- 著者
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大竹 美登利
中山 節子
- 出版者
- 東京学芸大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2003
インドネシアでは、インドネシア中央統計局の協力をえて、2004年9〜11月に調査を実施した。調査はアフターコード方式の日記形式とし、「ペイド/アンペイド」「誰と」等を記述させるものとした。調査対象者は、ジャカルタの5地区から200世帯ずつ抽出した10歳以上の世帯員全員である。調査の配布と回収は、各地区40人の調査員が担当した。回収された4,151人のうち集計に使用したのは、平日2,408人、土曜3,253人、日曜2,343人である。タイでは、サワポーン(カサタート大学教授)を代表とするタイ生活時間調査チームを結成し、このチームと協力して、バンコック市内に住む住民の調査を実施した。調査は2005年12月〜3月に実施された。回収された300世帯のなかで、調査に協力してくれた人は1,244人であった。なお、日本の調査は資金等の関係から、事例的な調査とした。調査の結果、ペイド・ワークの時間は男性の方が長く、アンペイド・ワークである家事・育児の時間は女性の方が長く、インドネシア、タイにおいても性別役割分業は明確であった。ただし、ペイドワークにおいても、アンペイドワークにおいても、日本とは違う特徴があった。すなわち、女性がペイド・ワークに費やす時間は日本より多く、女性が社会的経済活動に参加しているが、家事の延長線上の小規模な生産活動が多く、インフォーマルな労働に多く携わっているという傾向があった。また、アンペイドワークにも、男性は日本より長く参画していたが、その内容は地域社会との交流に関わるものが多く、女性は炊事や洗濯などの家事雑事が多いなど、その内容に性による相違があることが明らかとなった。なお、これらの結果の一部は、2006年8月にデンマークで開催された国際生活時間学会で発表した。