著者
細馬 宏通
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.190, pp.83-86, 2011-08-19
参考文献数
4

漫才、コントにおけるボケとツッコミはどのようにマルチモーダルな相互作用を達成させているのだろうか。この問いを考えるために、ボケ発語中、もしくは直後とツッコミ行為との間に発生する「身体ノリ」の出現頻度と様式のバラエティを調べた。その結果、「身体ノリ」は観客の有無にかかわらず行われる一方で、観客のいる方が発生しやすく、また、同じネタでも観客の有無によってその表現は異なることがわかった。これらから考えると、「身体ノリ」は、あらかじめ決まった動作というよりは、その場でそのつど産み出される身体動作である可能性がある。さらに、「身体ノリ」の事例についてマイクロ分析を行ったところ、「身体ノリ」とツッコミ行為との間の切断点を強調すべく、最小単位の発語や動作の断片が挿入されることがあることが判った。また、観客の笑いは、ボケに含まれる笑いの認知点の直後に起こるとは限らず、ツッコミ役の行う「身体ノリ」とツッコミ行為によって段階的に起こりうることが判った。

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