著者
斎藤 和夫 蓮尾 徹夫 蓼沼 誠 秋山 裕一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.69-72, 1983-01-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

インド北東部のキネマー及びタイのトウァ・ナァーと呼ばれる大豆を原料とする発酵食品と日本の市販ナットウについて, 主として成分面からの比較を行うとともに, 日本のミソとの相違を明らかにした。キネマー及びトウァ・ナァーは食塩の含量, アミノ酸組成, 顕微鏡による微生物相の観察結果より, 日本のナットウに類似する発酵食品であると考えた。
著者
佐藤 信 大場 俊輝 高橋 康次郎 蓼沼 誠
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.593-599, 1976-08-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
2

清酒をもろみの汲水の全部または一部にして使用し醸酵させて造る新しいタイプの清酒, いわゆる貴醸酒について, それの製法, お酒の特微, 開発に致る経過をくわしく解説していただいた。醸造技術者にとって新製晶開発は1つの大きな仕事であリ, また願望でもある。しかし, それは単にアイデアのみで生まれるものではない。本誌には著者の長年にわたる清酒成分に関する研究の成果を基とした多様化の設計の手法, 新製品開発までのステップと新製品に与えるイメージ, 製造法の緻密な検討が紹介されている。是非一読をすすめたい。
著者
蓮尾 徹夫 斎藤 和夫 寺内 敬博 蓼沼 誠 佐藤 信
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.12, pp.966-969, 1983-12-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
10
被引用文献数
3

同一樽内に入れたエチルアルコール水溶液を温度15℃ 湿度を46%, 61%, 93%の3つにかえた1年間の貯蔵試験を行った結果, 湿度の低い場合には樽内のアルコール濃度は高くなり, 湿度の高い場合には樽内のアルコール濃度は低くなった。酢酸, 酢酸エチル, アセトアルデヒドは貯蔵中に増加するが湿度による影響は少なかった。フェノール化合物, 紫外部吸収, 着色度は時間とともに増加するが, 揮散量を補正した条件では, 湿度の低いところで最も少なかった。官能検査では条件Aが最も良く次いでB, Cの順となった。特にCは良好とはいえなかった。このことより熟成によるウイスキーの良化にはある程度の揮散を伴う条件が必要であることがわかった。最後にMOラクトンの合成をはじめとし, 本研究遂行に当り種々御教示いただきました大阪国税局鑑定官室吉沢淑室長に深謝いたします。
著者
稲橋 正明 吉田 清 蓼沼 誠
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.12, pp.1006-1015, 1999-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
19
被引用文献数
2 3

窒素源の種類によつては培養条件により, 高頻度にTTC染色性のないコロニーが現れることを見出した。それらTTC染色性のない酵母の性質及び醸造特性について調べた。セリン, チロシン, アスパラギン及びアスパラギン酸を単独添加した培地を用い35℃ 以上で培養した場合に, TTC Whiteのコロニーが高頻度で出現した。これらTTC Whiteのコロニーの出現は特にアスパラギン酸及びアスパラギンを用いた場合に著しかった。TTC White株はグリセリン培地に生育せず, チトクロームa+a3の吸収スペクトルが消失していることから呼吸欠損菌であった。これら呼吸欠損菌を用いて小仕込みを行い, 小仕込み酒の成分結果を親株 (TTC Red) と比較したところ, 発酵の遅れ, 酸度の上昇 (リンゴ酸, 酢酸の増加), 香りの低下を招いた。
著者
佐藤 信 中村 欽一 蓼沼 誠 茂木 宏治
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.433-438, 1970
被引用文献数
1

各種酒類の日光および単色光照射時の着色度の変化をしらべて次の結果を得た。<BR>1. 日光照射において, 清酒, ミリン, 赤ブドウ酒は着色を増し, ビール, 白ブドウ酒, ベルモヅト, リキュール, ウィスキー, ブランデーでは退色した。ただし, ビールでは長時間の日光照射で着色を増し, 白ブドウ酒の新酒でも着色を増した。<BR>2. ミリン, 白ブドウ酒 (原料: セミヨン) の新酒およびビールの日光着色は照射フラスコの上部空間を窒素ガス置換することによって完全におさえられた。<BR>3. 日光照射による可視部吸収スペクトルの変化の特長は次のとおりであった。<BR>清酒: 370mμにおける増大と350mμ以下での減少<BR>ミリン: 清酒に類似<BR>ビール: 500-550mμに僅かな増大と400mμ以下での減少<BR>自ブドウ酒古酒 (原料: セミヨン): 380mμ以下での減少<BR>赤ブドウ酒 (原料: マスカット・ベリーA): 530mμ における増大<BR>4. 210mμから686mμまでの単色光照射において着色度の変化に関与する波長は次のとおりであった。<BR>ミリン: 320mμによる着色<BR>赤ブドウ酒: 283-357mμ による着色と613-650mμによる退色<BR>ベルモット (ガンチア): 320-430mμ による退色<BR>クレムドバイオレヅト: 283mnμによる退色<BR>ウィスキー: 430mμおよび283mμ による退色<BR>ブランデー: ウィスキーに類似
著者
佐藤 信 蓼沼 誠 大場 俊輝 高橋 康次郎 小池 勝徳
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.387-390, 1976-05-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
10

FPD付ガスクロマトグラフを用いて, 白米および醸造工程中の揮発性硫黄化合物の変化について検討し, 次の結果を得た。1.精米歩合75%白米から揮発性硫黄化合物としてメチルメルカプタン, ジメチルスルフィド, ジメチルジスルフィドが検出された。2.古米からはジメチルスルフィドはほとんど検出されなかった。3.白米蒸きょう時留液から硫化水素, メチルメルカプタン, ジメチルスルフィド, ジメチルジスルフィドが検出され, その最大量に達する時間に各白米間で差異がみられた。4.製麹工程における揮発性硫黄化合物の変化はごく微量であった。5.醪からは硫化水素が検出された。