著者
柳下 正治 石川 雅紀 廣瀬 幸雄 杉浦 淳吉 西村 一彦 涌田 幸宏 岡山 朋子 水野 洋子 前田 洋枝 松野 正太郎
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.49-58, 2004
被引用文献数
1 1

本稿では, 科学技術振興機構の社会技術研究プログラム「循環型社会」において採択された「市民参加による循環型社会の創生に関する研究 (2002~05年) 」として2002~03年度に実施した「ステークホルダー会議」を報告し, その結果の評価を試みる. 本研究では, 市民参加プロセスとして参加型会議「ハイブリッド型会議」を採用した. ハイブリッド型会議はステークホルダー会議と市民パネル会議から構成される. ステークホルダー会議では, 名古屋のごみ減量化取組に係わった多くのセクターの代表者の参加の下, 目指すべき循環型社会を考えるための多様な論点を検討し, それを評価軸に用いて名古屋のごみ減量化取組の評価を行うとともに, 更に名古屋が目指すべき循環型社会を具体的に検討するための要件を抽出した.
著者
身崎 成紀
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.313-320, 2004
被引用文献数
1

リコール隠し, 危険情報の隠匿等, 昨今製品出荷後に製造業者が危険を認知したにもかかわらず, 放置あるいは迅速に対応しなかったことによって消費者の人身事故につながる, といった事例が散見される. 現在, 様々な製品分野でリコールに関する法制度が運用されているが, 各種製品分野の制度の横断的比較や他国における取り組みとの国際比較を通して, 現状の制度の整備・改善方策の示唆を得ることができる. 具体的には, 製造業者が管理する製品の危険情報の公表等による製品事故の再発防止, リコール法制度の見直し・整備, あるいは製造業者から行政・消費者に対する情報開示・報告制度の新設などを検討する必要がある.
著者
藤井 聡 吉川 肇子 竹村 和久
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.399-405, 2004
被引用文献数
1 2

本論文では、東電シュラウド問題が発覚する以前と以後の首都圏に住む成人男女の意識調査の結果を報告した前報 (藤井・吉川・竹村, 2003) に続き、1年後に再度調査した結果を含めて分析し、この3時点での人びとの意識の変化を検討する. 分析の結果, 事件直後において原子力発電のリスクに対する危険意識や恐怖感が上昇し, その一方で, 原子力発電の安全管理に対する信頼が低下していること, そして, 1年の経過に伴って僅かな信頼の回復が見られたものの, 依然として低下した信頼は低下したままの水準を保っていることが明らかにされた.
著者
清野 純史 古川 愛子
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.425-434, 2004

1995年の阪神・淡路大震災では, 震度7という激しい揺れに襲われ多くの住宅が倒壊し, 6,400人余の尊い人命が失われた. 死因の大多数を占めた窒息・圧死の場合はほぼ即死状態であったとみられており, 救出が早ければ命が助かったと思える人は極めて少数で, 住居がしっかりしているかどうかが生死を分けたと言える. このような建物倒壊による人的被害を評価するため, 筆者らは個別要素法を用いた解析手法を提案している. 本研究では, 接触ばねを材料特性に基づくヘルツの定理により算定し, ジョイント部を代表的なほぞモデルから決定することで, より現実に近いモデル化を行った. 2階建の木造骨組建物に対して手法を適用し, 挙動および建物内の人が受ける衝撃力を算出し, 地震時の建物倒壊による人的被害に対して検討を行った.
著者
堀 郁夫 川端 鋭憲
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.414-424, 2004
被引用文献数
1

2003年9月26日に北海道十勝沖でマグニチュード8の巨大地震が発生した. この地震により北海道苫小牧市にある石油精製の製油所で原油タンクおよびナフサタンクで火災が発生した. 内容物のナフサは約44時間にわたって炎上しタンクは全焼した. 地域住民は燃え盛る火炎を見て恐怖感に襲われるとともに企業に対する不信感を抱いた.<br>本報では, 地震による危険物タンクの火災事故の事実関係, 耐震設計, 地震動と社会問題について技術的および社会的視点から考察し, 特殊領域の専門知識と一般住民知識の乖離が生ずる中での情報開示のあり方を社会問題として考察した.