著者
小野 紘彦 佐藤 和貴郎 中村 雅一 山村 隆
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.306b, 2017 (Released:2017-11-25)

【背景】筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は著しい疲労に加え,認知機能障害や睡眠障害など様々な神経症状が生じる深刻な慢性疾患である.近年ノルウェーからリツキシマブによるB細胞除去療法の有効性が報告されたが,ME/CFSにおける末梢血リンパ球についての知見は乏しく,なぜB細胞除去療法が治療効果を発揮するか不明である.【目的】ME/CFS患者の末梢血中のB細胞異常を明らかにする.【方法】対象はカナダ基準およびInternational consensus criteriaを共に満たす患者40人と年齢,性別をマッチさせた健常者20人とした.末梢血から末梢血単核球細胞を分離し,B細胞受容体(BCR)レパトア解析とフローサイトメーターを用いたB細胞サブセット頻度及び機能分子発現の解析を行った.【結果】BCRレパトア解析では患者群において多様性指数であるNormalized shannon indexとクローナリティーの指数であるDE50が低い傾向があり,多様性の減少およびクローナリティーの増加がみられた.リンパ球サブセット解析では,患者群と健常者群で比較すると,B細胞では患者群においてplasmablastが低下し(p = 0.04),一部の患者でCD80の発現が亢進していた.【結論】ME/CFSの末梢血においてB細胞の異常が認められた.免疫異常とME/CFSの病態との関わりについてさらなる研究が必要である.
著者
中村 雅一 千原 典夫 山村 隆
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.277, 2014 (Released:2014-10-07)

自己免疫疾患におけるプラズマブラスト(PB)は自己抗体,あるいはサイトカイン産生により病態形成に寄与すると考えられる.実際に,全身性エリテマトーデスなどいくつかの自己免疫疾患では,末梢血PBの増減と病勢との関連が報告されている.また,PBはCD20の発現を欠くためRituximabの標的外であり,関節リウマチや特発性血栓性紫斑病などにおける同薬抵抗性例の存在は,自己免疫疾患におけるB細胞除去治療の標的としてのPBの重要性を示唆する.  私達は,中枢神経系の自己免疫疾患である視神経脊髄炎(NMO),及び多発性硬化症(MS)の臨床検体を用いてPBと病態との関連を検討してきた.NMOでは,CD138+ PBがCXCR3介在性に中枢神経系に浸潤し,IL-6依存性の生存,及び自己抗体産生により病態形成に寄与することを明らかにするとともに,Tocilizumab治療の有効性を確認した.また,古くから自己抗体介在性亜群の存在が指摘されるMSにおいても,一部の患者で末梢血IL-6依存性PBの増加を認め,これらの患者は既存治療抵抗性であることを見出した.従って,MSにおいてもPBは有力な治療標的になる可能性があり,MSにおけるPB研究は,これまでのランダム化比較試験結果に基づく画一的な治療薬選択から病態に応じたテーラーメイド治療への発展の契機となることが期待される.
著者
中村 雅一 佐久間 広貴 酒井 正俊 飯塚 正明 工藤 一浩
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.77-82, 2003-02-10 (Released:2009-01-27)
参考文献数
15

This article presents the concept and some fundamental research on ‘self-assembled’ nanoscale transistors using charge transfer (CT) complexes. First, TTF-TCNQ CT complex wires of organic metals having high conductivity, are formed by applying electric field during vacuum deposition. Then, a self-aligned active part is formed in the gap between a pair of grown wires. The semiconductive part spontaneously formed at the point of wire contact can be used as an active part; besides, we can employ the metal-semiconductor (metal-insulator) phase transition devices consisting of CT complex bilayers of which electronic structure is modulated by external electric field. On the CT complex wires and CT complex bilayer transistors, some experimental results are presented.