著者
皆月 昭則
出版者
釧路公立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本年度の研究は,未解決であったマタニティの通院・買い物など移動時の見守りおよび破水の知識学習の支援機能を開発し検証した.見守り支援では非都市部・都市部のマタニティに限らず,1人ひとりの居住地域から店舗や病院までの移動経路が異なるため,移動中においては,各マタニティに合わせた移動における異常データを1つの正解データとして設定することが困難である.そこで深層学習の理論で移動時の異常データを導出し判定する機能を開発した.異常が判定された場合は,マタニティのスマートフォンに安否確認を促し(アプリのポップアップが表示),ポップアップに1分以内にタッチしなければ,あらかじめ登録しておいたマタニティ以外(家族)へ自動通知するように実装した.検証方法は,医療者・妊娠経験者を対象としてアプリの機能の使用感検証・アンケート調査を実施した.使用感検証においては,アプリのデバイス使用者30人,アンケート調査は44人に対して実施した.デバイス使用者の使用感検証の質問では,長距離移動中のQ1.見守り機能についての評価,Q2陣痛の計測・記録機能について評価した.評価方法は【満足・ほぼ満足・普通・やや不満足・不満足】の5段階評価で回答を得た.結果は,Q1.およびQ2.に対して,肯定的な回答が74.9%と高い評価が得られた.次に,Q3.破水の知識,Q4.前駆陣痛・分娩陣痛の知識の認知を質問した.評価方法は【用語を説明できる・用語のみ認知・知らない】の3段階評価で回答を得た.結果は,「用語のみ認知」という回答が,Q3.で70.5%,Q4.で46.3%の結果であった.使用感検証の結果から,開発した見守り支援能が肯定的で高い評価であり,有用性が確認できた.アンケート調査の結果では,医療者および妊娠経験者を対象としても,半数近くが重要な用語に対して,用語の認知段階であることが明らかになった.
著者
皆月 昭則 西川 奏 三好 邦彦 渋谷 卓磨 土田 栞
出版者
釧路公立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

医療資源の集約化による地方・地域の長距離移動マタニティの存在を明確化して,マタニティ支援アプリを開発した.アプリは,スマートフォンとクラウド基盤によって,妊娠期のマタニティへ情報・知識を表示する機能や妊娠後期においては陣痛推移機能と記録の共有が可能である.開発では,地域の行政の保健師・医療機関の専門家の知見を用いながら実装し,医療者の検証によって改良したアプリケーションをホームページサイトで公開配付した.
著者
大貫 隆史
出版者
釧路公立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,第二次大戦後英国に登場した,いわゆる「ニューウェイフ(New Wave)」と呼ばれる劇作家の中でも,社会改良を掲げて大きな反響を呼んだアーノルド・ウェスカーを,その主たる対象とするものである。その際,階層問題などの社会的背景との関連性を明らかにすることで,また,ウェスカーに関係する作家達にも目を向けることで,分析の充実を図り,再評価を行うことを目指した。二年目にあたる本年度では,ポピュラー・カルチャーの問題性を厳しく指摘し,否定的な立場を取るウェスカーが,聖別化もされていなければ,その一方で,大衆性の「烙印」を押されることのないような形の演劇を,どのように求めることになったのか,という問題を検討すべく,米国内アーカイヴでの調査資料を含む,ウェスカー関連資料の読解を行った。また,社会的背景と演劇作品の関わりを考察する上で,作品の「形式性」を慎重に検討するため,ウェスカーに限らず広く戦後英国の「社会的」劇作家一般という観点をとり,ウェスカー作品との関連性が強く指摘されるD.Edgar,Maydaysの分析を,本年度の研究目的に含まれる関連作家研究の一環として実施し,英国の「社会的」劇作家がその問題系を提示する際に共通して抱えると考えられる形式的問題点,つまり,悲劇的要素の抑圧とアイロニー形式の浮上という点について考察を深めた。この成果は,アメリカ演劇に対して応用されている文化の社会学的手法を,イギリス演劇に適用する際の妥当性を検討する際にも,示唆するものが大きいものと思われる。この観点を充分に生かしつつ,ウェスカー作品上演に関する文化の社会学的分析について,論文化の可能性を本研究は今後も継続して模索してゆく。
著者
藤田 祐
出版者
釧路公立大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

1890年代のイギリスにおける進化社会理論と政治思想のコンテクストで、『社会進化』で展開されたキッドの社会進化論における〈機会の平等〉概念の位置づけを分析し、〈機会の平等〉を中心理念に据えたウォレスの進化社会主義と比較対照した。両者の特徴的な共通点は、〈機会の平等〉をダーウィンの生物進化メカニズムと結びつけている点である。また、1890年代前後に雑誌や新聞に掲載された社会問題をめぐる議論を調査し、進化社会理論において〈機会の平等〉概念が展開したコンテクストを探究した。以上の分析を通じて、同時代のイギリスにおける〈機会の平等〉概念の勃興に進化理論が一定の役割を演じたという仮説が導き出された。
著者
小野瀬 善行
出版者
釧路公立大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

1980年代にオルタナティブな教員資格認定制度(alternative routes to teacher certification、以下ARTC)を導入すべきと述べたマーティン・ハバーマン(Martin Haberman)の主張やテキサス州における議論を分析することにより、導入当初、ARTCは、大都市部を抱える学校区において、臨時免許状や無資格の教員を減らすという、社会的公正の達成という観点が含まれていることを確認した。
著者
金原 いれいね
出版者
釧路公立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

発話と、手を使って図像的に概念を表すことができる身振りの関連性について、発話処理の過程で、二つのモジュールが独立しているのか、相互にモニタリングを介して結びついているのか調べた。手を板に固定して身振りの産出を制限する条件と、自由に身振りが使用できる条件のもとで、説明課題に参加してもらうことによって、話し手の流暢性、擬音語・擬態語の頻度、声の質など、発話の側面に変化が生じるかどうか明らかにした。