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著者
三浦 佑之
出版者
成城大学文芸学部
雑誌
成城文芸 (ISSN:02865718)
巻号頁・発行日
no.75, pp.p39-50, 1975-11
著者
中村 生雄 岡部 隆志 佐藤 宏之 原田 信男 三浦 佑之 六車 由実 田口 洋美 松井 章 永松 敦
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、日本および隣接東アジア地域の狩猟民俗と動物供犠の幅広い事例収集を通じて、西洋近代率会において形成された「供犠」概念の相対化と批判的克服を行ない、東アジアにおける人と自然の対抗・親和の諸関係を明らかにすることを目的とした。言うまでもなく、狩猟と供犠は人が自然にたいして行なう暴力的な介入とその儀礼的な代償行為として人類史に普遍的であるが、その発現形態は環境・生業・宗教の相違にしたがって各様であり、今回はその課題を、北海道の擦文・オホーツク・アイヌ各文化における自然利用の考察、飛騨地方の熊猟の事例研究、沖縄におけるシマクサラシやハマエーグトゥといった動物供犠儀礼の実地調査などのほか、東アジアでの関連諸事例として、台湾・プユマ(卑南)族のハラアバカイ行事(邪気を払う行事)と猿刺し祭、中国雲南省弥勒県イ族の火祭の調査をとおして追求した。その結果明らかになったことは、日本本土においては古代の「供犠の文化」が急速に抑圧されて「供養の文化」に置き換わっていったのにたいして、沖縄および東アジアの諸地域においては一連の祭祀や儀礼のなかに「供犠の文化」の要素と「供養の文化」の要素とが並存したり融合して存在する事例が一般的であることであった。そして後者の理由としては、東アジアにおけるdomesticationのプロセスが西南アジアのそれに比して不徹底であったという事実に加え、成立宗教である仏教・儒教の死者祭祀儀礼や祖先観念が東アジアでは地域ごとに一様でない影響を及ぼし、そのため自己完結的な霊魂観や死後イメージが形成されにくかった点が明らかになった。またく狩猟民俗と動物供犠とに共通する「殺し」と「血」の倫理学的・象徴論的な解明、さらには、人間と自然とが出会うとき不可避的に出現する「暴力」の多面的な検証が不可欠であることが改めて確認された。
著者
三浦 佑之 栃木 孝惟 中川 裕 荻原 眞子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

多くの民族や地域において、口承文芸が衰亡に瀕し忘れられようとしている現在、一方では、国家的、民族的なアイデンティティ発揚のために英雄叙事詩が見直されている場合もあり、英雄叙事詩を学際的に考察することは緊要の課題である。しかも、ユーラシア大陸の西の果てから日本列島に至るまでのさまざまな民族に語り継がれてきた英雄叙事詩を考えることは、単に口承文芸研究という狭い領域にとどまらず、それぞれの民族や地域の言語・文化・歴史・生活の総体を見通すことだという点において重要であり、今回の共同研究「叙事詩の学際的研究」によって、我々は多くの知見を得ることができた。4年間にわたる研究期間に、我々は、20回以上の研究発表を行い、さまざまな議論を交わすことができた。そこで取り上げられた地域(あるいは民族)は、カザフ・ロシア・モンゴル・シベリア・中国東北部・アイヌ・日本など、ユーラシア全域を覆っていると言っても過言ではない。そして、その議論の中で、叙事詩や口承文芸の様式や表現について、多くの時間を割いて議論をくり返したのは当然であるが、その他にも、語り方や語り手、伴奏楽器の有無、その継承の仕方、語ることと書くことなどについても意見交換を行うことで、それぞれの地域や民族における差異と共通性について、多くの有益な成果を得ることができたのである。もちろん、今回の共同研究だけで、ユーラシアの叙事詩や口承文芸のすべてを理解したとは言えないが、興味深い研究発表と長時間の質疑を通して、我々が、今後の研究の大きな足掛かりを手に入れたのは間違いないことである。その成果の一端は、報告書『叙事詩の学際的研究』に収めた研究論文5篇と、口承資料の翻刻4篇に示されているが、今後も、その成果を踏まえて叙事詩研究を深めて行きたいと考えている。