著者
西島 功 小畑 慎也 小山 淳 土田 真史 友利 隆一郎 猪谷 克彦 池村 綾 宮城 和史 比嘉 信喜 伊波 潔
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.534-538, 2017-06-30 (Released:2017-06-30)
参考文献数
20

目的:迅速対応システム(Rapid response system:RRS)を導入する施設が増えているが,その起動が困難で,また本邦でのエビデンスが希薄である。修正早期警戒スコア(Modified early warning score:MEWS)は,患者急変を予知できるツールであり,RRS起動基準として有用ではないかと考えた。方法:2012 年10 月,MEWS が高値となり急変する可能性の高いWZ(Warning Zone)に入った患者に対して,主治医・ICU 看護師が迅速に対応する,MEWS-RRSを導入した。研究1としてMEWSの点数別院内心停止(in-hospital cardiac arrest:IHCA)率を比較,研究2としてMEWS-RRSの起動件数を評価し,研究3としてMEWS-RRS はIHCAを減少させるか検討した。結果:<研究1>MEWS の点数別IHCA 率は,6点0.18%,7点1.40%,8点1.75%,9点以上3.57%で,6点に比べ7点・8点・9点以上では有意にIHCA 率が高かった(p<0.05)。<研究2>新入院1,000人当たりのMEWS-RRS の起動件数は,WZをMEWS 6点以上とした第1 期では99.8 件,WZをMEWS 7点以上とした第2 期では46.6件と有意に減少するも(p<0.01),IHCA 率は1.50 vs 2.30と有意差はなかった。<研究3>MEWS-RRS 導入前の第0 期と,第1 期・第2期において,新入院1,000人当たりの月別IHCA率を比較すると,5.21 ± 3.47 vs 1.50 ± 1.07 vs 2.30 ± 1.43とMEWS-RRS導入後有意に低下した(p<0.01)。考察・結論:WZをMEWS 7点以上としたMEWS-RRSは,適正なRRS起動件数が得られ,IHCAの減少に寄与する有用なシステムである。
著者
西島 功 上門 あきの 池村 綾 宮城 和史 伊波 潔
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.911-914, 2013 (Released:2013-10-25)
参考文献数
21

要旨:外傷性仮性腋窩動脈瘤破裂に対し,エコーガイド下トロンビン注入療法(US-guided thrombin injection;UGTI)にて治癒した症例を報告する.症例は83 歳女性.右上腕骨近位端骨折後2 カ月目に右肩周囲の腫脹が出現し,精査の結果,外傷性仮性腋窩動脈瘤破裂と診断した.UGTI にて瘤内を血栓化することで治療を行った.合計4 回のトロンビン注入にて完全に動脈瘤は消失した.文献的考察を加えて報告する.
著者
早川 真人 赤崎 満 西島 功 永野 貴昭 新里 建人 池村 綾 宮城 和史 伊波 潔 瀬名波 栄信 下地 光好
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.202-205, 2019
被引用文献数
1

<p>症例は78歳の女性.胸部異常陰影を指摘され,CTにて右大動脈弓,左鎖骨下動脈起始異常(ALSA)を伴うKommerell憩室(KD)を指摘された.自覚症状は認めなかったが,動脈瘤の最大径が63 mmであったことから手術の方針とした.手術は胸骨正中切開でアプローチし,側枝を作製した4分枝管人工血管を上行大動脈に端側吻合した.次に頸部分枝の再建を行った後,側枝よりConformable GORE<sup>®</sup> TAG<sup>®</sup>(W.L. Gore and Associates,34 mm×200 mm)をZone 0からTh 7の範囲に展開した.最後にALSAのコイル塞栓術を行い,最終確認造影ではエンドリークを認めなかった.術後36日目に独歩退院となり,術後2年目のフォローでは瘤径の縮小を認め経過は順調であった.</p>
著者
河本 宏昭 土田 真史 手登根 勇人 具志堅 益一 西島 功 松本 裕文
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.177-182, 2019

<p>症例は35歳男性.突然発症の右前胸部痛を主訴に来院した.放射線検査では胸腺囊胞内の出血と考えられたが,縦隔内の出血はわずかで胸腔内穿破はなくバイタルサインは安定しており,胸痛はすぐに消失したため緊急手術は行わず経過観察とした.しかし数ヵ月で囊胞は増大傾向を認め,また腫瘍合併を否定できないため発症後6ヵ月後に胸骨正中切開にて胸腺全摘術を行った.腫瘤周囲は癒着が高度で右縦隔胸膜は合併切除を要した.病理学的検索では腫瘍性病変は認めず,出血を伴った胸腺囊胞であった.成人における胸腺囊胞は経過観察の対象となることが多いが,本症のように出血やそれに伴う炎症を合併する場合や,腫瘍の合併が鑑別に挙がる症例では積極的な手術が必要と思われる.</p>
著者
西島 功 上門 あきの 池村 綾 渡慶次 賀博 宮城 和史 伊波 潔 赤崎 満 永野 貴昭
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.126-130, 2017
被引用文献数
1

【目的】当院にて経験した,感染性胸部大動脈瘤(mycotic thoracic aortic aneurysm, MTAA)に対する胸部ステントグラフト内挿術(thoracic endovascular aortic repair, TEVAR)の成績を検討した。【対象】2012年3月より2013年11月のMTAA連続5例を対象とした。起因菌,術後合併症,遠隔期死亡について検討した。【結果】平均年齢は79.6歳,男性3例,女性2例。腸管・気管との瘻孔形成を合併した症例はなかった。広域抗菌薬で経験的治療を行い,全症例来院当日にTEVARを施行した。血液培養により起因菌は全症例で同定でき,6週間経静脈的に抗菌薬の最適治療を行った後,経口抗菌薬へと変更し退院となった。平均観察期間15.2か月(7~29か月)で,全症例生存中である。