著者
石原 吉明 束田 進也 酒井 慎一 平松 良浩 古本 宗充
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.87-92, 2001-07-25

Fireballs, which are caused by high-velocity passages of meteorites through the atmosphere, generate shock waves. It has been known that such shock waves are often recorded on seismograms. It is possible to determine the trajectories and the sizes of a fireball using seismological records. We have searched shock wave signals from many bright fireballs observed in the period from September 1996 to November 1998, and the 1999 Kobe meteorite. The shock waves from one large fireball, which is called the Miyako fireball, and the Kobe meteorite are clearly recorded on many seismograms. In particular, the shock waves from the former fireball are widely recorded by the dense seismic array of 1997-98 joint seismic observations in the Tohoku Backbone Range. We determine their trajectories. Amplitudes of the shock waves are found to be possibly correlated with the masses of the meteorites. It is also indicated that the shock waves from fireballs, which are darker than brightness magnitude -10, are too weak to be recognized on the seismograms of ordinary seismic stations in Japan.
著者
伊藤 武男 古本 宗充 鷺谷 威 堀川 信一郎 奥田 隆 松廣 健二郎 野村 晋一 横井 大輝 大間 俊樹 伊藤 和也
雑誌
日本地球惑星科学連合2015年大会
巻号頁・発行日
2015-05-01

1.はじめに 琉球弧は東側の琉球海溝からフィリピン海プレートがユーラシアプレート(沖縄プレート)の下に沈み込み,西側からは背弧海盆が拡大していると考えられている.従来,背弧海盆のような拡大領域が付随するプレート収束帯の地殻は比較的高温で柔らかいと考えられており,このような地域でのプレート間の固着は弱いと思われていた.しかしながら,同様のテクトニクスを持つ場所で発生した2004年スマトラ・アンダマン海地震や2011年東北地方太平洋沖地震の発生は,すべての沈み込み帯でM9クラスの超巨大地震が発生する可能性を検討する必要があることを示している.そのため,測地学的・地形学・地質学的調査研究を含めた早急な琉球弧における巨大地震の発生の可能性の検討が必要である.2.奄美海台の衝突と喜界島の高速隆起 奄美大島・喜界島の東側の琉球海溝では,世界最大級の規模の奄美海台の衝突・潜り込みが進行しており、地殻を高速隆起させる.海岸段丘面から推定される喜界島付近の隆起速度は,2mm/yrの隆起速度を持っており,強いプレート間の固着の存在を示唆している.さらに,海岸段丘面から,大規模隆起イベントが1000年オーダーの間隔で繰り返している事を示しており,(超)巨大地震の可能性を示唆している.これらを裏付けるように,奄美大島近海で1911年にM8.0の地震が発生しており,それ以降M8クラスの地震は琉球弧では確認されていないが地震活動は活発である.3.GNSS観測と水準測量による喜界島の傾動と隆起速度 琉球海溝に直交して100kmを越える測線を設置する事ができる場所は喜界島・奄美大島・横当島の場所のみである.我々は横当島(無人島)にてGNSS観測を2013年10月から実施しており2014年6月にデータの回収を行った.横当島と奄美大島間のひずみ速度は-3.8×10-8 /yr程度であり,奄美大島と喜界島間の-2.5×10-8 /yrと比較すると,奄美大島と喜界島間とほぼ同じかあるいは,横当島と奄美大島間の方が短縮している可能性がある.しかしながら,観測期間がまだ短いため年周変化や横当島の火山活動の影響など考慮すべきことは多い.一方,喜界島内の傾動の方向と速度を測量する為に,喜界島内で水準測量を2014年の3月〜4月にかけて実施した.今回の水準測量の結果と1997年9月の水準測量結果と比較すると海溝軸側へ約10-7/yrの沈降が観測された. しかしながら,喜界島は海溝軸側へ傾きながら,年間2mm程度隆起しており,この地域の隆起のピークは喜界島よりも西側にあることが明らかになった.このことはプレート境界の深い場所(喜界島付近)まで固着している可能性を示唆しているが,喜界島と奄美大島の水平短縮速度では深い場所までの固着を説明する事は難しい.よって,奄美海台の沈み込み・潜り込みに伴うプレート境界の移動や海台の付加などを考慮する必要があると思われる.
著者
平松 良浩 山本 真行 古本 宗充 石原 吉明 藤田 和央
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

豪州ウーメラ砂漠にてアレイ観測を行い、「はやぶさ」地球帰還時のインフラサウンド及び地震記録、光学観測記録を取得し、それらの解析により衝撃波の励起位置を推定した。観測結果に基づく励起位置での推定大気圧は、従来の理論値と2倍程度のずれがあり、理論の仮定に問題があることが明らかとなった。大気圧変動と地動との伝達関数を定義し、大気-地表面カップリング過程の定量化を行った。
著者
中村 衛 松本 剛 古川 雅英 古本 宗充 田所 敬一 田所 敬一 安藤 雅孝 古川 雅英 松本 剛 古本 宗充
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

琉球海溝に固着域が存在するか否かを明らかにするため、中部琉球海溝で海底地殻変動観測を開始し、琉球海溝付近前孤側でのプレート間カップリングを検出する試みをおこなった。2年間の観測から、海底局群が沖縄本島に対して北西方向に7cm/yrで移動したことが明らかになった。予想される固着域の幅は約30-50kmである。このように琉球海溝の海溝軸付近には固着域が存在しプレート間カップリング領域が形成されていることが明らかになった。
著者
河野 芳輝 石渡 明 大村 明雄 古本 宗充 守屋 以智雄 寒川 旭 向山 栄 西村 智博 中居 康洋 粟 真人
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.103, no.10, pp.XXXI-XXXII, 1997 (Released:2010-12-14)
参考文献数
4

平成8年度科学技術庁交付金を受けて石川県が行っている森本断層調査事業の一環として, 同断層に沿う金沢市梅田町の梅田B遺跡 (主に弥生時代~古墳時代) でトレンチ調査が行われ, 活断層の露頭が出現した. 森本断層(三崎, 1980)は, 金沢市北方の海岸平野と丘陵を境する地形境界付近に推定されている, 長さ13kmの活断層である(第1図). 丘陵末端部の洪積層は海側へ40°~70°傾く撓曲構造をなしており(第2図), 1799年の寛政金沢地震がこの断層の活動によるとする指摘もある (寒川, 1986)が, 断層露頭は未発見だった. 新しい道路取り付けのため従来から行われていた遺跡の発掘調査で, 弥生時代の遺構面と水路が, 不自然に海側が高くなっているという指摘があり, 断層運動による撓曲の可能性を考えてトレンチ調査を行った. 長さ8m, 深さ6mの北西方向のトレンチの壁面に, 走向N38°E, 傾斜35°NW, 鉛直落差約1.Om の低角衝上断層の露頭が出現した (第3, 4, 5図). この露頭では, 下部の, よく固結した洪積層 (卯辰山層) がほぼ断層と同じ走向で海側へ40°傾斜し, 露頭上部の水平な未固結の沖積層 (厚さ4m程度) がそれを傾斜不整合で覆っている. 断層運動によって, 洪積層は剛体的に破断して断層に沿って変位しているが, 沖積層は流動変形して下部では押し被せ褶曲をなし, 上へ向かって次第に緩やかな撓曲へ移り変わっている. これらの構造は1回の断層運動で生じたもので, 変位の累積性はなく, 水平変位もほとんど見られない. この断層は海側が上昇した逆断層であり, 丘陵を隆起させてきた森本断層本体の運動とは逆センスなので, 主断層の活動に伴った層面すべり断層(吉岡, 1989)と思われる.トレンチの南北両面に見られる沖積層最上部のシルト層(炭質物の14C年代は2740±50YB. P. )はこの撓曲に参加して南東へ傾き, トレンチ北面では更に上位の弥生時代の腐植土層(同前, 2060±70Y. B, P. )もこの撓曲に参加しているように見える(第6図).上述のように, 断層を横切るトレンチ外の弥生時代の溝の遺構は変位しているが, トレンチの東半部に断面が現れているそれより新しい弥生時代の溝の遺構(同前, 1930±60Y. B. P. )は, 断層運動によって形成された擁曲崖の麓に沿って掘られた可能性がある. また, トレンチ西半部に断面が現れている古墳時代の溝の遺構(同前, 1410±50Y. B. P. )には変位が認められないことから, この断層運動(M6. 7以上の地震に相当)は約2000年前(±500年程度の不確実性があり得る)に発生した可能性が高い. 沖積層基底の炭質物の14年代は4430±60Y.B.P. なので, この断層はそれから現在までの間に1回だけ動いたことになる.周辺地域での従来の地質踏査, ボーリング調査および弾性波探査によると, 卯辰山層基底の高度は森本断層の両側で600mほど食い違っている. この変位が最近80万年間で起きたと仮定すると, 森本断層の平均変位速度はおよそ0.75m/1000年となる. 上述のように, 今回発見されたのは副次的な層面すべり断層と考えられ, 主断層のずれの量はもっと大きかった可能性が高い. 主断層が1mを越す変位を生じたとすると, 森本断層だけではなく, 南方延長の野町断層や富樫断層なども同時に動いた可能性があり, 今後の研究課題である.森本断層は, これまで確実度II(推定), 活動度B(0.1-1m/1000年)とされていた(活断層研究会, 1991)が, 今回の発見によって活断層であることが確実になり, 約2000年前にかなりの規模の地震を起こしたことがはっきりした. また, 今回発見された露頭は, 堆積物の固結の程度によって変形の様子が全く異なることを如実に示しており, 平坦な沖積平野の地下数mにも, このような活断層が隠れていることを証明した点で意義深い.
著者
河村 将 工藤 健 山岡 耕春 古本 宗充
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.123-137, 2011-02-25 (Released:2012-03-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1

We developed a comprehensive statistical validation system of crustal activities with which to easily address spatially and temporally sufficient range of a database of geophysical measures. The system involves carrying out the following four processes: (1) creating the database of geophysical measures with spatially and temporally gridded and other convenient formats, (2) comparing any two geophysical measures, at least one of which is time-variable, (3) classifying the spatiotemporal relationship of these geophysical measures into some types by defining a statistical index, and (4) evaluating and validating the relationships between classification results and the occurrence of target physical events such as large inland earthquakes. With the system, we aim for making a statistical model, or an appropriate rule for monitoring of crustal activities. Formulation of the rule is, in turn, expected to lead to comprehensive understanding of crustal activities. Here, we focused on the relations of seismicity and strain rate to introduce the conception and algorithm of the system. The system requires input of the database and other parameters and leads to output of various spatiotemporal distributions, 2-by-2 contingency tables, and probability gains for prediction and alarm rates for target physical events.