著者
ミン テイ グェン 川村 隆浩 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.386, pp.19-24, 2010-01-15
被引用文献数
1

本論文の目的は,日本語Webページの文中に現れる行動の基本属性(行動主,動作,対象,時刻,場面,場所)と行動間の遷移を自動的に抽出することである.しかし,先行研究では,抽出のための準備コストが大きいことや,抽出できる行動属性が少ないこと,適用可能な文の種類が少ないこと,行動属性間の係り受け関係を十分に考慮されていないこと,そしてプライバシーなどといった問題がある.そこで本論文では,条件付確率場(Conditional Random Fields)と自己教師あり学習(Self-Supervised Learning)を用いて,行動属性と行動間の遷移を自動的に抽出する手法を提案する.提案手法では,人手でラベル編集,初期インスタンスの作成,行動のドメインの定義などの必要がなく,一回のテストで文中に現れる行動属性と行動間の遷移を漏れなく全て抽出でき,高い精度が得られる(行動:88.9%,基本行動属性:90%以上,行動間の遷移:87.5%).
著者
三代 謙仁 川村 隆浩 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.11, pp.1791-1799, 2011-11-01
参考文献数
19

近年,食や環境への意識の高まりから野菜作りやインテリアグリーンに関心が集まっている.しかし,都市の限られた環境で緑を育てるのは容易ではなく,その環境に適した植物を選択するには専門的な知識が必要ということもあり,不用意に繁茂させたり,逆に枯らしてしまうケースも多い.また,インテリア/エクステリアとしては周辺環境との調和が気になるが,成長時の生い茂った姿を想像するのは素人には難しい.そこで本論文では,携帯電話のセンサを用いて,植裁スペースの環境(日照,温度,気温等)に適した植物を推薦するエージェントシステムの開発について述べる.また,本システムでは,推薦した植物の成長した姿を3DCGで表示するという拡張現実手法を用いて,周辺の景観とマッチするかどうかを視覚的に確認することもできる.これにより,植物や園芸に関する特別な知識がなくとも,環境に適しており,かつ周辺の景観との調和のとれた植物を選ぶことが可能となる.今回の実験では約70%の精度で適した植物を推薦できることを確認できた.
著者
田中 俊行 グェン ミンティ 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.11, pp.1751-1761, 2011-11-01

インターネットの普及に伴い,Web上には商品やサービス(対象物)に対する多くの評判情報が蓄積されている.しかし,誰でも発信できるが故に,情報は膨大となり,それら全てに目を通すことは利用者にとって多大な負担となる.そのような背景から,レビューから意見を自動的に抽出する研究が盛んに行われており,意見を<対象物,評価視点(属性),評価値>の三つ組と捉え抽出する研究も行われている.しかしながら多くの研究は,評価視点や評価値の抽出に辞書を用いており,ジャンルごとに必要となる辞書の構築のためのコストは小さいとはいえない.また,単に辞書を用いてマッチングを行っただけでは,精度が上がらないのが現状である.そこで本論文では,教師あり学習を用いて,レビューサイトから意見を抽出する手法を提案する.提案手法は,従来の手法のように大規模な辞書をあらかじめ用意する必要がないため,コストを大幅に抑えることが可能である.実験の結果,辞書をあらかじめ用意しない既存手法と比較して,最大で適合率は約26%,再現率は約47%向上した.また,既存研究では個別の辞書を必要とするような他ジャンルに対して本手法を適用した結果,ほぼ変わらない精度で抽出することができ,他ジャンルへの適用の可能性を示すことができた.
著者
佐藤 大輔 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.11, pp.1773-1782, 2011-11-01

本論文では,閲覧中のWeb上のニュース記事に対する意見を個人のブログから収集し,その本文中の主張部分を抽出して提示するシステムの提案を行う.現在ニュースサイトにコメント欄が用意されているところは少なく,検索エンジンを用いても個人の意見のみを収集するのは容易ではない.そこで個人の意見を述べやすい場であるブログに着目してニュース記事に関連した意見を集め,主張を抽出する.本研究では主張とは意見の中で筆者が強く述べている主観的な部分を指す.開発中の主張提示システムの中で,本論文では主張抽出に焦点を当てる.主張抽出には人手により主張であるとされた文章から形態素解析を利用して特徴的な抽出ルールを設定した.本システムによりユーザはニュースサイトを閲覧すると同時に意見の多角的な見方が可能になり,より深い洞察が得られるようになる.評価実験において人手による正解との適合率を求めたところ70.0%となった.
著者
グェン ミンティ 川村 隆浩 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.166-178, 2011 (Released:2011-01-06)
参考文献数
31
被引用文献数
2

In our definition, human activity can be expressed by five basic attributes: actor, action, object, time and location. The goal of this paper is describe a method to automatically extract all of the basic attributes and the transition between activities derived from sentences in Japanese web pages. However, previous work had some limitations, such as high setup costs, inability to extract all attributes, limitation on the types of sentences that can be handled, and insufficient consideration interdependency among attributes. To resolve these problems, this paper proposes a novel approach that uses conditional random fields and self-supervised learning. Given a small corpus sample as input, it automatically makes its own training data and a feature model. Based on the feature model, it automatically extracts all of the attributes and the transition between the activities in each sentence retrieved from the Web corpus. This approach treats activity extraction as a sequence labeling problem, and has advantages such as domain-independence, scalability, and does not require any human input. Since it is unnecessary to fix the number of elements in a tuple, this approach can extract all of the basic attributes and the transition between activities by making only a single pass. Additionally, by converting to simpler sentences, the approach can deal with complex sentences retrieved from the Web. In an experiment, this approach achieves high precision (activity: 88.9%, attributes: over 90%, transition: 87.5%).
著者
金 漢龍 堀江 武 中川 博視 和田 晋征
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.644-651, 1996-12-05
被引用文献数
17

温度傾斜型CO_2濃度制御チャンバー(TGC)を用い, 2段階のCO_2濃度(&cong;350μLL^<-1>, 690μLL^<-1>)と4段階の温度条件とを組み合わせて生育させた水稲(アキヒカリ)個体群の収量およびその構成要素器官の生長反応を1991年と1992年の2作期について検討した. 実験に供した温度範囲は, 全生育期間の平均気温として1991年は27.2〜31.1℃, 1992年は26.0〜29.3℃であった. 約2倍増のCO_2濃度(690μLL^<-1>)処理による水稲の最大増収率は最も低温, すなわち現行の外気温もしくはそれに近い温度条件下で得られ, 1991年と1992年にそれぞれ40%と22%であった. この収量増加は, 主としてCO_2濃度倍増処理による単位面積当たりの穎花数の増加に帰せられ, 登熟歩合や粒重に対するCO_2濃度の効果は相対的に小さかった. CO_2濃度倍増処理による穎花数の増加率, ひいては増収率の年次間差異は, N施肥量の年次間の違い(1991年: 24 gN m^<-2>, 1992年: 12 gN m^<-2>)を反映した結果と考えられる. 一方, 現行の気温より高温条件下における収量は, CO_2濃度にかかわらず, 気温上昇に伴って急激に低下した. 気温上昇にともなう減収程度はCO_2濃度倍増区で大きい傾向にあり, 高温条件下では収量に対するCO_2濃度の効果がみられなくなった. 高温条件下での収量低下の原因はまず高温による不稔穎花の増加に求められ, 次に不完全登熟籾の増加にあった. 不稔穎花の発生は開花期の日最高気温の平均値と最も密接に関係していることが認められた.
著者
金 漠龍 堀江 武 中川 博視 和田 晋征
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.634-643, 1996-12-05
被引用文献数
13

予測される地球規模の環境変化が水稲生産に及ぼす影響を明らかにするため, 温度傾斜型CO_2濃度処理装置(TGC)を用い, 水稲アキヒカリの群落を対象に異なる温度とCO_2濃度の複合処理を行い, 発育, 乾物生産および生育諸特性に及ぼす影響について検討した. TGCは長さ26m, 幅2.05m, 高さ1.7mのトンネル型のチャンバーであり, その長軸に沿って常に4での温度勾配が生じるように, 通気速度をコンピュータ制御により調節した. 実験には2つのTGCを用い, 1つのTGCは現行の大気CO_2濃度(&cong;350μLL^<-1>)を, 他方は690μLL^<-1>のCO_2濃度を維持させた. ポット(1/5000 a)植の水稲をTGC内に20株m^<-2>の密度で配置したポット植群落(1991年)とTGC内の枠水田に25株m^<-2>の密度で移植した枠水田群落(1992年)にそれぞれ肥料を十分あたえ, CO_2×温度の複合処理を全生育期間にわたり行った. CO_2濃度倍増処理は水稲の出穂に向けての発育を促進し, 出穂を早めた. その促進率は高温ほど大きく, 出穂までの平均気温が3O℃の場合のそれは11%にも及んだ. 草丈に対するCO_2濃度および温度の影響は小さかったが, 茎数はCO_2濃度に強く影響され, 全茎数と有効茎数ともCO_2濃度倍増処理によって顕著に増加した. CO_2濃度倍増処埋の葉面積への影響は, 幼穂分化期ごろまでの生育初期以降は極めて小さくなり, 過去の研究結果とよく一致した. 乾物生産はCO_2濃度倍増処埋によって顕著に高まったが, それに対する温度の影響は小さく, 2作期の全温度区を平均してみたCO_2濃度倍増処理による最終乾物重の増加率は約24%と推定された. なお, この乾物増加率の温度反応は過去の研究結果と異なったが, これは, 過去の研究は光が殆ど生育を制限しない孤立個体に基づいたものであるのに対し, 本実験の群落条件下では光が生育の制限要因となったためであると考えられる.