可能契機を成したのが、原料繭と工女労働力市場の調達を容易ならしめた地主制共同体規制の存在であるが、工女労働力市場の外延化に伴う労働力市場及び企業内支配秩序の機能的使い分けに依拠した地主制共同体規制の再編が、地域社会の全面的支配を完遂させ、岡谷近代器械製糸業の産業資本的発展を可能としたのである。
著者
宮本 昌幸 高原 英明
出版者
明星大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

昨年度に引き続き以下を行った。1.資料調査・データベースの構築 2.聞き取り調査 新幹線の技術開発にあたった当事者、関係者に5分野のインタビューを行い、証言記録として整理した。3.データ分析 聞き取り調査の結果と資料調査の結果について、整合性をとるための検証作業を行い、新幹線を完成させるために必要であった個々の要素技術を分析し整理した。最終年度なので以上得られた成果をまとめて以下の目次の報告書(300頁)を70部作成し、関係箇所に配布した。1.はじめに2.研究の目的3.研究の方法4.東海道新幹線の経緯4.1東海道新幹線以前の技術動向4.2東海道新幹線計画の具体化4.3東海道新幹線の着工から完成まで5.東海道新幹線の技術系譜5.1計画5.2軌道5.3分岐器5.4土木5.5車両5.6電力5.7集電5.8信号5.9その他5.10まとめ6.聞き取り調査記録6.1全体・車両:田中眞一氏6.2軌道:渡辺偕年氏6.3車両:石澤應彦氏6.4信号:遊佐 滉氏6.5電力:三浦梓氏6.6集電:織田修氏・滝澤伸一氏6.7土木:仁杉 巌氏6.8分岐器:佐藤泰生氏7.日本の技術開発7.1技術者に望まれること7.2世界との関連7.3現場の技術力の重要性7.4他分野技術の応用8.あとがき参考文献、新幹線関連雑誌記事調査リスト
著者
岡林 秀樹
出版者
明星大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究の目的は,高齢期における人生マネイジメント方略が高齢者夫婦の精神的健康にどのような影響をもたらしているのかを明らかにすることである。2011年に地域に居住する高齢者夫婦1500組に初回調査,2013年に3年後の追跡調査を行った。初回調査に回答した498組の夫婦のデータを解析した結果,「否定的なイベントを受容できる柔軟な態度」が夫と妻それぞれの幸福感にとって重要であることが明らかになった。また,夫の「否定的なイベントを受容したり,老化に伴う喪失を補償しようとする柔軟な態度」が妻の幸福感にとって重要であることが明らかになったが,妻のそのような態度は夫の幸福感に影響を及ぼさなかった。