著者
三浦 康弘 池上 敬一
出版者
桐蔭横浜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

水面上の単分子層を一層一層固体基板上に積み重ねて作製するラングミュア・ブロジェット(LB)膜に圧力を印加し、分子超薄膜内に圧力に誘起される超伝導相を見出す目的で研究を行った。圧力の印加に伴い、膜の電気抵抗(室温)が上昇することが明らかとなった。また、膜の支持基板の硬さによって圧力効果も異なることも明らかとなった。圧力に誘起された超伝導相は見出されなかったが、圧力印加が分子超薄膜系の研究にも有効な手段であることが強く示唆された。
著者
永野 博明 林 和彦 久保 正法 三浦 康男
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.307-314, 1990-04-15
被引用文献数
1

長崎県, および宮崎県を除く九州地方で牛流行熱が発生した. 長崎県では17年ぶりの発生であった. 10月17日に平戸市で初発し, 長崎県では24戸24頭の発生であった. 臨床症状は突然の発熱, 食欲不振および起立不能であった. 発症牛全例において牛流行熱ウイルスに対する抗体価の上昇が見られた. 17例の発症牛のヘパリン加血液から初代HmLu-1細胞で, 12株のウイルスが分離された. これらの分離株は牛流行熱ウイルス山口株の免疫血清ですべて中和された. 電子顕微鏡では, 代表株平戸-9感染HmLu-1細胞の材料中に150nmの円錐型ウイルス粒子が観察された. 平戸-9株と山口株は交差中和試験で, 互いに良く交差した. 牛流行熱ウイルスの分離は, 発症牛の血球材料(洗浄血球)を用いることにより, HmLu-1細胞で容易に分離されることが明らかになった.
著者
陶浪 貞彦 三浦 康夫 井手 齊
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, 1974-09-15

直径2 m, 先端深さGL-31 mのベノトグイの先端スライム処理に有機高分子凝集剤を用いたF-P工法の実例について紹介する。施工の要点はつぎのとおりである。掘削完了と同時にハンマーグラブを引き上げ, ホースを孔の底から引き上げながら凝集剤(アニオン系コーナンフロックSKH 5)を孔内水量に対し18 ppm散布し, ハンマーグラブでカクハンする。水中に浮遊する微粒子は10〜20分の間にフロック状となり沈殿するので孔底に水中ポンプを投入してフロックを排出する。ついでハンマーグラブにより底の粗粒分をさらい, 鉄筋をそう入してトレミー管でコンクリートを打設する。この方法ではフロックの生成および排出が完全に行なわれる必要があり, 泥水採取器で孔底の泥水を採取するほかポンプから吐出される泥水の状態をチェックする必要がある。直径2 mでは10 cm径の水中ポンプを10個所以上移動させてフロックを排出する必要があり, 今後大口径グイに適したポンプの開発が望まれる。直径2 m, 深さ10 mの試験施工の結果孔底に幾分かのフロックが残存したが実用上は支障のない成果が得られた。
著者
三浦 康伸 武田 昭二
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.253-264, 1995-03-25
被引用文献数
7

動的抽出法による細胞毒性試験を確立するため, 10種類の金属材料を用いて, 細胞生存率に対する抽出条件の検討を行った.抽出条件としては, 試料の重さ(1.5gと2.0g), 旋回速度(200rpmと240rpm), 抽出期間(1, 3および5日間)および旋回時に用いる加速抽出(アルミナ球あるいはジルコニア球上での抽出)の各条件であった.さらに, 得られた抽出液を0.22μmのメンブランフィルタにて濾過した濾液についても, L-929細胞に72時間作用後の細胞生存率に及ぼす影響ならびに溶出金属量の測定を行った.その結果, 細胞生存率に対する試料の重さの影響は少なかった.旋回速度および抽出期間については, それぞれ増加に伴って細胞生存率は低下した.また, 加速抽出条件に関しては, アルミナ球上での抽出のほうが, ジルコニア球上より細胞生存率の低下は顕著であった.以上の抽出条件の中で, 10種類の金属材料をアルミナ球上にて240rpmで旋回抽出した場合, それらが細胞生存率に及ぼす影響は異なっていた.その影響の程度からして4つのグループに分けられた.すなわち, チタンおよびチタン(Ti-6Al-4V)合金のグループ, コバルトクロム合金, ニッケルチタン合金および316Lステンレス鋼のグループ, タイプIV金合金および金銀パラジウム合金のグループとニッケルクロム合金, 銀インジウム合金および銀スズ合金のグループであった.また, 濾液の細胞生存率に及ぼす影響は抽出液より小さく, 濾過による細胞毒性の減弱化が認められた.一方, 溶出金属量については, アルミナ球上にて240rpmで5日間抽出した濾液中には, タイプIV金合金と金銀パラジウム合金では, 選択的な銅の溶出が認められた.銀インジウム合金と銀スズ合金では, 亜鉛の溶出が認められた.ニッケルクロム合金, ニッケルチタン合金および316Lステンレス鋼ではニッケルの溶出が, コバルトクロム合金ではコバルトの溶出が認められた.一方, チタンおよびチタン合金からの溶出は認められなかった.以上の結果から, 動的抽出による加速抽出の効果が得られる条件は, 試料の重さを1.5gとして, アルミナ球上にて240rpmで旋回抽出する方法であることが分かった.