著者
新城 竜一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_3-I_11, 2014 (Released:2015-02-20)
参考文献数
22

琉球列島の地質学的特徴について概観し,特に中琉球に位置する沖縄島をとりあげ,その地質と成り立ちについて解説した.琉球弧はプレートの沈み込み帯に位置し,その西側には若い背弧海盆(沖縄トラフ)が発達している.そこではマグマ活動と海底熱水活動が活発である.島弧は2つの構造線で分断され,北・中・南琉球の3つのセグメントに分けられる.沖縄島北部の地質は,ペルム紀から始新世にかけての古い地層群からなり,主に付加体堆積物で構成されている.これらは西から東へ帯状に配列しており,最も東側の名護帯と嘉陽帯は西南日本の四万十帯に対比される.沖縄島の南部には後期中新世から第四紀の若い地層(島尻層群と琉球石灰岩)が分布している.島尻層群を構成する泥が堆積した海から,琉球石灰岩のもととなったサンゴ礁の海へ,海洋環境が大きく変化したことが推定され,沖縄トラフの形成と密接に関連した海域と島弧の地殻変動(島尻変動)が生じたらしい.その後,琉球石灰岩を切るブロック状の断層運動(うるま変動)によって島嶼化がすすんだ.
著者
加藤 祐三 新城 竜一
巻号頁・発行日
1995 (Released:1995-04-01)

1993年8月、沖縄島中部西海岸読谷村の海岸でハンマーの打撃で発火する物質の存在が確認され、これが天然の白リンであることが明らかになった。このリンの分布を明らかにすることと、実験にたえる量の試料を採集する目的で、第1発見地点付近を中心に、50m×36mの範囲を2m間隔のメッシュで切り、潮溜まりであるために採集できない場所を除いて系401個の試料採集を行った。採集した試料は水に漬けて実験室に持ち帰った。試料は白色の物が多いが、リンを含む地点の周辺では不規則に黒色に着色している。この黒色物質は不安定で、保管するうちに次第に消失し、試料全体が白色に変化していく。全岩分析をしてP_2O_5%を定量・比較すると、黒色部では明瞭に多く、0.15%以上、最大0.82%含有しているのに対して、白色部では平均0.10%である。これらの値は今回沖縄島各地で採集した琉球石灰岩の平均値0.05%より明らかに多い。リンを主成分とする唯一の造岩鉱物であるアパタイトの含有を、黒色部を粉末にし重液分離して調べたところ、極めて僅かであるが共生鉱物としての存在が確認できた。一方、白リンについてX線粉末回折実験を行った結果、人工合成したリンと、産状から見て人工物と判断されるフィリピンで発見されたリンの2試料には、リンのピークには一致しない不明のブロードピークが同じ位置に存在するのに対して、読谷村産のリンにはこのピークが認められない。このことは、このリンが前2者とは成因が異なり天然産であることの傍証となる。
著者
新城 竜一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_3-I_11, 2014

琉球列島の地質学的特徴について概観し,特に中琉球に位置する沖縄島をとりあげ,その地質と成り立ちについて解説した.琉球弧はプレートの沈み込み帯に位置し,その西側には若い背弧海盆(沖縄トラフ)が発達している.そこではマグマ活動と海底熱水活動が活発である.島弧は2つの構造線で分断され,北・中・南琉球の3つのセグメントに分けられる.沖縄島北部の地質は,ペルム紀から始新世にかけての古い地層群からなり,主に付加体堆積物で構成されている.これらは西から東へ帯状に配列しており,最も東側の名護帯と嘉陽帯は西南日本の四万十帯に対比される.沖縄島の南部には後期中新世から第四紀の若い地層(島尻層群と琉球石灰岩)が分布している.島尻層群を構成する泥が堆積した海から,琉球石灰岩のもととなったサンゴ礁の海へ,海洋環境が大きく変化したことが推定され,沖縄トラフの形成と密接に関連した海域と島弧の地殻変動(島尻変動)が生じたらしい.その後,琉球石灰岩を切るブロック状の断層運動(うるま変動)によって島嶼化がすすんだ.
著者
新城 竜一 伴 雅雄 斎藤 和男 加藤 祐三
出版者
日本岩石鉱物鉱床学会
雑誌
岩鉱 (ISSN:09149783)
巻号頁・発行日
vol.86, no.7, pp.323-328, 1991-07-05 (Released:2008-03-18)
参考文献数
29
被引用文献数
10 11

High magnesian andesites from Kume-jima and Iriomote-jima, the Ryukyu islands were dated by the K-Ar method with the basalts from Kobi-sho and Sekibi-sho, the Senkaku islands. The obtained K-Ar ages of the high magnesian andesites are 6.08 ± 0.46 Ma and 13.1 ± 1.1 Ma for the sample (s) from Kume-jima and Iriomote-jima, respectively. The volcanic activity of the high magnesian andesite magma continued intermittently for at least 6 Ma. The K-Ar age of the basalt from Sekibi-sho is 2.59 ± 0.19 Ma. The age of the basalt lava from Kobi-sho is as young as 0.2 Ma or even younger, and indicates that Kobi-sho is a Quaternary volcano.
著者
相澤 正隆 岡村 聡 新城 竜一 高橋 俊郎 米山団体研究グループ
出版者
一般社団法人 日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物科学 (ISSN:1345630X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-24, 2019

<p>Late Pliocene-Early Pleistocene igneous rocks of Yoneyama Formation from the northern Fossa Magna region, central Japan, consist of basaltic to andesitic rocks and small intrusive rocks; they contain frequently hornblende (Hbl) gabbroic xenoliths and Hbl xenocrysts. Based on field data, together with petrographic, geochemical, and geochlonological descriptions, the volcanism comprised 5 stages. The rocks at the Ogamidake, the 1st and 3rd stages are tholeiitic rock series (TH), whereas calc-alkalic rock series (CA) are dominated at the 2nd and 4th stages. All rocks are characterized by high-K content and contain pargasitic Hbl phenocrysts in both rock series. Estimation using Ca-amphibole geobarometer suggests that Hbls have crystallized at depths of lower crust. Existence of Hbl and high An content of plagioclase (~ An<sub>90</sub>) in both rock series imply that both magmas are rich in H<sub>2</sub>O. Estimated H<sub>2</sub>O contents are ~ 5 wt% for both TH and CA magmas. Based on mineral texture, <i>P-T</i> estimation and major-trace elements modeling, we infer that cryptic fractionation of Hbl can produce the TH magma trend. Our model is incompatible with general model that TH magma originate from anhydrous or low H<sub>2</sub>O content magma.</p>
著者
相澤 正隆 新城 竜一 岡村 聡 高橋 俊郎 米山団体研究 グループ
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.65, 2018

<p> 北部フォッサマグナ地域北東部に分布する米山層火山岩類(鮮新世-更新世)は,玄武岩から安山岩組成の火山岩からなり,5つの火山活動ステージに区分される.大部分の岩石は均質なSr, Nd, Hf同位体組成を示すが,第3ステージの岩石の一部は高Sr,低Nd,低Hf同位体組成を示し,分別結晶作用に加えて下部地殻物質の混染を受けた可能性がある.ただし,下部地殻の深度からもたらされた角閃石斑れい岩質捕獲岩は幅広いSr同位体組成を示すため,下部地殻の混染の程度を詳細に見積もるには,今後捕獲岩のHf同位体データを考慮して検討する必要がある.</p>
著者
安元 純 野崎 真司 中屋 眞司 益田 晴恵 細野 高啓 土岐 知弘 新城 竜一
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.65, 2018

<p> 本報では、環境トレーサや数値シミュレーションを用いて、琉球石灰岩地域の地下水の流動特性、滞留時間及び水質形成機構、さらに、同地域の沿岸域でみられる海底湧水の湧出速度や栄養塩濃度に関する研究成果を報告すると共に、今後の熱帯・亜熱帯島しょ地域における統合的水資源管理の在り方について考察する。</p>
著者
岡村 聡 稲葉 充 足立 佳子 新城 竜一
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.65-73, 2017

北部フォッサマグナ周辺の新第三系玄武岩類について,同位体組成と微量元素組成を検討した結果,マグマの起源物質とマントルウェッジの熱構造が漸新世から鮮新世にかけて変化することが明らかとなった.前期中新世玄武岩は,一部の玄武岩(切明玄武岩)を除き,HFS 元素に富み低<sup>176 </sup>Hf/ <sup>177 </sup>Hf 比,低<sup>143 </sup>Nd/ <sup>144 </sup>Nd 比を示すエンリッチした組成からなり,大陸縁辺を構成していた大陸下リソスフェアマントル起源と考えられる.中期中新世~鮮新世玄武岩は,HFS 元素に乏しく高<sup>176 </sup>Hf/ <sup>177 </sup>Hf 比,高<sup>143 </sup>Nd/ <sup>144 </sup>Nd 比を示す枯渇した組成であり,中でも中期中新世玄武岩は,インド洋MORB に類似の最も枯渇した同位体組成を示す.これらの枯渇組成マグマは,背弧海盆である日本海の拡大をもたらしたMORB 様アセノスフェアマントル起源だったらしい.漸新世~前期中新世のエンリッチしたマグマは,湧昇してきたアセノスフェアマントルの加熱によって,リソスフェアマントルが部分溶融して造られたと考えられるが,同時期に活動した枯渇組成の切明玄武岩の存在は,北部フォッサマグナにおいて,中絶リフト軸部に沿ってアセノスフェアの部分溶融メルトが生じたことを示す.各時代の玄武岩質火山岩類の化学組成は,異なるマントル物質の部分溶融に加え,スラブ堆積物の脱水作用や部分溶融メルトの影響を受けている.漸新世~中期中新世玄武岩類は,スラブ堆積物の高温部分溶融メルトの汚染を受けており,後期中新世~鮮新世玄武岩類は,ジルコンを残存固相とする低温部分溶融メルトによって汚染されたことを示唆する.
著者
土岐 知弘 大竹 翼 石橋 純一郎 松井 洋平 川口 慎介 加藤 大和 淵田 茂司 宮原 玲奈 堤 映日 中村 峻介 川喜田 竜平 宇座 大貴 上原 力 新城 竜一 野崎 達生 熊谷 英憲 前田 玲奈
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

<p>2016年11月16日~12月15日にかけて、SIP「海のジパング計画」の一環として沖縄トラフの伊是名海穴HAKUREIサイトにおいて、地球深部探査船「ちきゅう」を用いて海底熱水域を掘削した。掘削は、HAKUREIサイトの北部マウンドの頂上から、東側に約500 mの測線上において5本、またリファレンスサイトとしてマウンドから北西500 mほど離れた地点において1本を掘削した。採取したコアから、船上でヘッドスペースガス測定用および間隙水抽出用の試料を採取した。試料から抽出した間隙水について、船上でpH、アルカリ度、栄養塩および硫化水素濃度を、陸上で主成分および微量元素濃度、並びにホウ素同位体比を測定した。また、ガス測定用の試料については、船上で炭化水素および水素濃度を、陸上においてメタンの炭素同位体比を測定した。</p>
著者
松本 剛 中村 衛 新城 竜一
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

台湾はフィリピン海プレートの運動に伴い、ルソン弧が東方より衝突することによって、現在の造山運動が引き起こされている。このような、台湾の造山運動・衝突テクトニクスを考察する上で、南西琉球弧がこれに果たす役割を検証することは重要である。そのため、台湾の衝突テクトニクスを解明するための米・台共同研究TAIGER Project(2004-2009)に参加し、2009年に実施されたR/V Marcus G. Langsethで実施された地下構造探査に加えて、EM-122測深機による精密測深データを取得した。また、これまでJAMSTEC船等で1990年以降に実施されて来た精密海底地形調査の結果を集大成し、沖縄トラフから琉球島弧・前弧域・海溝域・西フィリピン海盆北部に至る最新の海底地形図を作成し、それをもとに、当該域のテクトニクスを考察した。南西琉球弧から琉球海溝に至る海域は、次に示す東西方向の4領域に分類することが可能である。最北端の領域は、南岸沖の南落ち斜面に沿って南北方向に発達した海底谷の分布によって特徴付けられる。その南側では、スランプ性地辷り痕が発達し、平坦な前弧海盆へと続いている。更にその南側では、複雑な起伏、急斜面、東西向きのhalf grabenなどの、不規則な地形によって特徴付けられる。海溝域は、幅約40kmにも達する6500-6600mの深さの平坦面である。海溝軸の位置を特定することは難しい。海溝域の平坦面上には4個の海山が見られる。しかし、このような海溝の地形的特徴は、Gagua海嶺の衝突の起こっている123°Eの西側では不明瞭となっている。宮古~八重山域に掛けては、「島弧胴切り」型の正断層が多く発達しており、これらは活断層と認定されている。そのうち、石垣島東方沖の断層については、沖縄トラフの伸張に伴って北方に伝播している(すなわち、活断層の長さが長くなっている)ことが明らかとなった。これらの地形的特徴は、沖縄トラフ西部の伸張と呼応して、123°Eの東側で、海溝が南方のフィリピン海プレート側へ後退していることを示唆している。Gagua海嶺のある123°Eの西側の花東海盆は、その東側の西フィリピン海盆の特徴とは大きく異なる。後者が、拡大痕に相当する地塁・地溝地形とそれを直角に横切る断裂帯が多く発達するのに対して、前者は地形の起伏に乏しい。また、花東海盆の沈み込みが起こっているか否かは明瞭ではない。花東海盆の西端に当たるルソン弧と併せて、同海盆が前弧・背弧域と一体化し、これらの3海域全体が台湾ブロックに衝突している可能性が示唆される。花東海盆の北側前弧域では、明瞭な深発地震面が観察される。しかし、これはユーラシアプレートに対して北西方向に西フィリピン海盆が斜め沈み込みを起こしていることによる深発地震面であると見られる。
著者
加藤 祐三 新城 竜一 林 大五郎
出版者
琉球大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991 (Released:1991-04-01)

火山豆石の内部構造は同心円構造が発達したもの(CONC)と、これが認められず不規則なもの(RAND)の2群に大別される。いずれが含まれるかは各火砕物固有の性質である。火山豆石が形成されるとき、構成粒子を結びつける膠着剤が氷の場合がCONC、水の場合がRANDになると考えられる。この推定は後者の場合について、1991年雲仙火山で降下した火山豆石の研究で立証された。火山豆石の内部構造の観察、直径・形状・間隙率・比重の測定を行い詳細に検討した結果、これらの性質と火砕物の噴出様式の差、すなわち降下堆積物(fall)/火砕流堆積物(flow)/ベースサージ堆積物(surge)の別とは密度な関係があることが明らかになった。CONCにはfallとflowの双方が、RANDにはfallとsurgeの場合がある。また、RANDはCONCよりも、間隙率と直径が小さい/見かけ比重が大きい/結晶と岩片が多くガラス片が少ない、という傾向が認められる。沖縄島呉我の火砕物には、一般的な例と異なりCONCとRANDの双方の火山豆石が共存している。含まれるガラスの化学組成を比較すると、基質はRANDと一致しCONCとは異なる。このことから、CONCは別の噴煙柱で生じ、火山豆石だけがこの火砕物に混入したものと推定される。火山豆石は火砕物中に頻繁に産出するので、個々の火砕物を理解するにあたって重要で、豆石の内部構造と諸性質を詳しく調べることによって、火砕物の生成機構が推定できる。