著者
梅津 信幸
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

遺構の発掘は基本的に破壊的な検査であり、遺構実測図はその過程を記録する最も重要な記録の一つである。多くの実測図は発掘現場で手描きで作成された後にスキャンされ、考古学者が多大な時間をかけて多数の点をクリックして手作業でベクトル形式に変換する。本研究で提案するラスター・ベクター変換アルゴリズムにより、そのような非効率な状況が改善された。イスラエルのテル・レヘシュ遺跡の実測図をスキャンして用いたベクトル化の実験から、提案するアルゴリズムによって手作業によるクリックと編集の負担が大幅に軽減されることが確認された。
著者
上地 勝
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

[目的]本研究は、中学生の不登校の予防、あるいはその兆候発見の一助となるよう、不登校傾向と関連する要因を明らかにすることを目的とした。[対象と方法]茨城県内7市町村の公立中学校7校に在籍する生徒3,011人を調査対象とした。回収率は96.6%(2,908人)であった。調査項目は不登校傾向、基本特性(性別、学年)、行動特性(部活動参加、学校以外での勉強、保健室の利用頻度、家族行事への参加)、健康習慣(睡眠、運動、朝食の摂取状況、間食、喫煙経験、飲酒経験)、心理社会的要因(抑うつ症状、日常生活ストレッサー、セルフエスティーム、ソーシャルサポート)であった。不登校傾向の定義は「過去1年間で、学校に行くのが嫌で学校を1日以上休んだ経験あり」とした。統計解析にはロジスティック回帰分析を用い、オッズ比とその95%信頼区間を算出し、不登校傾向と各項目の関連性を検討した。[結果]303人(10.4%)の生徒が不登校傾向にあった。不登校傾向の生徒は男子より女子、1年生より2、3年生に多く見られた。保健室利用頻度、抑うつ症状は不登校傾向と強い関連を示し、抑うつ症状の得点が高くなるにつれて、また、保健室の利用頻度が高くなるにつれてオッズ比が有意に上昇した。睡眠習慣との関連について、不登校傾向群の生徒は一般群と比較して睡眠時間が短く、就床時刻が遅い傾向にあった。睡眠時間が7時間未満の生徒は、7〜9時間の生徒に比べ不登校傾向のリスクが高く、オッズ比は1.67であった。また、就床時刻が午前1時以降の生徒は、午後11時前の生徒に比べてリスクが高く、オッズ比は2.35であった。起床時刻と不登校傾向との関連は見られなかった。本研究で明らかになった要因については、不登校の予防要因、あるいは不登校予備群のスクリーニング項目として今後詳細に検討していく必要があるものと思われる。
著者
安 龍洙
出版者
茨城大学
雑誌
茨城大学留学生センター紀要 (ISSN:13481088)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.35-48, 2004-02

本稿では、非現場指示のうち指示対象が文章素材に限られており、従来の指示詞の習得研究では詳しく検討されていない「単純照応指示」を取り上げ、韓国人学習者と中国人学習者を対象に使用上の特徴を探った。その結果、1)学習者の母語と日本語の指示詞が類似していても、習得が容易でない場合があること、2)誤用の面からは母語の干渉による誤用が存在する一方で、日本語の指示詞の規則を間違って推測して生まれたと思われる誤用も存在すること、3)韓国人学習者、中国人学習者ともに学習が進むにつれて現場指示的な性質が強いコ系より非現場指示的な性質が強いソ系を優先するようになること、の3点が示された。