著者
畔柳 剛 甲山 治 佐山 敬洋 馬籠 純 松尾 奈緒子 芳村 圭
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.149, 2006

広範かつ複雑に絡み合う現実社会の問題を解決するには,分野を越えた知識・経験が必要であるが,専門化された研究体制の中でそれを得るのは難しい.そこで本グループは異分野交流の場を提供し,枠にとらわれない問題解決へのアプローチができる資質を得ること,社会への還元をより意識した研究活動に取り組む姿勢を共有すること等を目指して2003年に結成された(通称カンピオーネ).時間的・社会的制約が少ない若手の特権を生かし,失敗を恐れない実験的な活動を積極的に行うことで,現実社会にとって本当に必要とされている新たな学問分野の開拓を試みる.本稿では2005年度に行った活動概要を報告する.
著者
佐山 敬洋 田中 茂信 寶 馨
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2016

平成27年9月関東・東北豪雨を対象に鬼怒川上流域における洪水流出解析を行った。鬼怒川上流に位置する湯西川ダム流域では、140 mmの前期降雨が降った後、約20 mm/hの降雨が10時間以上降り続いた。102 km<sup>2</sup>のダム流域に10時間以上の降雨が降り続くことによって、降雨流出現象は概ね定常状態に達していることが想定された。実際に観測されたダム流入量は、約6時間にわたって流量がほぼ一定となっていた。ただし、降雨強度20 mm/hに対してその期間の観測流入量は5 mm/h以上小さくなっていた。この現象を分布型モデルで再現した結果、土壌から基岩への浸透など、主要な流出経路から損失を考慮する必要があることが分かった。さらに流出の時空間起源をモデル分析した結果、定常状態とみられる期間中に流域の遠方に降った雨水の流出成分は、同期間中にも増加していることが確認され、理想化した斜面からの定常状態とは異なっていることが分かった。
著者
阿部 紫織 中村 要介 若月 泰孝 佐山 敬洋
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2017

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)において,IPCC第5次評価報告書が公表されており,人為的な気候変動の理論はもはや疑う余地がない.この気候変動が河川の流況や人間活動に及ぼす影響については,全球レベルでの研究は多数報告されているが,流域スケールでの影響評価事例はまだ十分ではない.一方,気候変動との因果関係は定かではないが,全国各地で浸水被害が発生しており,2015(平成27)年9月関東・東北豪雨による鬼怒川の堤防決壊や2016(平成28)年8月末の小本川の外水氾濫は記憶に新しい.現在気候下での外水氾濫のリスクを評価するだけでなく,将来気候下での浸水被害を定量的に評価することは,気候変動への適応策としても水防災意識社会の再構築の観点からも重要である.本研究では,利根川水系鬼怒川・小貝川を対象とし,気候変動が河川の流況やその氾濫原に及ぼす影響を定量的に評価することを目的とした.<br />本研究では,CMIP-3,SRES-A1Bシナリオに基づいた21世紀末の気候場について,領域気象モデル(WRF)で予測を行った結果を用い,将来の気候場の予測を領域気候モデル実験で推定した.同様のモデルを用いて現在気候の再現計算を行い,現在気候と将来気候の比較を行った.気候変動を評価する水文モデルにはRRIモデルを用いた.シミュレーション期間は2007年~2009年の3年間とし,それぞれ2ヶ月のスピンナップ期間を除いた前年の11月1日~当該年の10月31日とした.<br />河川への気候変動の影響を評価するため,①基準水位の超過頻度,②豊平低渇流量,③氾濫による浸水域について集計を行った結果,以下の推察が得られた.<br />氾濫危険水位の超過が最大で2倍増加し,浸水リスクが増加傾向にあると予測された.また,平水~渇水流量は減少傾向にあり,渇水リスクが増加傾向にあることが示唆された.浸水リスク増加に伴い浸水域が10~40%程度増加し,地域の水害リスクが高まることが確認された.<br />なお,気候変化影響評価には3年間の集計では不十分であり,今後30年分の計算結果を適用する予定である.また,本気候実験の降水量は過大であり,バイアス補正についても別途検討している.
著者
中川 一 里深 好文 大石 哲 武藤 裕則 佐山 敬洋 寶 馨 シャルマ ラジハリ
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
no.50, pp.623-634, 2006

本研究では,インドネシア国第2の河川であるブランタス川の支川レスティ川流域における土砂流出特性を明らかにするために,雨量観測,土壌侵食の観測,河川における濁度や流量等の水理量の観測を実施するとともに,衛星データを用いた植生指数の分析を行っている。さらに,植生指数と降雨に伴う土壌侵食との関係から土砂流出のモデル化を行い,観測データとの比較検討によりモデルの妥当性を検証した。その結果,本モデルにより降雨・土砂流出特性がある程度再現できることが確認された。そして,植生指数によって耕地の攪乱等の人的行為を把握し,これを降雨による土壌侵食量の評価に応用することで土砂流出に与える人為的インパクトを定量的に把握することが可能であると推察された。
著者
山本 浩大 佐山 敬洋 近者 敦彦 中村 要介 寶 馨
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 水文・水資源学会2017年度研究発表会
巻号頁・発行日
pp.81, 2017 (Released:2017-12-01)

近年、局所的な豪雨の影響により、計画規模に匹敵する、または、それを上回る洪水が発生し、都道府県が管理する中小河川では深刻な洪水被害が頻繁に生じている。中小河川災害の一つとして、2009年8月の台風9号による洪水災害が挙げられる。本災害では、千種川水系の上流部の中小河川で溢水・越水が発生し、特に佐用川流域では、山地からの流出や支川の氾濫が複合的に発生し、各地で深刻な被害が生じた。地球温暖化に伴うゲリラ豪雨の発生等に対して、治水整備のみで安全を実現するのは容易ではなく、洪水予測システムの情報に基づき、避難体制を構築することが重要である。洪水予測モデルとして、最近では分布型モデルも実務で使用されているが、それらのモデルは、雨量から流出量を予測し、流出流を河川水位に換算するものであり、氾濫を予測するものではない。また、洪水氾濫の影響が河川流量に大きく影響している場合は、従来の方法では、氾濫後の河川流量の再現性には問題があった。一方で、既存の氾濫モデルは、破堤地点上流の河川流量や水位を境界条件とし、特定の堤内地をにおける詳細な氾濫解析に適するものが多い。千種川のような中山間地域を含む流域では、河川沿いの氾濫が複数箇所で発生するため、降雨情報から各地で起きる浸水域を予測するには、流域全体で降雨流出過程と氾濫過程を一体的で解くモデルが望ましい。本研究で用いる降雨流出氾濫モデル(Rainfall-Runoff-Inundation model)は、流域全体で降雨流出から氾濫計算まで一体的に解析するものであり、溢水・越流などの氾濫を伴う洪水を解析するのにふさわしいと考えられる。既往の適用研究はアジアを中心とした低平地を含む流域が多く、モデルの評価に用いる水文データが不十分であったため、限られた観測点を対象に適用性を検証してきた。本研究は、水系全体で詳細な河道断面の情報を反映し、多地点の観測流量・水位情報を用いてモデルの適用性を詳細に検証した。その結果、モデルは浸水深の動向だけでなく、任意の断面で水位や流量が再現できることがわかった。
著者
佐山 敬洋 立川 康人 寶 馨
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B (ISSN:18806031)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.226-239, 2008 (Released:2008-10-20)
参考文献数
39
被引用文献数
2 4

広域分布型流出予測システムの観測流量によるデータ同化手法を提案する.予測システムは斜面部の流れを表現する流出モデルと河道流れを表現する河道追跡モデルからなる.これらのモデルが持つ全ての状態量を実時間で観測更新することは計算付加が高く,実時間予測システムとしての実行可能性に困難が伴う.そこで,本研究では河道追跡モデルにマスキンガム-クンジ法を用い,河川流量を観測更新すると共に,流出モデルに起因する予測のバイアスを河川流量と同時に逐次推定する方法を提案する.この手法を桂川流域の洪水予測に適用し,斜面部の流出予測バイアスを補正することによって洪水予測精度が向上することを明らかにした.
著者
佐山 敬洋 牛山 朋來
出版者
独立行政法人土木研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、世界各地で発生する大規模洪水を対象に、洪水の現象を明らかにして、予測精度を向上させることを目的とした。本研究の結果、(1)地下水や蒸発散の影響も考慮して降雨流出から洪水氾濫までを一体的に予測するRRIモデルの開発が進んだ。(2) またRRIモデルで再現する河川流出や洪水氾濫の時空間起源を分析する手法の開発が進み、降雨の時空間起源や流出経路の観点から流出や氾濫水の成分を推定できるようになった。(3)さらに、2011年タイ洪水を中心に、降雨の変動が流出や氾濫に及ぼしている影響や、氾濫原に降った雨が流域全体の氾濫に及ぼしている影響などが明らかになった。
著者
小杉 賢一朗 水山 高久 里深 好文 堤 大三 宮田 秀介 勝山 正則 佐山 敬洋 藤本 将光
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

土石流に対するハード対策・ソフト対策を的確かつ効率よく実施する為に,豪雨に伴う表層崩壊の発生と崩土の土石流化のメカニズムを解明し,予測手法を開発した。表層崩壊については,地形のみでは発生メカニズムを十分に説明できず,基岩内部の地下水流動を把握する必要があることが明らかとなり,電気探査や空中電磁探査に基づく予測手法が提示された。さらに,基岩からの湧水が土石流の規模を増大させる可能性があることが確かめられた。
著者
立川 康人 寳 馨 佐山 敬洋
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

治水計画の基準となる河川流量を求める場合、わが国では、降雨の確率規模を設定していくつかの降雨パターンを想定し、流出モデルを用いて対象地点の河川流量を求めるという手順をとる。このとき、入力となる降雨は、ある確率規模を定めたとはいってもその時空間パターンには無数のバリエーションがある。また流出モデルも完全なものではない。したがって予測される河川流量には多くの不確かさが含まれる。基本高水はこの予測の不確かさを把握し総合的な判断のもとに決定される。したがって、予測の不確かさを定量化し、不確かさが発生する構造を明らかにすることが重要である。予測値と共にその予測値の不確かさを定量的に示すことができれば、治水計画を立案する上で有効な判断材料を提供することになる。河川流量の予測の不確かさは、主として1)入力となる降雨が不確かであること、2)流出モデルの構造が実際の現象を十分に再現しきれないこと、3)流出モデルのパラメータの同定が不十分であること、から発生する。これらは基本的には観測データが十分に得られないことが原因であるが、洪水を対象とする場合、100年に1回といった極めて発生頻度の低い現象が対象となるため、すべての流域でデータを蓄積して問題を解決しようとするのは現実的ではない。ある流域で観測されたデータをもとに観測が不十分な流域での水文量を推定する手法を開発し、その推定量の不確かさを定量的に示すこと、またその不確かさができるだけ小さくなる手法を追求することが現実的な方法である。そこで本研究では1)降雨観測が不十分な流域における確率降雨量の推定手法の開発、2)降雨の極値特性を反映する降雨の時系列データ発生手法の開発、3)不確かさを指標とした流出モデルの性能評価と分布型流出モデルの不確かさの構造分析、を実施した。