著者
横尾 武夫 福江 純
出版者
大阪教育大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

本研究の目的は,理科教育特に天文学分野に関する教育用ソフトの改善と開発であり,その具体的な研究内容は(1)天文学を教材とする新しい教育用ソフトの開発(2)天文学教育用データベースの構築(3)教育現場で使用されている天文学関係の教育用ソフトの調査と分析である。この3年間の研究において,(1)については,地球や宇宙における現象をコンピュータ・シミュレーションで再現して,児童や生徒の学習と理解を助けることを目指している。この研究で開発したソフトの中に,コレオリカのシミュレーションがある。これは,シミュレーションを教具として位置付け,理解を難しい力学との問題について新しい観点にもとづいて開発したソフトであり,特に高等学級での活用を期待している。(2)については,特に,画像データベースの構築と,学術用データベースの教育的利用に重点をおいた。前者については,天体画像のデータベースの構築と検索システムの開発を行った。また本学における天体観測設備を用いた天体画像のア-カイブの構築を始めた。後者については,天文学のコミュニティーで流通している膨大なデータベースが,現在ではCD-ROMで利用できるので,これを教育の場で活用する先進的な実践的研究を行った。(3)についは,現段階では充分な成果を得ていない。なぜならば,この数年間で,マルティメディア等,コンピュータをとりまく環境が大きく変動し,教育用ソフトの改訂が急がれている状況が生まれた為であり今後,特にインターネットの発達と普及を教育の場でどのように位置づけるかが,大きな課題となっている。
著者
福江 純
出版者
天文教育普及研究会
雑誌
天文教育 (ISSN:1346616X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.34-40, 2004-09
著者
福江 純
出版者
日本天文学会
雑誌
天文月報 (ISSN:03742466)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.p11-14, 1989-01
著者
福江 純
出版者
日本天文学会
雑誌
天文月報 (ISSN:03742466)
巻号頁・発行日
vol.92, no.10, pp.514-520, 1999-09-20

時よ止まれ! 天文現象に限らず,たとえばミルククラウンのように,ある瞬間に自然が描く姿には,意外な美しさがある.そのような時を凍らして得られた等時曲線の中から,カリストエクスプレスの描く美しい曲線に関して考察した.今回は,カリストエクスプレスの紹介と,天文現象におけるいろいろな等時曲線について概観する.
著者
福江 純 石川 薫 田鍋 和仁
出版者
日本天文学会
雑誌
天文月報 (ISSN:03742466)
巻号頁・発行日
vol.91, no.4, pp.162-169, 1998-04
参考文献数
12

宇宙ジェッ卜のプロトタイプとして超有名な特異天体 SS433は,発見されてから20年近くも経つのに,いまだに多くの謎に包まれている.中心のコンパク卜天体は中性子星なのかブラックホールなのか? それを取り巻く降着円盤は分厚いのか薄っぺらいのか? 降着円盤はどうしてコマのように首振り運動をしているのか? 光速の26%もの速度で噴出するプラズマジェッ卜はいかなるメカニズムで加速され収束されているのか? 謎の天体SS433の現況について司観測的な面と理論的な面から2回にわけて紹介したい.A unique object SS433,known as a prototype of astrophysical jets,has attracted great attention because of its remarkable peculiarity. There remain various mysterious puzzles conceming SS433: the kind of the compact object (a black hole or a neutron star),the nature of the accretion disk (e.g.,fat or slender),the origin of its precession (a master disk or a slaved disk),and the collirnation and formation of jets. We present the ressults of VRl photometric observations of SS433 using a 51cm reflector with a CCD camera at Osaka Kyoiku University as well as those of 19-year optica1 monitorng by Cherepashchuk et al. in Sternberg Astronomica1 Institute.
著者
福江 純
出版者
日本天文学会
雑誌
天文月報 (ISSN:03742466)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.244-253, 1995-06

活動銀河中心核に存在する超大質量ブラックホール局辺の降着円盤からは,膨大な量のエネルギーが放射されている.そのようなフラックホール-降着円盤系のエネルギーを利用するためのステーションとして,降着円盤自身から放射される強烈な輻射圧によって支えられた浮遊プラットフォーム〈フォトンフローター〉の配置や安定性について考察した.まず降着円盤系から十介遠方に配置したファーフローターの場合,(超大質量フラックホールの)重力と(降着円盤からの)輻射圧が釣り合う臨界浮遊角度が存在することがわかった.降着円盤の直上に浮かべたこアフローターでは,やはり特定の高度-浮遊高度-で重力と輻射圧が釣り合う(より一般には浮遊半径も存在する).しかもこの浮遊高度は,力のバランスにおいて,安定な平衡点てeあることがわかった.なお降着円撃の軸上に置いたアクシズフローターの場合は,不安定でまた危険である.An accretion disk surrounding a supermassive black hole at the active galactic nuclei radiates the tremendous###energy. In order to utilize energy of the accretion disk system,we investigate the configuration and stability of a floating platform -PHOTON FLOATER - above the accretion disk,which is supported by the radiation pressure of the disk radiation. In the case of the FAR-FLOATER,which is located far from the disk,there exists a critical floating angle,where the gravitational force of the centeral black hole is balanced with radiation pressure. In the case of the NEAR-FLOATER,which is located very close to the disk,there exists a critial floating height,where the gravity is balanced with radiation. It is demonstrated that this floating height is dynamically stable. Finally, in the case of the AXIS-FLOATER,which is located on###the axis of the disk,the photon floater is unstable.
著者
横尾 武夫 加藤 好博 蜂屋 正雄 福江 純
出版者
日本天文学会
雑誌
天文月報 (ISSN:03742466)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.543-549, 1998-11
被引用文献数
1

透明アクリル製の円柱を削り出して,"重力"レンズを製作した.アクリル樹脂だと入手もしやすく加工も容易で,職人芸的な特殊技能がなくても,十分実用に耐えるものを製作できる.設計から製作そして活用までを簡単に紹介したい.The gravitational lens is one of the major topics in the current astrophysics. Using an acryl bar,we make a "gravitational lens",wh ich is optically equivalent with a gravitational lens in the universe. We here show the design of and how to make the gravitational lens. Such a hand-made gravitationallens is quite useful###in your classrooms,scientific museums,and public observatories.
著者
福江 純
出版者
日本天文学会
雑誌
天文月報 (ISSN:03742466)
巻号頁・発行日
vol.88, no.7, pp.291-299, 1995-06-20

太陽からの光圧を利用して帆走する宇宙ヨッ卜,太陽系内に設置されたレーザー光線発射装置からの強力なレーザーで推進されるレーザー推進型宇宙船,さらに,銀河中心核に高度宇宙文明が存在していれば,降着円盤系からの強烈な輻射圧を利用する光帆走が可能かもしれない.そのような降着円盤の放射を利用した光帆船〈フォトンサーファー〉の軌道力学について考察した.降着円盤系から十介遠方での光帆船ファーサーファーの場合,ある臨界浮遊角度では,重力と輻射圧が釣り合って,セールは浮遊するが,臨界浮遊角度より小さな角度領域では轄射庄の方が強くてファーサーファーは吹き飛ばされ,大きな角度領域では重力の方が強くてファーサーファーは落下する.また降着円盤直上の光帆船ニアサーフアーの場合,ニアサーファーはある浮遊高度を挟んで上下方向に調和振動的な運動をする.動径方向に対してセール面が傾いているインクラインドサーファーについても簡単に議論する.Similar to the solar sail driven by the sunlight pressure or the laser-driven spaceship via the laser-light pressure,it the light is possible saiing by means of the intense radiation pressure from an accretion disk at an active galactic nuclei. We invesitigate the orbital dynamics of such a PHOTON SURFER. In the case of the FAR-SURFER,which is located far from the disk,the sail is blown off by the radiation pressure when the inclination angle of the sail is smaller than the critical floating angle,and vice versa. In the case of the NEAR-SURFER, which is located very close to the disk,on the other hand,the sail moves up and down around the critiaI floating height,which is proved to be dynamicaIIy stable. The INCLINED SURFER is aIso briefly discussed.
著者
住友 那緒子 芝田 たける 溝口 小扶里 西山 晋史 福江 純
出版者
日本天文学会
雑誌
天文月報 (ISSN:03742466)
巻号頁・発行日
vol.101, no.12, pp.741-746, 2008-11-20

大阪で毎年開催されている市民向け科学イベント「こどものためのジオ・カーニバル」に向けて,「手作り☆★宇宙図鑑★☆」を製作し,セミナー出展して実践を行いました.宇宙図鑑は,宇宙への招待を最大の目的としていますが,カラー天体写真を台紙に貼り付けていく簡単なものなので小さな子どもたちでも作成できます.綺麗な天体の写真を身近に感じ,自分で作る図鑑ということで,当日は大人気でしたので,その詳細と活動を報告します.この報告を通してみなさまの今後の天文普及活動の一助になればと思います.We have designed and produced a hand-on "Cosmos Picture Book" as teaching materials in astronomy, and demonstrated it at a public event, The Geo-Carnival for Children, held in Osaka in 2007. The aim of this picture book is to introduce the cosmos to children. This picture book is designed for children to make very easily. At the event, this picture book was very favorite with children, because of colorful and beautiful pictures. This picture book was###also used in the university class. We hope that this material is useful in teaching and popularizing astronomy.
著者
西山 晋史 福江 純 渡会 兼也 西村 昌能
出版者
日本天文学会
雑誌
天文月報 (ISSN:03742466)
巻号頁・発行日
vol.99, no.7, pp.381-390, 2006-06-20
参考文献数
1
被引用文献数
2

大阪で6年前から毎年11月に開催されている市民向け科学イベント,21世紀の地学教育を考える大阪フォーラム「こどものためのジオ・カーニバル」(以下ジオ・カーニバル)について紹介します.ジオ・カーニバルはその名前のとおり「地学の祭典」で,"こどもたちに地学の楽しさを伝える"ことに重点を置いて開催されています.したがって活動の対象は主に小学生のこどもたちで,方法としては実際に地学に関することを"楽しく"体験してもらうことを重要視しています.大阪教育大学天文学研究室・宇宙科学研究室はジオ・カーニバルに初回から参加していますが,「重力レンズで見たあなた」「作ろう!立体正座」「手作りの太陽アニメーション-動いている太陽-」という3つの天文教育に関する企画を行った第6回を中心に,内容の紹介をします.ジオ・カーニバルでの活動へのご理解と同時に,天文教育の普及方法の一助および天文教材の開発の手助けになれば幸いです.Since 2000, a public event, "The Geo-Carnival for Children," has been held in Osaka. The purpose of the Geo-Carnival is to show children pleasures of natural science such as earth science, astronomy, eteorology, environmental studies, and disaster prevention research. Members in the institute, that the authors belong to, have participated in the carnival from the beginning of the event every year. In this article, activities of the events for six years are summarized, especially for the 6th carnival in 2005.
著者
福江 純
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究の研究課題のもとで得られた成果は非常に多岐にわたるが、大きく5 つに分けると、(1)相対論的輻射流体力学の問題点の洗い出しを行った。(2)相対論的輻射圧駆動球対称定常風のモデル計算をした。(3)ブラックホール風の"見た目"など相対論的効果を入れた観測的特徴について調べた。(4)平行平板流で速度一定という仮定のもとだが、相対論的輻射輸送の新しい解析解を求めた。(5)解析的な立場から、相対論的変動エディントン因子の形を探り、いくつかの性質や振る舞いを明らかにした。
著者
定金 晃三 横尾 武夫 福江 純 松本 桂 有本 淳一 小林 英之 本田 敏志
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第III部門, 自然科学・応用科学 (ISSN:13457209)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.55-65, 1995-09
被引用文献数
1

大阪教育大学に設置された口径50cm の反射望遠鏡には,観測装置として液体窒素冷却の高性能CCDカメラが備えられている。さまざまな種類の天体観測を行いながら,このCCDカメラそのものの性能の評価と柏原キャンパスにおける天体観測性能の評価を行った。結果として,CCDカメラの冷却性能,読み出しノイズのレベル,直線性などはいずれも良好であることがわかった。空の明るさの計測を行った結果,柏原の空は市街光の影響を著しく受けており,しかも,方向によって影響の大きさが異なることが分かった。多数のイメージを計測した結果,星像の大きさの平均は現状ではおよそ4秒角である。点光源(星)を対象とした場合,120秒間の露出を4ないし5回行うことで14等台の明るさの天体の相対測光観測が0.02等の精度で行えることがわかった。We have conducted an extensive series of tests of the CCD camera which is used at the Cassegrain focus of the 50 cm telescope of Osaka Kyoiku University. Measurements of bias and dark counts, the read-out-noise, and of the linearlity show excellent performances of the camera. We also measured sky counts over the observatory, apparent stellar radius, and the statistical photometric precision of the observing system. The sky brightness is seriouly affected by the city light. The FWHM of the stellar image is, on the average, around 4 arc sec. Photometric precision of +/— 0.02 mag is achieved by the present system in measurements of 14-th magnitude stars.