著者
古水 雄志 朝長 由夏 田上 修 上岡 龍一
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.168-172, 2007-03-20
参考文献数
17
被引用文献数
2 2

現在,日本の化粧品市場における美白のニーズは高く,女性のシミやクスミの解消に対する関心は大変高いのが現状である.一方,筆者らや他の研究者は,焼酎蒸留粕の海洋投棄が2007年に全面禁止となるため,廃棄物を有効な物質(例えば医薬品や化粧品)に転換する試みをしている.今回は,B16-F0メラノーマ細胞を用いた美白化粧品開発のための基礎研究を行った.その結果,安全な低濃度条件(10 μg/mL)で,麦焼酎粕パウダーが(1)目視確認にて細胞を美白化し,(2)メラニン産生抑制効果が顕著であり,(3)チロシナーゼ活性抑制効果を大きくすることを初めて明らかにした.これらのことから,将来,麦焼酎粕パウダーの美白剤としての応用の可能性が高くなった.
著者
上岡 龍一 後藤 浩一 山内 彰雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.100, no.11, pp.771-776, 2005-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
17

近年, 味噌の生理活性に関する様々な研究が行われており, 大腸がんの前がん病変 (ACF), 胃腫瘍, 肺腺がんに対して, 大きな予防効果を示すことなど報告されている。しかし, がん抑制成分の特定や制がんメカニズムの詳細については明らかにされていない。著者らは, 麦味噌から有効成分を抽出し, 新たに開発した天然素材の複合脂質膜に含有させ, ヒト肺扁平がん細胞に対する増殖抑制効果を検討された。特に, 脂溶性成分に顕著な抗腫瘍活性のあることを明らかにされ, 味噌中に含まれる脂肪酸および脂肪酸エチル, なかでも, リノレン酸エチルが重要な抗腫瘍成分であることを初めて見い出された。これらについて詳細に解説していただいた。
著者
森 重之 長田 純夫 迫口 明浩 上岡 龍一
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.1313-1317, 1996-11-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
1

べつ甲細工は日本の伝統工芸のひとつであり, べっ甲の原料はタイマイである.しかし, タイマイの輸入禁止により, べっ甲業界は存亡の危機にたたされている.そこで, 従来のペっ甲細工技術を活かせるべっ甲の代替材料として牛角に着目し, 牛角を利用した新材料の開発を検討した.本研究で得られた顕著な成果は次のとおりである.a) 牛角を過酸化水素 (H2O2) で化学的に処理し, べっ甲と同様なあめ色に改質する技術を確立した.さらに, b) 牛角粉末とべっ甲粉末を適切な割合で混合し, 110-120℃の温度範囲で成形することによって, べっ甲に類似した新材料を開発した.
著者
上岡 龍一 市原 英明 古水 雄志
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.005-010, 2014 (Released:2014-01-29)
参考文献数
26

We have produced hybrid liposomes (HL) which can be prepared by sonication of a mixture of vesicular and micellar molecules in a buffer solution. Some interesting results are as follows; HL remarkably inhibited the growth of cancer cells along with apoptosis in vitro and in vivo. Anticancer effects increased with a growth in membrane fluidity of HL and fluidity of plasma membranes of cancer cells. In clinical applications, prolonged survival and remarkable reduction of neoplasm were attained in patients with lymphoma after the treatment with HL without any side effects after the approval of the bioethics committee.
著者
今村 主税 金納 明宏 光岡 ちほみ 北島 俊一 井上 秀顕 岩原 正宜 松本 陽子 上岡 龍一
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.116, no.12, pp.942-950, 1996-12-25
被引用文献数
12

Remarkably high inhibitory effects of the hybrid liposomes composed of L-α-dimyristoyl-phosphatidylcholine (DMPC) and polyoxyethylenealkyl ether (C_<14> (EO)_n, n=6-8 and C_<12> (EO)_n, n=8-12)) on the growth of human lymphoma-human B-lymphocyte hybridoma (HF) cells in vitro were obtained. The hybrid liposomes composed of 90 mol% DMPC/10mol% C_<14> (EO)_n (n=6-8) or C_<12> (EO)_n (n=8-12) were more fluid as compared with 90mol% DMPC/10 mol% C_<14> (EO)_4 or C_<12> (EO)_n (n=4,23) hybrid liposomes on the basis of fluorescence polarization measurements. These results suggest that the inhibitory effects of the hybrid liposomes on the growth of HF cells should be related to the membrane fluidity. No toxicity to normal rats in vivo was observed in the experiment using 90mol% DMPC/10mol% C_<14> (EO)_7 or 90mol% DMPC/10mol% C_<12> (EO)_<12> hybrid liposomes.
著者
松本 陽子 今村 主税 伊藤 貴俊 谷口 智穂 上岡 龍一
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Biological & pharmaceutical bulletin (ISSN:09186158)
巻号頁・発行日
vol.18, no.10, pp.1456-1458, 1995-10-15
被引用文献数
15 31

The hybrid liposomes (90mol% DMPC/10mol% C_<12> (EO)_8 and 90mol% DMPC/10mol% C_<12> (EO)_<12>) have a highly inhibitory action against the growth of tumor cells. The uniform and stable structure of the hybrid liposomes was revealed on the basis of electron microscopy and dynamic light scattering measurements.