著者
石川 雅紀
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.106-114, 2019-03-30 (Released:2020-04-28)
参考文献数
15

海洋プラスチックごみ問題では,動的側面,国際的側面,問題・対策の多様性が重要であり,対策を考える上では,原因となる製品を A) 通常の使用状況でマイクロプラスチックとして排出する製品 ( 長寿命製品・短寿命製品 ),B) 散乱・不法投棄された後,その後マイクロプラスチック化する製品,C) 海洋に直接流出し,その後マイクロプラスチック化する製品に分類することを提案した。 対策の方向性としては,周辺途上国への日本の廃棄物管理制度確立の経験,技術,ノウハウ等の提供,支援,および,浮遊ごみの回収,および A) 群の製品 ( 歯磨き粉,洗顔料,タイヤ,人工芝,ドアマット等 ) に対する対策である。これらの製品の場合は,廃棄物問題として捉えられてこなかった問題であり,ただちに調査・研究するとともに,フローを抑制する対策が必要である。C) 群の漁具については,プラスチック使用量,排出量,産業廃棄物としての処理量等,基本的な情報がまったくなく,現状の把握が喫緊の課題であり,早急に調査を進めることが必要である。
著者
石川 雅紀
出版者
廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.268-274, 2015

本稿では日欧の循環政策を比較した。<br> EU は複数の PRO (Producer Responsibility Organization) を認め市場競争を利用して静脈市場を効率化し,日本は個別企業レベルでの環境配慮設計 (DfE) を促進している。競争を促進すればコストの低減が期待できるが,コスト情報の開示は困難で,情報開示度が下がり,フロー監視も困難となる。生産者と資源化事業者の間での契約も短期となり,情報のやりとりも難しく,DfE は効きにくい。<br> EU は超国家組織として,統合の深化を目指し,合意しやすい抽象化レベルの高い目標,政策の大枠,期限を設定し,実際の政策では各国が柔軟性をもって施行している。循環政策と資源政策の整合性をとりやすい。日本では,個別製品特性に配慮し,制度設計されているので,DfE は進むものと期待され,排出者責任原則も個人レベルで担保されるが,資源政策との統合は難しい。<br> 日本の家電リサイクル制度については,資源政策との整合性をどうとるのか,他のリサイクル制度も含めて検討することが必要である。
著者
山口 恵子 小島 理沙 石川 雅紀
出版者
環境科学会
雑誌
環境科学会誌 = Environmental science (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.375-380, 2010-09-30
被引用文献数
1

2007年2月、神戸市に立地するコープ六甲アイランド店にて、"「ごみ減量」市民の大実験!!簡易包装を買おうプロジェクト"が実施された。このプロジェクトでは、神戸大学の学生を中心とした特定非営利活動法人ごみじゃぱん(Gomi-jp)が、店舗内の食料品や生活雑貨品から包装ごみの少ない推奨商品を選定し、店頭広告・チラシ・イベントなど様々なメディアを用いて生活者に簡易包装商品の情報を発信した。本研究では、この実験で用いられたパブリックマーケティングアプローチ(PMA)に基づく減装(へらそう)ショッピングによって、簡易包装商品の需要に対してどのような影響を及ぼすのかをパネルデータモデルを用いて分析した。分析結果より、実験期間における生活雑貨品(推奨理由:詰め替え)カテゴリーの推奨商品の販売量はプラスの影響を受けていることが明らかにされた。さらに、実験期間を前半期間と後半期間に分けて分析した場合には、集中陳列棚を用いて効果的にアピールした後半期間にはプラスの効果が表れることが示された。結論として、PMAは容器包装ごみの発生抑制に有効であることが示された。
著者
柳下 正治 石川 雅紀 廣瀬 幸雄 杉浦 淳吉 西村 一彦 涌田 幸宏 岡山 朋子 水野 洋子 前田 洋枝 松野 正太郎
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.49-58, 2004
被引用文献数
1 1

本稿では, 科学技術振興機構の社会技術研究プログラム「循環型社会」において採択された「市民参加による循環型社会の創生に関する研究 (2002~05年) 」として2002~03年度に実施した「ステークホルダー会議」を報告し, その結果の評価を試みる. 本研究では, 市民参加プロセスとして参加型会議「ハイブリッド型会議」を採用した. ハイブリッド型会議はステークホルダー会議と市民パネル会議から構成される. ステークホルダー会議では, 名古屋のごみ減量化取組に係わった多くのセクターの代表者の参加の下, 目指すべき循環型社会を考えるための多様な論点を検討し, それを評価軸に用いて名古屋のごみ減量化取組の評価を行うとともに, 更に名古屋が目指すべき循環型社会を具体的に検討するための要件を抽出した.