著者
阿部 紫織 中村 要介 若月 泰孝 佐山 敬洋
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2017

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)において,IPCC第5次評価報告書が公表されており,人為的な気候変動の理論はもはや疑う余地がない.この気候変動が河川の流況や人間活動に及ぼす影響については,全球レベルでの研究は多数報告されているが,流域スケールでの影響評価事例はまだ十分ではない.一方,気候変動との因果関係は定かではないが,全国各地で浸水被害が発生しており,2015(平成27)年9月関東・東北豪雨による鬼怒川の堤防決壊や2016(平成28)年8月末の小本川の外水氾濫は記憶に新しい.現在気候下での外水氾濫のリスクを評価するだけでなく,将来気候下での浸水被害を定量的に評価することは,気候変動への適応策としても水防災意識社会の再構築の観点からも重要である.本研究では,利根川水系鬼怒川・小貝川を対象とし,気候変動が河川の流況やその氾濫原に及ぼす影響を定量的に評価することを目的とした.<br />本研究では,CMIP-3,SRES-A1Bシナリオに基づいた21世紀末の気候場について,領域気象モデル(WRF)で予測を行った結果を用い,将来の気候場の予測を領域気候モデル実験で推定した.同様のモデルを用いて現在気候の再現計算を行い,現在気候と将来気候の比較を行った.気候変動を評価する水文モデルにはRRIモデルを用いた.シミュレーション期間は2007年~2009年の3年間とし,それぞれ2ヶ月のスピンナップ期間を除いた前年の11月1日~当該年の10月31日とした.<br />河川への気候変動の影響を評価するため,①基準水位の超過頻度,②豊平低渇流量,③氾濫による浸水域について集計を行った結果,以下の推察が得られた.<br />氾濫危険水位の超過が最大で2倍増加し,浸水リスクが増加傾向にあると予測された.また,平水~渇水流量は減少傾向にあり,渇水リスクが増加傾向にあることが示唆された.浸水リスク増加に伴い浸水域が10~40%程度増加し,地域の水害リスクが高まることが確認された.<br />なお,気候変化影響評価には3年間の集計では不十分であり,今後30年分の計算結果を適用する予定である.また,本気候実験の降水量は過大であり,バイアス補正についても別途検討している.
著者
中村 要介 池内 幸司 阿部 紫織 小池 俊雄 江頭 進治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.I_1177-I_1182, 2018

本研究は平成29年7月九州北部豪雨を一例とし中山間地河川である花月川を対象として,RRIモデルと解析雨量・降水短時間予報を用いた疑似リアルタイム環境での洪水予測シミュレーションを実施した.予測計算は流域・河道の状態量を30分毎に更新・保存しながら6時間先までの水位を逐次計算し,実績水位と予測水位の差から洪水予測に内在する予測時間毎の水位誤差を定量的に評価した.その結果,予測時間が長くなるほど予測水位誤差の幅が大きくなることがわかった.また,RRIモデル×降水短時間予報を用いた今次災害のリードタイムは70分であった.さらに,予測水位の誤差分布を考慮し予測水位を補正することで,補正しない場合より2時間早く氾濫危険水位の超過を予測できる可能性が示唆された.
著者
土屋 十圀 中村 要介
出版者
前橋工科大学
雑誌
前橋工科大学研究紀要 (ISSN:13438867)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.9-15, 2006-03-31

This study estimated the safety degree of flood control at Yattajima, the Tone river, Japan to verify effects of additional dams. Rainfall events considered are Typhoon Catherine in 1947, Ise Bay Typhoon in 1959, the typhoon No. 15 in 1981, and the typhoon No. 5 in 1998. The storage function method was used for runoff analysis, which showed good agreement between observed and computed discharges. Using the spatiotemporal rainfall pattern of Typhoon Catherine, this study simulated rainfall-runoff at each time stage; 1959 with two dams, 1981 with five dams, and 1998 with six dams (the same as present situation), and evaluated the effect of these added dams on flood control in terms of the decrease of peak discharge at Yattajima. The decreases estimated were 513-1,253m^3/s for the 1959 situation; 2,025-2,765m^3/s for 1981; and 2,233-2,973m^3/s for 1998. It is also verified that the present situation with six dams can cope with 200-year floods, which is significant improvement because the past situation without dams could cope with 100-year floods.