著者
入江 晶子 黒野 智子
出版者
聖隷クリストファー大学
雑誌
聖隷クリストファー大学看護学部紀要 (ISSN:13482017)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.115-122, 2005-03-31

近年、「思春期の保健対策の強化と健康教育の推進」対策が、様々な形で行われている。それらの中で、"同世代の仲間同士での知識の共有をはかる"、ピアエデュケーションの手法が注目されてきている。そこで今回、大学生と比較的年代の近い高等学校の1〜2年生を対象に、大学3年次の看護学生が健康教育の授業の一環として、「ダイエット」「喫煙と飲酒」「性教育」の3テーマで健康教育を実施する試みを行い、その効果について検討した。その結果、受講者の高校生において、健康教育の効果が見られた内容があった。また、健康教育を実施した看護学生も自分達の行ったことを肯定的に受け止めていた。これらから、今回の試みにおいて、対象者と実施者双方に成果があったことが示唆された。
著者
篁 宗一
出版者
聖隷クリストファー大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2009

早期介入を目的として、精神科看護師ら精神保健専門職と協働して小学生を対象としたメンタルヘルス教育を開発し、効果を測定した。小学6年生の115名を対象に調査した。過去一年間に悩みを抱えた者は52.8%と多かった。対象者を二群に分けて、教育プログラムの有無によって教育効果を測定した。介入群では知識尺度で介入後の得点の上昇が有意にみられた。ストレスコーピングの「サポート希求」の項目にも有意な変化がみられたことから、教育には対象者が悩みを抱えた際の相談につながる効果があることが示唆された。
著者
坂田 五月
出版者
聖隷クリストファー大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、ゴム製湯たんぽと電気毛布の違いによる保温と安楽の効果を、性別に注目して比較検討した。研究の同意を得た健康な成人17名(平成13年度は9名、平成14年度は8名)を対象に2種類の温罨法を実施し、生理学的指標、主観的評価、寝床気候の変化を検証し、以下の結果を得た。1.ゴム製湯たんぽの足趾の皮膚温・皮膚血流量・冷感は、電気毛布より早期に改善し、実験の60分以降でほぼ平衡状態を保った。また、迷走神経活動を亢進させ交感神経活動を抑制する傾向がみられ、これらの結果は平成13年度のものと一致していた。男女の比較では、ゴム製湯たんぽの足趾の皮膚温・皮膚血流量・冷感・口渇感・快適感に性別による相違は認められなかった。2.電気毛布は足趾の皮膚血流量(p<0.01)、全身温冷感(p<0.01)に性別による相違が認められ、25分以降で女性が男性よりも高値となった。また、全身温冷感は120分間を通して男性の方が高値であった。しかし、ゴム製湯たんぽと同様に、足趾の皮膚温・口渇感・快適感では性別による相違が認められなかった。3.温罨法を実施しないコントロールでは、足趾の皮膚温(p<0.01)および皮膚血流量(pく0.01)、口渇感(p<0.01)、快適感(p<0.05)に有意差が認められ、それぞれの120分値は女性の方が男性よりも高値となった。電気毛布の継続的使用による交換神経活動の亢進、ゴム製湯たんぽの安楽の効果については、平成13年度の結果と一致していた。これに加えて、本研究で得た性別に関する結果も、看護者が温罨法の器具を選択する上で有効な基礎的資料と成りえる事が示唆された。
著者
大城 昌平 藤本 栄子 小島 千枝子 中路 純子 池田 泰子 水池 千尋 飯嶋 重雄 福永 博文
出版者
聖隷クリストファー大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、ハイリスク児の出生早期からの発達と育児支援の方法を開発し、フォローアップシステムを構築することを目的とした。その結果、出生早期からの親子の関係性を視点とした"family centered care"によるディベロップメンタルケアの取り組みが、児の行動発達、両親の心理的安定、育児の自信につながることが示された。また、そのような取り組みには、関係専門職者に対する、ディベロップメンタルケアの理論的実践的な教育の機会を提供し、低出生体重児・早産児のケアの質を改善することが急務の課題であると考えられた。
著者
坂田 五月
出版者
聖隷クリストファー大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

【はじめに】温罨法は、身体の一部に温熱刺激を与えることにより保温と筋緊張緩和を促進する看護技術である。これまでの研究に引き続き平成18年度の研究では、熱源が異なる器具を用いた場合の保温と安楽の効果に注目した。【研究方法】対象は研究協力の同意が得られた成人24名。実験は冬季に実施し、温度は20℃、相対湿度50%に調節した。下着と長袖寝衣を着用し、掛け物はアクリル毛布1枚とした。15分間の安静臥床の後に毛布で身体を被覆した。湯たんぽを貼用した。生理学的指標としてR-R間隔、表面皮膚温度、腋窩温、皮膚血流量、寝床内の温湿度を連続測定し、R-R間隔より心拍数と心拍変動解析によるHF、LF成分を求めた。HFのパワー値を副交感神経反応の指標、LFとHF成分の比(LF/HF)を交感神経反応の指標とした。心理学的指標として温冷感と湿度感、快適感をそれぞれリカートスケールで得点化した。統計解析、Wilcoxonの順位和検定により基準値との差とSpearmanの相関により各項目間の関連性を検証した。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮】聖隷クリストファー大学倫理委員会による承認を得て実施した。【結果】安静臥床終了時の足趾皮膚表面温度21.86±3.48℃、寝床の足元温度21.85±2.64℃、足趾温冷感-2.83±0.92点。HFのパワー値は45分まで上昇し、30分と45分で基準値との間に有意差を認めた。全身温冷感は快適感との間に高い正の相関(r=0.703)が認めた。足趾温冷感は快適感(r=0.664)とHFのパワー値(r=0.255)との間に正の相関を認めた。【考察】足元に使用した湯たんぽによる皮膚表面への温熱刺激は、身体の温冷感を改善し副交感神経の活動を亢進させる。湯たんぽの効果は60分を目安に評価し、湯たんぽの温湯の交換や足浴など保温や安楽を促進する援助を再検討する必要がある。
著者
池田 泰子 足立 さつき 中野 泰志
出版者
聖隷クリストファー大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

研究成果は、(1)ひらがな文字に関する課題(絵記号の理解課題から文章読解課題)の健常児データを整理し、2013年7月に「ひらがな文字検査」を発売する。(2)今まで明らかにされていなかった音韻分解と音韻抽出能力がひらがなの読み書きにどのように影響しているのかを明らかにした。(3)文字の読み、書きではない関連課題23課題を3歳~6歳の健常児に実施し、スクリーニングに有効な課題として18課題が検出された。
著者
春名 苗
出版者
聖隷クリストファー大学
雑誌
聖隷クリストファー大学社会福祉学部紀要 (ISSN:13481975)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.17-27, 2007-03

本論文では、在宅介護支援センターの創設から現在までの変遷を、基礎作りがなされた「創設期」、地域に定着し機能が拡充してきた「定礎期」、介護保険導入の検討で混乱した「変動期」、居宅介護支援事業に傾注しながらも再構築が試みられた「再編期」、介護保険の見直しと共に統廃合の危機にさらされてきた「不穏期」、介護保険改正案が出されて地域包括支援センターが法制化された「混乱期」、と6つの時期区分に沿って整理している。それによって在宅介護支援センターが今まで果たしてきた役割を検討するとともに、在宅介護支援センターの機能と地域包括支援センターの機能の違い、地域包括支援センターを取り巻く問題を論じている。