著者
松本 剛 木村 政昭 仲村 明子 青木 美澄
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.105, no.3, pp.286-296, 1996-06-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
27
被引用文献数
6 11

Precise topographic features at the two major structural boundaries in the Ryukyu Arc, Tokara Gap and Kerama Gap, revealed that there exists a ridge feature of the Ryukyu Arc as a saddle topography. The feature supports the idea recently proposed that a landbridge connecting the Chinese continent, Ryukyu Islands and Japanese Islands, is thought to have been subsided since Late Pleistocene. The saddle is offset by large-scale left-lateral normal faults both of which are related to the opening of the Okinawa Trough. These topographic features and geological structure together with the gravity anomaly and regional tectonics in the Ryukyu area suggest that a north-south tensional stress regime, due to the rolling buck of the Philippine Sea Plate at the Ryukyu Trench, has dominated in this region since last 20, 000 years.
著者
鈴木 和貴 永春 圭規 蜂矢 健介 西村 廣明 松本 剛史 俵 功
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.224-228, 2022 (Released:2022-04-06)
参考文献数
15

非典型溶血性尿毒症症候群(atypical hemolytic uremic syndrome, aHUS)は,先天性あるいは後天性の補体制御の異常と,それに伴う全身性微小血管塞栓を来す致死的な疾患である。ウイルス感染など免疫賦活を契機に溶血発作を引き起こすことが報告されている。症例は38歳男性,受診7年前にC3遺伝子異常を伴うaHUSと診断されていた。来院3日前にCOVID-19と診断された。自宅療養方針となっていたが,翌日から尿が茶褐色となり,尿量減少を自覚したため,当院受診となった。COVID-19によるaHUSの溶血発作と診断し,eculizumab 900 mg/bodyの単回投与を行い,溶血発作は速やかに改善した。COVID-19がaHUSの溶血発作を生じる症例は複数例報告されており,eculizumabの治療が溶血発作のみならずCOVID-19の重症化予防にも効果がある可能性が指摘されている。発症早期からのeculizumab治療導入の有効性を示唆する症例であり,報告する。
著者
松本 剛 佐藤 澄仁 櫻井 文隆
出版者
東京都農業試験場
巻号頁・発行日
no.32, pp.79-92, 2004 (Released:2011-03-05)
著者
友田 好文 藤本 博巳 松本 剛 河野 芳輝
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.293-301, 1982-06-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
16

R. G. A. (Residual Gravity Anomaly) was calculated along a section across the Hawaiian Ridge near Oahu Island by use of both the gravity data and the crustal velocity structure obtained by the explosion seismology. Anomalies of lithospheric thickness in this region were estimated from the result of the calculation of R. G. A. It is concluded that the thickness of lithosphere beneath the island is about 20k mthinner than that beneath the surrounding area as expected from the lithospheric thinning model.The values of R. G. A. in the Emperor Seamount Chain are smaller than those in the Hawaiian Region obtained in this work, so the thinner lithosphere beneath the seamount approaches the normal state with increasing the age of the seamount in the Hawaiian-Emperor Seamount Chain. This agrees with the lithospheric thickening model.
著者
高岡 素子 宮崎 博隆 別所 京子 松本 剛 佐々木 愛
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.44-49, 2008-06-30 (Released:2008-09-02)
参考文献数
18

We conducted a survey for students about lifestyle habitats such as eating habits and monitored skin conditions to study the effects of the eating habit on skin conditions. This eating habit survey showed that n-6/n-3 ratio is on the increase due to the excessive consumption of fat and the insufficient intake of fish. Furthermore, there was a trend that there was a lack of many nutrients. For the relationship between nutrient uptake and skin conditions, there was a significant positive correlation between the take of n-6/n-3 and transepidermal water loss (TEWL), and the consumption of alachidonic acid and icosatrienoic acid and the extent of the incidence of acne. These results suggested that nutrient component taken from eating affects skin conditions. In addition, it is indicated that n-3 or n-6 fatty acid is strongly related to the barrier function of the horny cell layer and the incidence of acne.
著者
松本 剛
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

東日本大震災の津波で児童74人と教職員10人が死亡・行方不明になった宮城県の石巻市立大川小学校(以下,「学校」と云う)をめぐり,児童の遺族が市と県に損害賠償を求めた訴訟で,平成28年10月26日,仙台地裁は原告(児童の遺族)の主張を一部認める判決を言い渡した。判決では教員は津波の襲来を予見しており,早めに安全な場所へ児童を誘導すべきであったとされる。しかし,新聞報道の判決文要旨のみではこの辺りの判断の根拠の検証が難しい。そこで,本報告者は今般,仙台地裁より判決文全文の提供を受け,原告・被告双方の主張とそれに対する地裁の判断を検証し,今後の学校防災の在り方について,考察を行った。事象を時系列で追うと,以下のようになる。・午後2時46分,本件地震発生,直後より,NHKが津波等に関する情報や避難の呼び掛け。・午後2時51分以降,NHKが宮城県で大津波警報が出ており高さ6mの津波の到達が予想されていること等を伝えた。・午後3時14分,気象庁は,宮城県に到達すると予想される津波の高さを10m以上に変更。NHKは発表直後にテレビ放送の字幕でこのことを伝えた。・午後3時20分頃,河北消防署の消防車が学校前を通過し,大津波警報が発令されたことを伝え,避難を呼び掛けた。・午後3時30分~35分頃,教職員と児童70名が徒歩で校庭から「三角地帯」に向けて移動開始。・午後3時37分頃(推定),「三角地帯」に向かう途中で,北上川を遡上した津波が堤防を越流して襲来し,教職員と児童は津波に呑まれた。・午後3時37分頃,学校に津波が到達し,周辺一帯が水没。「三角地帯」は,新北上大橋付近の北上川東岸に位置する標高約7mの小高い丘で,大川小学校の校庭(標高1.5m程度)より標高が高く,学校からは直線距離で150m程である。一方,学校のすぐ南側には標高数百メートルの「裏山」と呼ばれる高地がある。標高が高く,避難場所として真先に想定されるべき場所である。「裏山」への避難には3ルートがあり,当面の津波被害回避として標高10mを目安とすれば,どのルートについても校庭の中央付近からの距離にして150m程度,所要時間は歩いても2分以内(原告が後に実験を行った結果)である。しかし,当時は降雪により地面が湿っていたとされ(被告主張),また崖崩れを起こした履歴があり,教職員や地元の人は「裏山」への避難を躊躇していた。判決では,地震発生前,発生後午後3時30分以前,それ以降の3段階に切り分け,津波により児童が被害に遭うことが予見出来たか否か,また教員の注意義務違反の有無をそれぞれ判断し,以下の点を明示している。遅くとも午後3時30分頃までには,広報車が学校の前を通り過ぎて,学校の付近に津波の危険が迫っていることを伝えていた。北上川東岸の河口付近から学校のある地区にかけては平坦で,北上川沿いには津波の侵入を妨げる高台等の障害物は無い。教員は当然,勤務校周辺のこのような地理的特徴を知っているはずであり,判決では遅くとも上記広報を聞いた時点で大規模な津波が学校に襲来する危険を予見したものと認め,この時点で,教員は速やかに児童を高所に避難させるべき義務を負ったとした。判決ではまた,避難場所としての「三角地帯」と「裏山」の適否についても論じている。ここでは,予想津波高10mという情報がある以上,北上川の堤防を超える可能性もあることや,付近にはより高い地点が無いことから,避難場所として適切ではないと結論付けている。午後3時30分或いはそれ以前に「裏山」への避難を開始すれば,充分に津波被害を回避できたことが容易に想像される。余震が続く中で崖崩れの虞もあり,足場の良くない山中で児童を率いて斜面を登ることは簡単ではなく,児童に怪我をさせる危険性もあった。しかし判決では,大規模な津波の襲来が迫っており,逃げなければ命を落とす状況では,各自それぞれに山を駆け上ることを児童に促すなど,高所への避難を最優先すべきであったと結論付けている。原告・被告双方はこの判決を不服として控訴したと報じられた。しかし,この判決は,非常事態に際し,児童・生徒の生命が学校としての秩序の維持などよりも優先されるという,学校防災の本質を示している。また,判決では学校で過去に津波被害が無かったこと,またハザードマップ等で学校が避難場所として指定されているなどを理由として原告の訴えを一部退けているものの,現実にこのような事件が起きた以上は,次回同様の津波が襲来した場合,このような根拠で学校側が義務を逃れることは許されない。教職員には自然現象への理解,学校の置かれた環境の把握,災害に対する備え,普段からの防災訓練などに加え,児童・生徒の生命を守るため,常に「先を読む」力が求められる。
著者
松本 剛史 佐藤 重穂
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.238-242, 2015-10-01 (Released:2015-12-23)
参考文献数
20

キバチ共生菌キバチウロコタケを人工的に接種したヒノキ丸太と対照丸太を2013年春期に野外に設置し, キバチ類に産卵させた。すると2014年度春期から夏期にかけてキバチ類が羽化脱出してきた。羽化脱出してきたキバチ類は全てオナガキバチであった。また, 羽化脱出してきたオナガキバチは全てキバチウロコタケ接種丸太からであった。産卵選好性の比較でも接種丸太を好んで産卵していることが明らかとなった。またキバチウロコタケ子実体発生丸太での成虫発生数が多く, 繁殖成功度も高かった。本試験によって野外においてもキバチ共生菌が接種された材を選好して産卵・羽化脱出していることが明らかとなった。
著者
松本 剛 木村 政昭
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.417-426, 1993-03-24 (Released:2010-03-11)
参考文献数
20
被引用文献数
5

Historical record shows that a large-scale tsunami named “the Great Meiwa Tsunami” or “the Yaeyama Earthquake Tsunami” occurred on 24th April 1771 in the sea region of Miyako and Yaeyama Islands, westernmost part of Ryukyu District caused by a large earthquake and the tsunami inundated up to the inside of the islands. Swath bathymetric survey in this area was conducted by the use of SEABEAM and HS-10 systems on board the Research Vessels KAIYO and YOKOSUKA, in November 1990, April 1991, January and April 1992. Precise topographic contour map was completed in the area of 22°40′N-24°10′N, 122°50′E-126°20′E, including the westernmost part of the Ryukyu Trench and tsunami source area (around 24.0°N, 124.3°E). The survey area is classified into five different topographic domains which are arranged zonally. Those are:Zone 1: north of 24°00′N, which is characterised by the distribution of well developed submarine canyons along the southern coasts of Yaeyama Islands.Zone 2: 23°40′N-24°00′N, which is characterised by deep sea fans and its large-scale subsidence edged by steep scarp near 23°55′N-24°00′N, 124°10′E-124°20′E. The observed relative height of the depression is about 200-300m.Zone 3: south of 23°40′N on the landward slope of the trench, which is characterised by quite complicated topography such as several escarpments and ridges and troughs of which trend is not clearly recognized.Zone 4: trench axis area with depth about 6500-6600m, which is characterised by broad plain. Maximum width of the axial plain is about 40km.Zone 5: seaward slope of the trench, which is characterised by horsts and grabens which are samely distributed in the sea area of the south of Okinawa Island. The strike direction of the horsts and grabens is NW-SE off Miyako Islands, and WNW-ESE off Yaeyama Islands.The 1771 Meiwa Tsunami is considered to be originated by the large-scale subsidence of the deep sea fans which is composed of soft sediment derived from the submarine canyons just north of the fans, and the wave might be propagated along the canyons from the position of the tsunami source.Tention of N-S direction is suggested by the topographic features in the survey area, and the tention stress in this area is considered to be the origin of the large-scale subsidence which induced the tsunami.
著者
松本 剛 大澤 範高 弓場 敏嗣
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.1-2, 1995-03-15

並列プログラムにおいて実行時間を速くするために重要なことの一つは、そのプログラムに内在する並列性をどのように抽出するかである。一般に並列処理を行なうと並列処理オーバヘッドと呼ばれるものが存在する。並列オーバヘッドは処理粒度を細かくすると大きくなり実行時間に影響を与える。一方、粒度を粗くすると並列性が少なくなってしまう。したがってその間に並列性があり、実行時間が速くなるような粒度がある。本研究では、処理粒度を変えることが可能で、静的に解析可能なプログラムについて処理粒度調整を行なった。また、静的に解析可能な並列プログラムが粒度調整によって高速化が可能か不可能かを並列計算機上で実際に粒度調整をしながら調べるのは効率が悪い。そこで並列計算機のモデルを考えてその上で、粒度調整を行なった時の実行時間を予測する式を作り、実行時間が最も速くなるような最適な粒度を求めることを考える。並列計算機のモデルとしてPRAMモデル、LogPモデル[1]と本研究で提案したオーバヘッドの種類を拡張したモデルの3種類を使い、それぞれのモデルから推測される最適な粒度と実機との違いについて考察する。
著者
松本 剛次
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.179, pp.109-123, 2021-08-25 (Released:2023-08-26)
参考文献数
31

本報告は,国内の大学における日本語教育の現状について,「学士力」との関係から検討したものである。大学数,大学進学者数が増加した現在,大学には,「質の保証」が強く求められている。そしてその際の一つの指針となっているのが「学士力」という考え方である。 国内における大学での日本語教育も,当然その例外ではない。しかし日本語教育の場合,その主な対象が日本語を母語としない留学生であるため,大学での教学マネジメントの観点からは,日本語教育を通しての学士力の育成という側面が注目されることはあまりなかった。しかし,近年では,学士力の育成につながる日本語教育の実践報告も増えてきている。本報告ではそれらの新しい動きを整理した上で,長年,大学における教学マネジメントの外に置かれていた日本語教育だからこそ,学士力の育成に関与しながらも,学士力というもの自体を批判的に再検討することが可能であるということを論じる。
著者
松本 剛次
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.158, pp.97-111, 2014 (Released:2017-02-17)
参考文献数
19

インドネシアの中等教育では,2004年発表の「普通高校・宗教高校カリキュラム」以降,「能力を基盤とするカリキュラム」という考え方が唱えられてきた。そこでは「変化や複雑さ,不確実さに対応できる能力の育成」が重視され,日本語の授業もそれに貢献するものとされた。 しかしこのような考え方は,実際の授業に取り入れられることはあまりなかった。それが近年になり,教育系大学による新たな教師研修・教師養成制度の開始や,それに伴う「PAIKEM(活動・革新・創造・効果的で楽しい授業)」・「科学的アプローチ」といった方法論の紹介などを通して,次第に現場の教師にも理解されるようになってきている。アクション・リサーチ,レッスン・スタディなどの報告も増えている。 「能力の育成に貢献する日本語教育」という考え方はインドネシアの中等教育に限定されるものではない。今後それらが連携していくことで,さらなる進展が期待できる。
著者
中村 衛 松本 剛 古川 雅英 古本 宗充 田所 敬一 田所 敬一 安藤 雅孝 古川 雅英 松本 剛 古本 宗充
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

琉球海溝に固着域が存在するか否かを明らかにするため、中部琉球海溝で海底地殻変動観測を開始し、琉球海溝付近前孤側でのプレート間カップリングを検出する試みをおこなった。2年間の観測から、海底局群が沖縄本島に対して北西方向に7cm/yrで移動したことが明らかになった。予想される固着域の幅は約30-50kmである。このように琉球海溝の海溝軸付近には固着域が存在しプレート間カップリング領域が形成されていることが明らかになった。
著者
松本 剛次/ハシブアン アドレアナ Adriana Hashibuan
出版者
独立行政法人国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-14, 2006-03-15

インドネシア語には、日本語の「受身」と同じものだと理解されることが多い「di-構文」というものがある。田中(1991)は両者の違いを整理し、「di-構文を自然な日本語に移すときの規則」を提示しているが、本調査はその「規則」が明示的に指導されていない状況で、インドネシア人日本語学習者はどの程度それを習得しているのか、また、規則を明示的に指導することには効果があるか、という点について予備調査的に調べたものである。その結果、学習者は単純に「インドネシア語のdi-構文」=「日本語の受身構文」というわけではない、ということは自然に分かってくるものの、「規則」の習得までがスムーズに進むというものではない、ということ、また、明示的に規則を指導した場合には、その場での効果はあるが定着はむずかしく、一方、暗示的な指導が繰り返される場合には少しずつではあるが、徐々に習得が進む可能性がある、ということが見えてきた。
著者
松本 剛 山口 元太朗 秦 大介 坂野 喜一 利倉 悠介 田上 友香理 上野 隆司
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.CcOF2079, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 肩関節後面筋のトレーニングは上腕骨の回旋運動を用いてトレーニングされることが多い。しかし、肩関節後面にある回旋筋の棘下筋、小円筋の走行を考えると、側臥位で肩関節屈曲位からの水平外転運動もトレーニングの方法として適切なものと考えられる。そこで今回水平内転方向の負荷をあたえ、側臥位にて肩関節屈曲角度を変えた状態で肩後面筋の筋活動を計測し、その筋活動を肩関節下垂位での外旋運動(以下1st外旋)と比較することで回旋運動を伴わない状態での肩関節後面の筋活動を明らかにすることを目的とした。【対象および方法】 対象は肩関節に愁訴のない男性18名(年齢24.4±3.9歳、身長173.6±5.8cm、体重67.6±11.1kg)で運動特性のない非利き手(全例右利き)を計測に用いた。測定肢位は側臥位にて仙骨部と足部を壁に接地し、体幹は20°屈曲位とし頚部と体幹の側屈、回旋はおこさないよう指示した。計測肢位は1st外旋位、肩関節60°屈曲位、90°屈曲位、120°屈曲位、150°屈曲位で前腕遠位部に重垂1kgを把持させ、それぞれ8秒間の等尺性収縮を計測した。被検筋は三角筋後部線維(DP)、小円筋(TM)、棘下筋(ISP)とし、得られた波形は2秒間の平均振幅を求め各筋の最大収縮時の値で正規化(%MVC)した。筋電計はMYOSYSTEM1400を用い解析にはMyoresearchを用いた。統計学的分析には二元配置分散分析および多重比較検定を用い有意水準5%未満とした。【説明と同意】本研究の対象者には研究前に主旨と方法を口述にて説明し書面にて同意を得た。【結果】 %MVCは各筋DP、TM、ISPの順に1st外旋位では、2.06±1.33%、3.67±1.55%、3.32±1.45%、60°屈曲位で11.35±6.46%、6.43±2.67%、4.36±1.74%、90°屈曲位で9.91±5.22%、7.40±3.73%、5.53±2.44%、120°屈曲位で、6.03±3.05%、7.86±6.06%、5.70±2.43%、150°屈曲位で7.58±4.15%、8.96±5.29%、5.78±2.47%であった。DPでは1st外旋位とすべての肢位、60°屈曲位と120°屈曲位150°屈曲位、90°屈曲位と120°屈曲位150°屈曲位において有意差を認めた(P<0.05)。TMでは1st外旋とすべての肢位、60°屈曲位と150屈曲位°に有意差を認めた(P<0.05)。ISPにおいては有意な差は認められなかった。DPは60°、90°屈曲位において活動量が増加し、1st外旋位は有意に活動量が減少していた。TMは120°、150°屈曲位で筋活動量が増加し、1st外旋で有意に減少していた。ISPは1st外旋と屈曲位との活動量に有意差はないが肩関節の屈曲角度の増加に伴い筋活動の増加が認められた。【考察】 DPは1st外旋位と比較すると他の全ての肢位に有意な活動量の増加がみとめられた。Reinoldらは側臥位での1st外旋は三角筋の活動を抑制した状態で棘下筋、小円筋を選択的に活動することができると報告している。今回の結果はこの報告の通り1st外旋位でのDPの活動は他の全ての肢位と比較すると活動量は減少していた。逆にTMは報告とは異なり1st外旋位での活動量が他の全ての肢位よりも増加した。またTMは60°屈曲位と比較すると150°屈曲位で有意に活動量が増加していた。TMは肩甲骨外側に起始部をもち上腕骨大結節外側部に停止部をもつ筋である。肩関節が挙上位になるとその距離は離れ筋の長さは長くなる。これによって仕事量が増加しTMの活動量が増加したと考えられる。DPは他に60°、90°屈曲位では120°、150°屈曲位と比較すると有意に活動量が増加していた。これはDPが起始部を肩甲棘、停止部を三角筋疎面にもち肩関節60°、90°屈曲位での水平内転方向への負荷は起始部と停止部が直線上にあり、筋の走行に対して垂直方向に負荷がかかるため活動量が増加したと考える。120°、150°屈曲位で活動量が減少した理由は上腕骨が挙上するにつれて肩甲棘に起始部をもつDPは起始部と停止部が近く、筋の走行が一直線にならず水平方向へ参加する筋線維の量が減少したためと考えられる。ISPは肩関節が挙上するに伴い活動量も増加傾向をしめしたが、有意な差はなかった。これはISPが起始部を肩甲骨棘下窩という広範囲にもつこととKuechle、Kuhlmanらは中部繊維や下部繊維の大きさは外転により顕著な差が生じず、上肢挙上に伴い筋の発揮する力は小さいことから、肢位に関わらず最も強力な外旋筋であると報告していることから肩関節屈曲角度の増加に伴い筋の長さが長くなり増加傾向をしめしたが、有意な差がみとめられなかった一因と考える。【理学療法学研究としての意義】 臨床場面において肩関節屈曲方向の可動域獲得ができれば回旋運動を伴わずとも肩後面の筋活動を高めることができる。等尺性の筋力トレーニングでは負荷量だけでなく起始停止の位置つまり、筋の走行を考慮した様々な角度、肢位で実施することが重要である。
著者
松本 剛 宮下 純夫 荒井 章司 森下 知晃 前田 仁一郎 熊谷 英憲 大友 幸子 DICK Henry J. B.
出版者
東京地学協会
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.112, no.5, pp.705-719, 2003-10-25
参考文献数
20
被引用文献数
6 4

To characterise the crust-mantle boundary (petrological Moho) and to find evidence of ophiolite model, we investigated the lithology and the development process of the oceanic crust. We carried out geological and geophysical studies of Atlantis Bank core complex located at the eastern margin of the Atlantis-II active transform in the Southwest Indian Ridge (SWIR) using deep sea submersibles and remotely operated vehicles. Unaltered lower crust and uppermost mantle rocks were observed at the southwestern slope of Atlantis Bank. The lower crust of this part of Atlantis Bank is similar to the ophiolite exposed ashore. On the other hand, a large number of dike intrusions into gabbroic massifs were observed at the eastern wall and at the southern slope of the bank. This corresponds to the dike-gabbro transition in the ophiolite model. Dike intrusions were also observed in the mantle peridotite domains. This may, however, suggest melt intrusions into the bank near the spreading axis posterior to the mantle peridotite that was dragged out along the detachment faults, or may suggest possible horizontal melt intrusion from the segment centre to the segment edge characterised by a thin plutonic layer. The northern ridge-transform intersection RTI of the Atlantis-II active transform presents an L-shaped nodal basin, while the southern RTI presents a V-shaped one. The difference between northern and southern RTI types suggests differences in the structure and basement rock types. A fossil transform fault and RTI relics at the northern side of the spreading axis west of the Atlantis-II active transform were observed, suggesting a sudden change of the spreading direction in SWIR from 20 Ma