著者
石川 雄章 吉沢 淑
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.337-341, 1974 (Released:2008-11-21)
参考文献数
15
被引用文献数
1 5

清酒醸造における原料白米の洗米から蒸きょうに至る,いわゆる原料処理工程中の脂質の動きについて検討した. 脂質は洗米によって,SSに約1.1%含まれて流去されるが,これは白米中の粗脂肪の5.5%,結合脂質の0.4%に相当し,洗米用水によっても変動するが,ここでは無視できる量と考えた. 一方,蒸きょうすることにより,白米中の粗脂肪は45~75%に減少し,脂肪酸組成では,不飽和脂肪酸の比率が減少する.粗脂肪の減少は,加水分解により遊離した脂肪酸が一部揮発することによると推察される.
著者
吉沢 淑
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.1266-1262, 1961

1) いろいろの蒸溜酒のフーゼル油中の高級アルコールの組成をガスクロマトグラフィーを用いて定量した。<BR>試料としてウイスキー, ブランデー, カルバドス, ラム, しようちゆう18点を用いた。<BR>2) 固定相としてジオクチルフタレート, グリゼロール, トリエタノールアミンの3種類を用いた。<BR>メタノール, エタノール, n-, イソプロパノール, n-, イソ, 2級, 3級ブタノール, n-, イソ, 活性アミルアルコール, ペンタノールー3, メチル-n-プロピルカルビノールが分離出来た。<BR>3) フーゼル油中にイソアミル, 活性アミルアルコール, ペンタノール-3, n-, イソ, 2級ブタノール, n-プロパノールを認めこれらの量の酒の種類による相違などについて検討した。
著者
吉沢 淑 高橋 康次郎 中村 欽一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.10, pp.682-686, 1985-10-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
5

新しく設定した官能評価法により, 国産ウイスキー (2級1級及び特級) 及び外国産特級ウイスキー (スコッチ) の官能検査を行い, その結果を比較するとともに官能評価値間及び成分間の単相関分析を行った。1.香りの調和及び豊かさ, 味のまろやかさ及び調和の項目は上級ウィスキーほど評価がよく, 中でも外国産特級ウイスキーの評価が高かった。2.香りの個性では, 国産ウイスキーはいずれも普通という評価であったが, 外国産特級ウイスキーはやや個性的という評価であった。3。各官能評価項目間で多くの有意な関係がみられたが, 中でも, 香りの軽さと味の濃さの項目間に, 高度に有意な負の相関関係が認められた。4.香りの個性と総酸, フェノール量, i-AmOH及びi-BuOH含量との間に高度に有意な正の相関関係が認められた。
著者
吉沢 淑
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.115-119, 1976 (Released:2008-11-21)
参考文献数
7
被引用文献数
3 3

主として清酒酵母を用いてアルコール,芳香エステルの生成とそれに及ぼす高級脂肪酸の影響を検討し,次の知見が得られた. (1)N源としてNH4Clを用いるとカザミノ酸を用いる場合に比して, EtOAc生成量はほぼ同様だが, i-AmOH, i-AmOAcの生成量は低い値となった.発酵が進むにつれてアルコールの生成量は増加したが,エステル生成は3~4日後に最大となり,以後減少した. NPP添加により酵母の増殖,アルコール,エステルの生成は阻害を受けた. (2)種々の高級脂肪酸とその誘導体のいずれも通常,醸造に用いられる酵母のエステル生成を飽和酸は促進し,不飽和酸は抑制した.効果の程度は酵母菌株や脂肪酸の存在形態により異なり,たとえばFFAとEtORでは不飽和酸の影響が強い.培地濃度0.1mMで飽和,不飽和脂肪酸(FFA)のエステル生成への影響は顕著に現われ, 0.5mMまで増加するにつれ,その程度は高まった.
著者
吉沢 淑
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.331-337, 1977-05-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2

酒造米の研究は多くの人によってなされてきたが, 米の性質とその酒造適性との結びつきは十分になされているとはいえない。その年の原料米の酒造適性を適確に把握し, それを酒造技術と結びつけることを目的の一つとして全国酒米研究会が発足し, 昭和51年度より統一分析が行なわれた。この統一分析に取りあげられた性質はどのような意義を持つものであるのかを知ることは, 分析データから酒造適性を推察するために欠くことのできない知識である。
著者
吉沢 淑
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.378-384, 1981-06-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
6

酒造廃水の処理は次第に普及しつつあるが, 費用がかさみ, 好結果が得難く, より良い処理方式が待望される。酵母を用いて食品工業廃水を処理する方式を開発し, 酒造廃水処理などに実施して優れた成果を挙げ, 昭和56年度農芸化学技術賞を受賞された筆者に酵母処理を中, 心に酒造廃水とその処理について問題点と現況を解説していただいた。酒造業各位に一読をおすすめする。
著者
吉沢 淑 尾崎 裕子 武藤 敏昭 進藤 斉 角田 潔和 小泉 武夫
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.12, pp.990-997, 1998

A protease was purified from the sarcocarp of Yubari melon fruit, the raw material used in the production of melon wine, by a series of treatments consisting of ammonium sulfate precipitation, gel filtration and ion-exchange chromatography. The enzyme was a monomer protein without a carbohydrate moiety. Its characteristics are as follws: molecular weight 66 kDa, isoelectric point pH 8.5, optimal temperature 40°C, and enzyme activity is promoted in the presence of Mn<SUP>2+</SUP>. It is a characterisric serine protease and preferentially hydrolyzes peptide bonds on the carboxyl terminal side of Phe and Arg.<BR>The sequence of the N termcnal 20 amcno acods was determined.
著者
吉沢 淑 高橋 康次郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.192-194, 1989

A simplified method for the determination of ethyl carbamate (CAE) in sake was devised.Twenty ml sample was adsorbed on Extrelut-20 (Merck Co., Ltd.), left for 20 min., and eluted with 60 ml of chloroform.The eluate was concentrated to 5-7 ml using a Kuderna-Danish (K.D.) evaporator.After washing the evaporator with 3-5 ml of chloroform, the concentrate was again evaporated to 0.5 ml by blowing air at 37&deg;C.CAE was determined by GCusing a capillary column packed with 5% phyney methyl silicone.
著者
吉沢 淑 高橋 康次郎 中村 欽一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.10, pp.682-686, 1985

新しく設定した官能評価法により, 国産ウイスキー (2級1級及び特級) 及び外国産特級ウイスキー (スコッチ) の官能検査を行い, その結果を比較するとともに官能評価値間及び成分間の単相関分析を行った。<BR>1.香りの調和及び豊かさ, 味のまろやかさ及び調和の項目は上級ウィスキーほど評価がよく, 中でも外国産特級ウイスキーの評価が高かった。<BR>2.香りの個性では, 国産ウイスキーはいずれも普通という評価であったが, 外国産特級ウイスキーはやや個性的という評価であった。<BR>3。各官能評価項目間で多くの有意な関係がみられたが, 中でも, 香りの軽さと味の濃さの項目間に, 高度に有意な負の相関関係が認められた。<BR>4.香りの個性と総酸, フェノール量, i-AmOH及びi-BuOH含量との間に高度に有意な正の相関関係が認められた。
著者
吉沢 淑 鈴木 大介 進藤 斉 角田 潔和 小泉 武夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.217-223, 1997-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
5
被引用文献数
3 3

(1) 清酒の主要な香気成分とその類縁物質をモデル清酒に添加し, その酒質への影響をプロファイル法を用いた官能評価により調べた。(2) モデル清酒のアルコール分が高いと, 添加香気物質の香りへのマスキング効果が大きくなった。(3) 酢酸イソアミル, カプロン酸エチルなどのエステルや高級アルコール, ソトロンなど多くの物質がモデル清酒の上立香や含み香を増強させ, 果実様香, エステル様香, 老酒・シェリー様香, 焦臭などを付与, 増加させた。一方, パルミチン酸エチルは上立香を低下させた。(4) これらの物質の多くはモデル清酒の味を変化させた。中でも酢酸イソアミルは甘味を, 酢酸フェネチルは酸味を顕著に増強した。(5) 顕著な効果を示した物質を2種類組み合わせて混合添加した試料の香味は複雑な変化を示した。
著者
吉沢 淑 石川 雄章
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.148-152, 1979-03-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
19

原料米に粗白米を用いる際の欠点の1つとされている多量の脂質による清酒香味への悪影響を改善する方法として, 筆者らがリパーゼ浸漬法を開発, 全国的な試験醸造をはじめてから3年経た。本法を試みようとする酒造場は着実に増えつつあるが, 効果あるリパーゼ浸漬法を行っていただくために, その理論的背景と現場で実際に行うにあたっての留意点などについて解説していただいた。
著者
蓮尾 徹夫 斎藤 和夫 藤川 茂昭 吉沢 淑
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.12, pp.962-965, 1983-12-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
5

温度を30℃と15℃, アルコール濃度を60%と50%にした場合, 貯蔵中の樽からの成分の揮散, 成分の変化について以下のことがわかつた。1) 総揮散量については温度の影響が非常に大きく, アルコール濃度は小さかつたが60%の方が多く揮散した。2) エチルアルコールー水の揮散量は30℃ではエチルアルコールの万か多く15℃では逆に水の万か多かつた。3) アセトアルデヒド, 酢酸ならびに酢酸エチルは30℃の方で多く生成され, 揮散量も多く, 50%の方が生成量, 揮散量とも多くなつた。特に酢酸エチルは温度の影響を受けやすい成分であつた。4) アセタールは温度, アルコール濃度の影響の比較的小さい成分であつた。5) 貯蔵中に増加してくるフェノール化合物, 着色度, 紫外部吸収は温度の高い方が, アルコール濃度の低い方が多く生成された。6) 指標として添加したイソアミルアルコールの揮散は温度の影響は受けたがアルコール濃度の影響はなかつた。
著者
吉沢 淑 百瀬 洋夫 蓮尾 徹夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.557-560, 1981-08-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

昭和54年産および55年産米8品種16点の澱粉のアミロース含量は15.1~22.4%であった。品種別にみるとマツマエのアミロース含量が最も高く, ホウネンワセ, トドロキワセのアミロース含量が低かった。たかね錦, 山田錦など醸造用品種のアミロース含量は, マツマエを除く一般米より高い傾向がみられた。これ等の澱粉の消化性は, 酵素作用初期にはアミロース含量の低い澱粉で高くなる傾向がみられた。