著者
熊谷 一郎 村井 祐一 藤本 修平
出版者
明星大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

平成30年度は,平成29年度に行った実験準備を基に以下の項目を実施した.①翼型気泡発生装置の深喫水船舶への拡張に関する実験研究代表者の熊谷(明星大学)は,10m/sの流速が得られる海上技術安全研究所の小型高速チャネルを用い,実船の巡航速度における翼型気泡発生装置の空気導入性能および気泡生成過程を調べるための実験を行った.その結果,流速9m/sにおいて,翼の負圧による空気導入流量が約50l/minに達することが確認できた.一方で,流速が5m/sを超える場合には,翼周りにair cavityが形成され,空気導入性能が低下することも確認された.しかしながらこの問題については,翼形状の最適化によって克服できることを明らかにした.さらに本実験では,新規開発した穴あき水中翼の空気導入性能に関する実験も行い,サブミクロンオーダーの微細気泡を大量発生させることに成功した.また研究分担者の村井(北海道大学)は,昨年度に引き続き,気液二相流の数値シミュレーションを行い,水面下を運動する翼による気液界面変形に関する計算を行った.次年度,実験成果との比較検討を行う予定となっている.②微小気泡による船舶抵抗低減法に関する船体壁面の傾斜や凹凸の依存性について研究分担者の藤本(海上技術安全研究所)は,ドック入り直後の船舶の表面を型取りし,その凹凸データを取得することに成功した.得られた壁面凹凸の特徴についての解析も行った.また,その結果を基に,気泡による船舶抵抗低減効果の船体壁面の凹凸の影響を調べるための実験準備を行った.具体的には,平成31年度(2019年度)の秋に,明星大学および海上技術安全研究所の水槽を用い,実船から得られた凹凸データから作成した模擬壁面を気泡流中に設置し,その抵抗低減効果について調べるための実験装置設計を行った.
著者
住本 規子
出版者
明星大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本課題はシェイクスピア・フォリオを中心として、現存するシェイクスピア戯曲の初期近代における出版物に残された当時の、特に17世紀の所有者/使用者(読者)の書き込みを読み解くことを目指しています。本年度は、ニューヨーク公共図書館にて、ファーストフォリオ(F1)2冊、セカンドフォリオ(F2)10冊、サードフォリオ(F3)3冊、フォースフォリオ(F4)4冊、同図書館バーグ文庫にてF1を1冊、F2を2冊、F3を2冊、F4を2冊、モーガン図書館にてF1を2冊、F2を3冊、F3を2冊、F4を2冊、フィラデルフィア自由図書館にてF1、F2,F3,F4を各1冊、さらにはストラットフォード・アポン・エイヴォンのシェイクスピアセンター図書館にて、F1を1冊、F2を6冊(うち1冊は非完全本)、F3を4冊(うち2冊は非完全本)、F4を4冊 および、12冊の初期クオート本の閲覧調査を実施することができました。すべてのフォリオに何らかの書き込みが見られました。また、書き込みが作品テクスト部分にないコピーでも、作品によりページの摩耗の違いが観察されるものがあり貴重な資料となる可能性があることに新たに気づくことができました。本課題にとってとりわけ注目すべきフォリオは、ニューヨーク公共図書館のF1のうちの一冊で、欄外の「名言なり」の意と考えられている'ap'という文字とテクストへの下線がセットになった書き込みを持つという点でも、複数サイズのページが混在するかたちで製本された寄せ集め本という点でもグラスゴー大学所蔵のF1によく似たケースであることが判明しました。コモンプレイシングマーカーは読者により様々な形をとり、しかもときどきで変化するゆたかな読書体験のあかしですが、その豊かな世界を記録する方法をみつけることに挑戦していきたいと考えています。
著者
藤本 正治
出版者
明星大学
巻号頁・発行日
2006

博士論文
著者
田沼 伸久
出版者
明星大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2017

本研究は、特許データに基づき企業のイノベーション活動についての計量分析を行い、その結果を可視化することで、視覚的に地域の産業構造を分析することを支援するシステムを開発することを目的とする。本研究で提案する手法により地域企業のイノベーション活動を可視化することは、地方行政の地域産業に対する理解度を高めることを支援するものであり、地方行政の産業振興政策の立案に大いに役立つものであり、産学官連携によるオープンイノベーション型の地域産業基盤の形成にも寄与するものと考えている。分析対象地域を東京都日野市、府中市、八王子市とし、当該地域におけるイノベーション活動の可視化を試みた。3市は、大手企業の本社機能や研究開発拠点が数多くあり、それらを中心とした中小企業の産業基盤が形成された国内有数の産業集積地域である。出願時期が2004年から2014年の公開特許公報を対象とし、発明者の住所から研究開発が行われている事業所を推定し、①地域別特許出願数の推移、②1事業所あたりの出願数、③ツリーマップによる地域別の事業者の多様性分析を行った。これらの分析の結果、地域別の出願推移(イノベーション活動の推移)とその特性が明らかとなり、どの地域においても減少方向であることが明らかとなった。また、1事業所当たりの特許出願数を地域別に比較したところ、他の2市に比べて、日野市が飛躍的に高い値を示していることが分かった。ツリーマップによる3市の事業所の多様性を分析したことにより、地域産業のイノベーション活動という視点になった各地域の産業構造を明らかにすることができた。また、それらの3市における2004年と2014年の比較を行った結果、年代の違いによる産業構造の変化を視覚的に明らかにすることができた。
著者
内海 敦子 JUKES Anthony LESTARI Sri Budi PAAT Hendrik
出版者
明星大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

最終的な遂行後の文章私の研究題目は「インドネシア国スラウェシ島の絶滅危機言語の多面的記述と言語データのアーカイブ化」で、平成23年度から平成26年度の四年間にわたって以下の三つの活動を行った。第一に会話やナラティブ・スピーチなどの自然言語、及び芸能や儀式など文化活動の映像・音声データを採集しアーカイブ化することで、同時に申請者の研究成果を英語で出版する。第二に現地および他国の研究者と共同でそれらの言語の記述を進め、大量のデータを活かした言語の多様な側面の分析を行うこと。第三に民族語からインドネシア語マナド方言への言語シフトと言語態度に関する社会言語学的調査を行うことである。
著者
布施 光代
出版者
明星大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,小学校の児童の積極的授業参加行動のうち授業に集中して聴き,教師の指示に従うなどの授業の基本となる行動である「注視・傾聴」行動に注目し,その行動を促進する要因,阻害する要因を検討した。また,実際の小学校の授業観察の結果から,「注視・傾聴」行動の多い児童,少ない児童の行動の特徴を描き出した。これらの結果をもとに,「注視・傾聴」行動を促進するためのプログラムを検討したい。
著者
盛本 圭一
出版者
明星大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

近年の日本で議論されている消費税制の変更や家計間の経済格差の問題を現実的背景として,家計の異質性と消費税の効果の関係を現代的なマクロ経済モデルを用いて理論的に分析した.特に家計間で起こる資源の再分配効果に焦点を当て,それが集計変数の動学に対して及ぼす影響を調べた.また,その研究過程で財政問題の基礎として公的債務残高拡大の問題とそれへの対応が重要な意味を持つことが判明し,欧州型の財政規律の場合を例にとってそのテーマを理論的に研究した.