著者
西島 功 上門 あきの 池村 綾 宮城 和史 伊波 潔
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.911-914, 2013 (Released:2013-10-25)
参考文献数
21

要旨:外傷性仮性腋窩動脈瘤破裂に対し,エコーガイド下トロンビン注入療法(US-guided thrombin injection;UGTI)にて治癒した症例を報告する.症例は83 歳女性.右上腕骨近位端骨折後2 カ月目に右肩周囲の腫脹が出現し,精査の結果,外傷性仮性腋窩動脈瘤破裂と診断した.UGTI にて瘤内を血栓化することで治療を行った.合計4 回のトロンビン注入にて完全に動脈瘤は消失した.文献的考察を加えて報告する.
著者
新崎 義人 嶺井 陽 砂田 和幸 上門 あきの 仲榮眞 盛保 古川 浩二郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
雑誌
九州理学療法士学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.105, 2021

<p>【はじめに】</p><p>近年、重症下肢虚血(chronic limb-threatening ischemia 以下CLTI)症例に対する治療は、血行再建、創傷治癒、再生医療の発展により切断部位を最小限とし下肢を温存する救肢が求められている。CLTIをはじめとした足部潰瘍は難治性とされ、一度治癒に至っても再発率が高く、装具や足底圧計測器等を用いて再発予防を念頭に置いた評価、運動療法を行う必要がある1)2)。今回、閉塞性動脈硬化症によるCLTI に対し左下肢総大腿動脈- 膝窩動脈バイパス術、左第3-5 趾切断を施行された症例に対し歩行や足底圧の評価、短下肢装具の作成と患者教育を実施したので報告する。</p><p>【経過】</p><p>症例は70 代男性で既往歴に左被殻出血による右片麻痺(Brunnstromstage 上肢III、手指II、下肢III)を呈している。歩行時に左足をぶつけ、足趾に創傷及び潰瘍を形成した。精査の結果、CLTI と診断され、左下肢総大腿動脈- 膝窩動脈バイパス術、左第3-5 趾切断および植皮を施行された。術後1 日目(1POD)より理学療法を開始し、2POD より歩行を開始した。歩行はT-cane を使用しており、その特徴として術側である非麻痺側の立脚期に術創部への荷重が過多となっていた。歩行による再潰瘍形成が懸念されたため、足圧分布測定システム(go-tec 社:GP mobile date)を使用して裸足の状態、短下肢装具及び除圧パットを装着した状態での各々の歩行時の左下肢前足部への荷重負荷量を測定した。荷重負荷量の最大ピーク圧は裸足では1.6N/cm2、短下肢装具及び除圧パットでは、0.1N/cm2 であった。患者指導の際には、歩行指導として術側前足部に圧が集中しないように、揃え型歩行を促した。術創部の自己管理指導としては、毎日の創部観察を促した。その後53POD で創部管理の為、他院への転院となり、60POD で自宅退院となった。84POD の当院外来時では患部の創傷は無く、歩行を含むADL は自立していた。</p><p>【結語】</p><p>CLTI に対する運動療法についての報告は稀少であり、現時点では画一されたプロトコールや介入手法は確立されていない。またフットケアにおいても同様であり、対象者に応じた評価・介入が重要である。本症例においては、足圧分布測定システムを用いた評価、創部管理の介入が再潰瘍形成防止の一助となったと考える。</p><p>【参考文献】</p><p>1) 榊 聡子:重症下肢虚血の理学療法 トータルフットマネジメントの実際. PTジャーナル・第50 巻第9 号827-832, 20162) 松本純一:足部潰瘍の自己管理指導の実際. PTジャーナル・第50 巻第9 号 833-838, 2016</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>症例およびその家族に理学療法介入および本学会への症例報告に関する説明を実施し、同意を書面で得た。</p>
著者
比嘉 章太郎 永野 貴昭 上門 あきの 安藤 美月 山城 聡
出版者
日本脈管学会
雑誌
脈管学 (ISSN:03871126)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.167-170, 2020

<p>本年2月より新しい塞栓物質としてShape memory polymerを用いたIMPEDEが認可されたため,その初期経験を報告する。症例は82歳男性。右内腸骨動脈瘤に対してEVARに先がけIMPEDE(IMP-10)を用いて上殿動脈・下殿動脈をそれぞれ塞栓した。血栓形成遅延を予防するため,塞栓確認造影のタイミング・回数を検討する必要があるが,術後CTではアーチファクトが少なく,エンドリークの評価がしやすいことから,IMPEDEは今後期待される塞栓物質である。</p>
著者
西島 功 上門 あきの 池村 綾 渡慶次 賀博 宮城 和史 伊波 潔 赤崎 満 永野 貴昭
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.126-130, 2017
被引用文献数
1

【目的】当院にて経験した,感染性胸部大動脈瘤(mycotic thoracic aortic aneurysm, MTAA)に対する胸部ステントグラフト内挿術(thoracic endovascular aortic repair, TEVAR)の成績を検討した。【対象】2012年3月より2013年11月のMTAA連続5例を対象とした。起因菌,術後合併症,遠隔期死亡について検討した。【結果】平均年齢は79.6歳,男性3例,女性2例。腸管・気管との瘻孔形成を合併した症例はなかった。広域抗菌薬で経験的治療を行い,全症例来院当日にTEVARを施行した。血液培養により起因菌は全症例で同定でき,6週間経静脈的に抗菌薬の最適治療を行った後,経口抗菌薬へと変更し退院となった。平均観察期間15.2か月(7~29か月)で,全症例生存中である。