著者
山形 菜々子 上地 勝 青栁 直子 引原 有輝 渡邊 將司
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
pp.2301, (Released:2023-04-21)

目的:幼児期における身体活動量と運動能力が横断的,縦断的にどの程度,またどのように関わっているのかを分析した。 方法:対象は2018年度から2020年度までに入園した66名の幼稚園児で3年間の追跡調査に参加した。身体活動量は加速度計を用いて評価し,中高強度身体活動(MVPA)を算出した。運動能力は,25m走,立幅跳,ボール投,捕球であった。因果関係の分析には,構造方程式モデリングを用いてパス解析をおこなった。 結果:横断的にみると,年中のMVPAと各運動能力はそれぞれ弱~中程度の相関が認められた(r=-.637~.450)。年長はボール投と捕球に相関が認められた(r=.294)が,それ以外では認められなかった。縦断的にみると,年少のMVPAは年中のMVPAに対して中程度の影響(β=.405)を与え,年長のMVPAに対しては弱い影響(β=.352)を与えた。また,年中の立幅跳は年長のMVPAに対して弱い影響を与えた(β=.317)。年中の各運動能力は,年長の各運動能力に対して弱~中程度の影響を与えた(β=-.280~.527)。 結論:年中の身体活動量と各運動能力は関連があった。年長はボール投と捕球以外で関連がなかった。年少の身体活動量は年中・年長の身体活動量に影響を与えた。遊びの内容や質が変化することで,運動能力は身体活動量に間接的な影響を与えていたと推察される。このような特徴を踏まえ,段階的なアプローチをおこなうことが求められるだろう。
著者
杉崎 弘周 物部 博文 上地 勝 藤原 昌太 山田 浩平 沢田 真喜子 森 良一 横嶋 剛 植田 誠治
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.623-630, 2021 (Released:2021-09-18)
参考文献数
25

This study aimed to clarify the problems related to students’ health and safety at school and identify teachers’ needs for learning in a teacher training course by conducting a survey for yogo teachers who were experts in school health and safety. Except for training courses for yogo teachers or health and physical education teachers, there are no compulsory subjects regarding problems related to student health and safety at school. Moreover, previous reports have indicated that general teachers found it difficult to deal with topics related to student health and safety. We surveyed 2,992 yogo teachers randomly selected from across the country and 1,196 responses were received (response rate 40. 0%). The results indicated that mental care, first aid, and developmental disabilities accounted for more than 80% of the problems experienced by yogo teachers related to student health and safety. It was also suggested that the number of years of experience was related to problem perception. Among the topics that needed to be learned at the teacher preparation stage, cardiopulmonary resuscitation, developmental disorders, mental care, allergies, heat stroke, and use of an EpiPen accounted for a high proportion, while chronic diseases, eating disorders, cooperation with other staff (for safety), and orthostatic dysregulation accounted for a low proportion. The present results need to be considered when developing training content required for incumbent teachers and novice teachers, and when discussing the subjects required for teacher training courses. This would also help teachers to respond effectively to problems related to student health and safety at school.
著者
佐藤 啓一 安富 徳光 野入 重春 上地 勝則
出版者
Japanese Society for Tropical Agriculture
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-5, 1982-03-01 (Released:2010-03-19)
参考文献数
6

沖繩で試験栽培されている果樹マカダミアの成木を調査し, 沖繩における本種の開花盛期, 果実の肥大期, 収穫期を明らかにし, 沖繩で本種の経済栽培を図る上で検討すべき問題点としては, 防風林対策と生理落果の防止が重要であることがわかった.
著者
上地 勝
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

[目的]本研究は、中学生の不登校の予防、あるいはその兆候発見の一助となるよう、不登校傾向と関連する要因を明らかにすることを目的とした。[対象と方法]茨城県内7市町村の公立中学校7校に在籍する生徒3,011人を調査対象とした。回収率は96.6%(2,908人)であった。調査項目は不登校傾向、基本特性(性別、学年)、行動特性(部活動参加、学校以外での勉強、保健室の利用頻度、家族行事への参加)、健康習慣(睡眠、運動、朝食の摂取状況、間食、喫煙経験、飲酒経験)、心理社会的要因(抑うつ症状、日常生活ストレッサー、セルフエスティーム、ソーシャルサポート)であった。不登校傾向の定義は「過去1年間で、学校に行くのが嫌で学校を1日以上休んだ経験あり」とした。統計解析にはロジスティック回帰分析を用い、オッズ比とその95%信頼区間を算出し、不登校傾向と各項目の関連性を検討した。[結果]303人(10.4%)の生徒が不登校傾向にあった。不登校傾向の生徒は男子より女子、1年生より2、3年生に多く見られた。保健室利用頻度、抑うつ症状は不登校傾向と強い関連を示し、抑うつ症状の得点が高くなるにつれて、また、保健室の利用頻度が高くなるにつれてオッズ比が有意に上昇した。睡眠習慣との関連について、不登校傾向群の生徒は一般群と比較して睡眠時間が短く、就床時刻が遅い傾向にあった。睡眠時間が7時間未満の生徒は、7〜9時間の生徒に比べ不登校傾向のリスクが高く、オッズ比は1.67であった。また、就床時刻が午前1時以降の生徒は、午後11時前の生徒に比べてリスクが高く、オッズ比は2.35であった。起床時刻と不登校傾向との関連は見られなかった。本研究で明らかになった要因については、不登校の予防要因、あるいは不登校予備群のスクリーニング項目として今後詳細に検討していく必要があるものと思われる。