著者
立川 雅司 三上 直之 櫻井 清一 山口 富子 大山 利男 松尾 真紀子 高橋 祐一郎
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

近年、食品安全におけるゼロ・トレランスを消費者に訴求する傾向がみられ(「不使用」「検出ゼロ」など)、消費者もこうした情報に敏感に反応する傾向がある。ゼロトレ対応は様々な問題を生じさせており、その実態解明と対応方策が求められている。本研究の目的は、こうした対応、言説に着目し、複数の事例を比較分析しつつ、その背景と影響、関係者間での合意基盤を明らかにすることである。本研究では、食品安全に関してゼロトレ対応の諸問題に関して、多角的に分析するとともに、政府による情報発信の課題を明らかにした。またゼロトレ志向の消費者の特徴を明らかにすると共に、模擬的討議を通じて合意基盤の可能性について検討した。
著者
垣本 直人
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、リチウムイオン電池を組み込んだ太陽光発電のHEMSを開発した。まず、過去30年間の日射量データを解析することにより太陽光発電の信頼性を検討した。一日の供給量と電池の容量から供給が不足する日数が1年に10日くらいになるよう設定した。解析にはマルコフモデルを用いた。つぎに実験を2年間行い、1年目の不足日数が7日、2年目は2日であることを確かめた。また、電池の劣化特性を測定した。使用した電池では約750回の充放電が可能であった。電池のモデル化を行い、充放電の電荷量によって劣化が進行することを示した。
著者
岡本 美子
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

惑星系形成の場としての星周円盤の性質を、円盤ダストの空間分布の観点から明らかにするため、8mすばる望遠鏡の中間赤外線観測装置COMICS等を用いた星周円盤ダストの観測を進めた。この結果、いくつかの著しく広がった円盤を発見し、特に大きな広がりを持つ天体の性質を詳しく調べた。10太陽質量星周の円盤1個については、その10-1000AUスケールの構造・フレア構造・温度分布・ダストの性質などを解明した。この円盤は、太陽質量程度の星の周囲の円盤でも期待されるような熱的構造を示す一方で、存在するシリケイトダストの種類は、低質量星周とはかなり異なり、プラズマ等による変性の可能性が示唆される。
著者
猪井 新一
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

茨城県内の公立小学校8校(児童1524人、指導者46人)に協力をいただき,授業参観ならびに,外国語活動に関わるアンケート調査を実施した。主に5,6年生の児童及びその学級担任のデータを分析、両者の相関関係の有無を分析した。結果,児童の外国語(英語)や英語授業の好意度,英語学習意欲,活動に対する自信の程度,及び学級担任の英語や英語授業の好意度,満足度,英語教員免許有無の有無等の間には何ら関係性はみられなかった。これはTTによる外国語活動の授業において,ほとんどのHRTが主指導者として授業を展開していないことによるものである。
著者
岡安 隆 柳田 伸顕 古田 高士
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

〈研究分担者柳田伸顕〉研究代表者の岡安隆氏はある種の微分方程式を巧みに使うことにより、最近、Euclid空間内の完備な正定曲率超曲面を具体的に構成し日本数学会のジャーナルに出版している。そのアイデアを使いWeingarten超曲面を具体的に構成しようとしていた。研究はうまく進んでいると聞いていたが、昨年の12月に突然その岡安隆氏が亡くなったので、その内容は永久に分からなくなってしまった。なお研究分担者の柳田伸顕は、Weingarten超曲面を具体的に構成とは直接関係はないが、ある種の群のChow環を岡安隆氏の影響を受け、幾何学見地から調べてやはり今年度、日本数学会のジャーナルに出版している。〈研究分担者古田高士〉ユークリッド空間内に、直交群の部分群の作用の下で不変であるという高い対称性をもった、完備極小超曲面を構成することができ、それらは13種類の多様体のいずれかに微分同型で、各種類において合同でないものが無限個構成することができることを示した。EBombieri, EDeGiorgiとEGiustiによる構成をその他の余等質=2の表現に拡張したものであるとともに、Bombieri達の証明法とは全く違う手法をとることにより、非常に簡単に大域的な解の存在を示すことができた。このタイプの極小超曲面は岡安自身の1999年度~2000年度の基盤研究(C)で得られたものしか知られていず、まったく新しい発見である。この手法は双曲空間に自然に作用する直交群の部分群で余等質=2の表現について、完備極小超曲面の構成について理論が発展できる。
著者
牧山 正男
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

茨城県霞ヶ浦周辺におけるレンコン収穫の際の濁水について,作業を行う農地や作業時間の調整などによって抑制できるのではないかとの仮説のもとで,各種の調査を行った。その結果,1)全国のレンコン収穫方法およびその変遷について整理した。また茨城県の水掘りの特異性について把握した。2)農作業の実態を踏まえて,作業を休憩している時間における節水や,洗浄水の扱いなどに一考の余地があることを提示した。
著者
渡辺 邦夫
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

アリストテレスの倫理学と心の哲学が心身関係論を回避せず積極的に荷担したことを示した。かれは徳の説明において感情の状況に応じた「量」にかかわる主張を提出し、状況に応じた直観的認知としての実践的知性から行動が起こると説明したと解釈した。意志の弱さの問題をめぐってもかれは心身因果にかかわる解明を遂行した。心の哲学ではアリストテレスが、欲求を補佐して行動を生む認知の問題に取り組み、行動における人間の認知を、規範という視点から考察しつつ、心身一元論を守ったと解釈した。またかれはスキルや知識や道徳性の学習成果が付帯的知覚としても知性認識としても現れると考えており、知性主義的で一元論的であったと解釈した。
著者
蓮井 誠一郎
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では、ラオスでのクラスター爆弾に特徴づけられる不発弾(UXO)汚染の問題を現地調査を用いて調査した。本研究では、ラオス北部シェンクワン、ルアンパバーン、中部ロンチェン、南部セコンを中心に調査した。調査によって、(1)ラオスでの深刻なクラスター爆弾の汚染状況、(2)地域開発や貧富の格差とUXOの関係、(3)気候変動による洪水とUXOの関係、(4)処理活動における政策上の課題が明らかになった。また、同様にUXOに汚染されている沖縄、茨城の問題を明らかにし、「3.11」後の放射能汚染についてもUXO問題との重要な類似点を明らかにすることができた。
著者
加藤 敏弘 岡本 研二 吉野 聡 森田 勝
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

ゴール型の運動課題を誘発するゲームの条件を明らかにし、複数のミニゲーム(手合わせゲーム等)を開発した。その運動課題に応じた評価の観点を含む単元計画を立案し、中学2年生に実施したところ、高い評価を得た。また、ボールを持たないときの動きの指導について、バスケットボールを部活動で指導している教員を対象に調査したところ、子どもたちがゲームの中で工夫するより前に学習すべき内容を先取りして教えてしまう傾向がみられ、指導観の変容には時間がかかることが明らかになった。
著者
渡邉 尭 野澤 恵
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

太陽活動周期の上昇期から極大期に及ぶ1997-1999年に発生したCMEに伴う惑星間空間衝撃波の伝播特性を調べた.主なデータ源は,人工衛星や電波シンチレーション観測によって得られた太陽風データと,「ようこう」やSOHOなどの太陽観測衛星によって得られたコロナ画像である.この研究によって明らかになったことは,CMEの発生・伝播において,コロナ・太陽風における磁気中性面の役割が本質的に重要である,という点である.CMEの形状と磁気中性面との関係については,磁気中性面が惑星間空間衝撃波の伝播に対して,磁気中性面の方向に低速度の部分が形成されたり,惑星間空間衝撃波の広がりを制限することが示されたが,その後の研究により,CMEの一見複雑に見える構造は,コロナ中のsource surface近辺の磁気中性面に沿って,CMEが形成されていることが明らかとなり,磁気中性面はCMEの発生源となると同時に,CMEや惑星間空間衝撃波の伝搬特性を規制する,という複雑な役割を持っていることが分かった.次いで,CMEや惑星間空間衝撃波による高エネルギー粒子加速についても研究を行った.地上レベルでもそのような高エネルギー粒子が観測されるケースでは,フレアが太陽の西半球において発生していることが多いが,これは太陽と地球を結ぶ磁力線が太陽面を出発する経度である,太陽子午線の西60度の近辺に,800km/secを越える高速のCMEや惑星間空間衝撃波が存在することを示唆している.そのため,例えフレアが東半球で発生しても,CMEや惑星間空間衝撃波が十分な拡がりを持っていれば高エネルギー粒子現象が起こりうる.本研究ではこの点についても,実際の観測例によって確認した.また,CMEを発生させる要因は,コロナ磁場に蓄えられた磁場のエネルギーであることは,以前より指摘されている.その蓄積がどのような形で行われているかを見るため,「ようこう」による軟X線コロナ画像により,プロミネンス爆発が数回発生した場所を数太陽回転にわたって追跡したところ,磁場構造の複雑化に伴って,ポテンシャル磁場を仮定して計算した磁場構造に対して,軟X線コロナ・ループがなす角度が次第に大きくなり,プロミネンス爆発(CME発生)のあと,磁場構造が単純化するとともに,この角度も減少し,エネルギー状態に変化が起きた例がいくつか見られた.
著者
臼坂 高司
出版者
茨城大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究では,システム理論(制御理論)的アプローチを用いることで,『教師-学習者』の関係を近似した学習環境を提供できる学習支援システムの構築を行った。システムの構築には,制御工学の分野において1980年代より研究されている内部モデル制御(IMC)を応用した。題材にはフローチャート学習を取り上げ,調査協力者は大学生59名である。シミュレーションの結果,開発したシステムの有効性が検証された。
著者
宮崎 章夫 矢野 伸裕
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究の目的は、高齢ドライバーが示すリスクテイキング行動(Risk Taking Behavior, RTB)の特徴を解明し、それを防止するドライバー教育の方法を検討することである。調査の結果、高齢ドライバーは周囲の車両から物理的・精神的な圧力を受けており、その圧力から逃避するためにRTBをとりやすいことが明らかになった。こうした知見を自動車教習所指導員へ伝えたうえで、指導員同志の集団討議をおこない、RTBを防止するための助言・指導の方法を検討した。
著者
長谷川 博
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

時系列データ解析を基礎とした非平衡熱・統計力学の帰納的構築に関する研究を行った。化学振動反応時系列データおよび企業の売上・利益時系列データの解析を行い有意義な結果を得た。また非平衡熱・統計力学についても理論的研究を進めた。(1)熱力学における仕事についての揺動散逸定理を示した。すなわち仕事はエントロピー関数の時間偏微分の自己相関関数として厳密に表される。系が長時間相関を持つ場合、ヒステリス・ループの面積(仕事)に操作周期についてフラクタル・スケーリングが現れることを示した。長時間相関を持つハミルトニアン・カオス力学系による数値シミュレーションで検証した[論文1]。(2)Bromate-Sulfite-Ferrocyanide(BSF)反応振動時系列データをParticle Filterを用いて解析することで、Rabai-Kaminaga-Hanazakiによる反応モデルを改良し、定常・振動の相図を定量的に検証することに成功した[発表1]。(3)東証上場企業の売上・利益時系列データを解析し、自己組織化臨界現象としてのPareto分布を流入のあるときの安定固有超関数として解釈することで、経済系と物理系を共通の視点で捉えることができるようにした[発表2]。(4)仕事についての不等式すなわち熱力学第2法則を、一般の非平衡初期状態についても、成立するように拡張することに成功した。同時に可逆な力学と不可逆な熱力学との関係について、ハミルトニアン・カオス力学系を基礎に解明した[発表3,4]。
著者
安藤 寿男 長谷川 卓 太田 亨 山本 正伸 長谷部 徳子 高橋 正道 長谷川 精
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

モンゴル南東部の白亜紀中期(シネフダグ層)とジュラ紀中期(エーデムト層)の湖成層を対象に,(1)炭素同位体比,カイエビ化石,凝灰岩のF-T年代などに基づく年代層序の構築と,(2)岩相変化(頁岩・ドロマイト互層)から復元した湖水位変動の周期解析,鉱物・主要元素組成による化学風化度変動,有機化学指標(TEX_<86>)による湖水温復元などに基づく古環境変動復元を行い,モンゴル湖成層には,白亜紀中期温室期に頻発した海洋無酸素事変期(OAE1a~1b)の,地球軌道要素を反映した降水量および古気温変動が記録されている.
著者
成澤 才彦 太田 寛行 佐藤 嘉則
出版者
茨城大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

多くの分類群を含む菌株を供試して,内生バクテリアの存在を確認したところ,接合菌類からPCR増幅を確認できた.検出されたバクテリアは, M. elongataより検出されている内生バクテリアの近縁種であった.Veronaeopsis simplex 3菌株を供試して,内生バクテリアの検出および系統解析を行った. DNA抽出を行い PCR増幅を行った. その後,クローンライブラリー解析に供し,内生バクテリアの同定を行った.解析の結果,V. simplex 3菌株から共通してRhizobium属細菌が検出され,これらが宿主植物の生育に関わっていることが推察された.
著者
日下 裕弘
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、自然の中で仲間と思いっきり楽しく遊び、活動する諸実践の分析を通じて、「フロー」状態にある子どもが、「他者」(自然、仲間、規範など)を、自らの身体に練り込む過程を、主として、市川の現象学的身体論やワロンの情動論の視角から明らかにした。茨城県で実施されている自然遊び・体験学習には様々なものがあったが、本研究では特に比較的長期の「夏の自然遊び合宿」(4泊5日)と「山中友子隊体験村」(29泊30日)に焦点をあて、分析・考察を深めた。前者については、「光るどろだんごづくり」を事例に、子どもたちが自然を身体に練り込む過程を、遊戯世界を構成する6つの契機((1)自由への離脱・没入・一体化、(2)どろだんごの変身、(3)遊び手とどろだんごの関係の深まり、(4)遊び手の二重存在、(5)独自の遊戯世界の生成、(6)遊び手のアイデンティティの確認)に分け、これらの「こころの契機」が、実は、意識下の身体のはたらき(例えば、体感、身体感覚、錯綜、受動的統合など)を基盤とし、それらに結びついてはじめて成立することを明らかにした。後者については、自然の中での1か月にわたる長期の体験学習が、喜怒哀楽をすべて含めた、深い「情動の体験」であること、また、子どもたちが「がんばり」と「協力・励まし合い」の体験を通じて、自らの身体に練り込んだ「他者」(他人、自然、仲間、リーダー、規範など)が、意識下の深い層に烙印され、意識下の他の「引き出し」と様々なかたちで錯綜しつつ、変質し、やがて、チャンネルとモードの切り替えによって、有意味な顕在的行動となって現れることを、「体験・追跡調査」によって明らかにした。
著者
有賀 絵理
出版者
茨城大学
雑誌
茨城大学地域総合研究所年報 (ISSN:03882950)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.77-85, 2007

少子高齢化が進むにつれ,災害弱者は障がい者よりも高齢者の方が,実数・割合とも高くなってきている。これまでは,災害弱者イコール障がい者と見る傾向が多かったが,現実は,高齢者の救護・介護の一部として,災害弱者の避難方法を取り上げざるを得なくなってきた。そのためには,全ての人間が安全で健康的な生活を保障するユニバーサルデザインの社会が要求される。災害避難を実施する場合,災害の情報を正確に伝える,そして,対応は,自宅待機,緊急避難,生活場所移動,町の廃棄まで,いろんな段階がある。これらの対応に,住民が自治体の指導の下に,一致協力して被害を最小限に食い止める災害避難・防災が人類共通の課題となる。勿論,災害発生・場所などの規模の大小は大きい。これらの災害に対して,被害を最小にする対応には,災害弱者の実数・生活場所を確認し,通常の救護・介護体制を把握し,災害発生時の地域社会の救援体制整備が不可欠である。本研究では,第一段階として,災害情報連絡の周知体制の整備を検討したい。