著者
中村 衛 松本 剛 古川 雅英 古本 宗充 田所 敬一 田所 敬一 安藤 雅孝 古川 雅英 松本 剛 古本 宗充
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

琉球海溝に固着域が存在するか否かを明らかにするため、中部琉球海溝で海底地殻変動観測を開始し、琉球海溝付近前孤側でのプレート間カップリングを検出する試みをおこなった。2年間の観測から、海底局群が沖縄本島に対して北西方向に7cm/yrで移動したことが明らかになった。予想される固着域の幅は約30-50kmである。このように琉球海溝の海溝軸付近には固着域が存在しプレート間カップリング領域が形成されていることが明らかになった。
著者
松本 剛 中村 衛 新城 竜一
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

台湾はフィリピン海プレートの運動に伴い、ルソン弧が東方より衝突することによって、現在の造山運動が引き起こされている。このような、台湾の造山運動・衝突テクトニクスを考察する上で、南西琉球弧がこれに果たす役割を検証することは重要である。そのため、台湾の衝突テクトニクスを解明するための米・台共同研究TAIGER Project(2004-2009)に参加し、2009年に実施されたR/V Marcus G. Langsethで実施された地下構造探査に加えて、EM-122測深機による精密測深データを取得した。また、これまでJAMSTEC船等で1990年以降に実施されて来た精密海底地形調査の結果を集大成し、沖縄トラフから琉球島弧・前弧域・海溝域・西フィリピン海盆北部に至る最新の海底地形図を作成し、それをもとに、当該域のテクトニクスを考察した。南西琉球弧から琉球海溝に至る海域は、次に示す東西方向の4領域に分類することが可能である。最北端の領域は、南岸沖の南落ち斜面に沿って南北方向に発達した海底谷の分布によって特徴付けられる。その南側では、スランプ性地辷り痕が発達し、平坦な前弧海盆へと続いている。更にその南側では、複雑な起伏、急斜面、東西向きのhalf grabenなどの、不規則な地形によって特徴付けられる。海溝域は、幅約40kmにも達する6500-6600mの深さの平坦面である。海溝軸の位置を特定することは難しい。海溝域の平坦面上には4個の海山が見られる。しかし、このような海溝の地形的特徴は、Gagua海嶺の衝突の起こっている123°Eの西側では不明瞭となっている。宮古~八重山域に掛けては、「島弧胴切り」型の正断層が多く発達しており、これらは活断層と認定されている。そのうち、石垣島東方沖の断層については、沖縄トラフの伸張に伴って北方に伝播している(すなわち、活断層の長さが長くなっている)ことが明らかとなった。これらの地形的特徴は、沖縄トラフ西部の伸張と呼応して、123°Eの東側で、海溝が南方のフィリピン海プレート側へ後退していることを示唆している。Gagua海嶺のある123°Eの西側の花東海盆は、その東側の西フィリピン海盆の特徴とは大きく異なる。後者が、拡大痕に相当する地塁・地溝地形とそれを直角に横切る断裂帯が多く発達するのに対して、前者は地形の起伏に乏しい。また、花東海盆の沈み込みが起こっているか否かは明瞭ではない。花東海盆の西端に当たるルソン弧と併せて、同海盆が前弧・背弧域と一体化し、これらの3海域全体が台湾ブロックに衝突している可能性が示唆される。花東海盆の北側前弧域では、明瞭な深発地震面が観察される。しかし、これはユーラシアプレートに対して北西方向に西フィリピン海盆が斜め沈み込みを起こしていることによる深発地震面であると見られる。
著者
倉西 誠 小西 稔 大山 永昭 松井 美楯 伊藤 一 中村 衛 嘉戸 祥介 吉田 寿
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.1830-1838, 1994-11-01
被引用文献数
1

SDF法を使ったフィルム上のID自動認識技術を開発し臨床現場に展開させるためにAPR-SYSTEMの提案を行ったが, この成果を臨床技術として完成させるには次のような課題も残されている.(1)傾斜したり裏返しになっているネームプリント部にある数字を認識する時の対策(2)診療現場で許容される処理時間の検討と, ネームプリント部を検出する時の処理時間の高速化(3)提案したAPR-SYSTEMの開発と実用化(4) PUCK等のように特殊な形となっているネームプリント部への対応紙数の関係から割愛したが, (1)に関しては解決手段をほぼ確立しており, 評価結果を含めて別の機会に紹介したい.今後は(2)と(3)を重点に研究を進める予定でいるが, これらの技術やシステムは放射線診療の発展には不可欠な要素であり, 特許等により排他的, 独占的に一部のメーカーや施設で限られて使われるのではなく, 広く検討され, 多くの人々に普及することを強く期待するものである.最後に, 本研究に対し多大のご協力を賜った東京工業大学像情報工学研究施設・山口雅浩先生, コニカ(株)医用販売事業部・山中康司氏, ご支援を賜った富山医科薬科大学附属病院放射線部長・柿下正雄教授並びに放射線技師各位, さらにRIS(TOSRIM)の開発をお願いした(株)東芝医用機器事業部と東芝メディカル(株)の関係各位に深く感謝申し上げます.なお, 本研究は平成5年度文部省科学研究費補助金奨励研究(B)の補助による成果であり, 報告の要旨は第20回日本放射線技術学会秋季学術大会(山形市, 1992年10月), SPIE's Medical Imaging 1994 (Newport Beach, California U.S.A., 1994年2月)において発表した.