著者
藤田 倫子 湯川 夏子 中西 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成21年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.2015, 2009 (Released:2009-08-28)

【目的】平成20年3月、新学習指導要領が公示された。小学校家庭科では、「B.日常の食事と調理の基礎」として、「食事の役割」「栄養素の種類とはたらき」「調理の基礎」を指導することになった。「調理の基礎」を指導することは、従来より小学校家庭科の重要課題である。そこで本研究では、新学習指導要領下で実施可能な調理実習教材探求を目的に、小学校家庭科調理実習教材の変遷(戦後~現在)について調査を実施した。 【方法】小学校学習指導要領家庭科編および小学校家庭科検定済教科書(T社およびK社。計28冊)を資料として調査を行った。 【結果】小学校学習指導要領家庭科編は、昭和22年に試案が出され、7回改訂後現在に至っている。昭和22年の試案には、学習題材として「蒸し芋・青菜のひたし・いり卵」(6年)が示された。昭和33年改訂では「野菜の生食・ゆで卵・青菜の油いため」(5年)、「ごはん・みそしる・目玉焼き・こふきいも・サンドイッチ」(6年)が示された。昭和43年および52年改訂では大きな変化はなかった。平成元年改訂では、「野菜や卵を用いた簡単な調理」(5年)、「米飯,みそ汁,じゃがいも料理,魚や肉の加工品を使った料理,サンドイッチ,飲み物」(6年)が挙げられた。平成10年改訂では、「米飯とみそ汁」のみ題材指定され、本内容は平成20年改訂の指導要領に引き継がれた。指導要領に対応して教科書が作成・改訂されるが、平成10年改訂に対応した教科書から、5・6年で一冊となった。2社の教科書は、改訂時期や変更内容は類似しているが、平成10年改訂に対応した教科書から実習例や使用食材が異なってきた。
著者
谷津 麻子 湯川 夏子 中西 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.72, 2011

【<B>目的</B>】サツマイモの加熱調理器具としては、蒸し器、オーブン、電子レンジなどが広く使われてきた。これらに加えて今回、炊飯器を利用したサツマイモの加熱調理に着目した。炊飯器調理の利点は、材料をいれてスイッチを押したら、あとは自動的に仕上がるという点である。サツマイモを炊飯器加熱すると、「蒸し物(ふかしいも)」と「煮物」の中間の食感に仕上がる。本研究では炊飯器を利用し、サツマイモを加熱調理する際の最適条件を検討した。<BR>【<B>方法</B>】徳島県産の鳴門金時(平均重量170g)を購入し、使用した。炊飯器加熱はナショナル電気炊飯器(SR-W100)(5合炊き)を使用し、釜に一定量の水とサツマイモ(横1/2に切ったもの3ケ)を入れ、スイッチが切れるまで加熱調理を行った。測定項目は、加熱時間、内部温度、Brix糖度、硬さなど。<BR>【<B>結果</B>】加水量を150ml~400mlまで変化させて加熱時間を測定したところ、加水量150mlでは24分、200mlでは30分、300mlでは38分、400mlでは53分となり、加水量にほぼ比例して加熱時間が長くなった。サツマイモの内部温度が90℃以上に保たれていた時間は、加水量150mlでは3分、200mlでは10分、300mlでは19分、400mlでは29分であった。加熱終了時のサツマイモの糖度は加水量150mlですでに17%に達しており、さらに加水量を増やしてもほとんど変化は見られなかった。一方、硬さは、加水量増加とともに減少したが、試食による官能評価では、加水量150mlではまだ硬く、食べるには不適であった。以上、今回使用した炊飯器では、少なくとも200ml以上の水量での加熱が適切と判断した。
著者
中須 晴南 湯川 夏子 中西 洋子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集 第57回大会・2014例会
巻号頁・発行日
pp.62, 2014 (Released:2015-01-10)

【目的】中学校技術・家庭科の技術分野において、新学習指導要領より「生物育成」が必修となった。「生物育成」の中には、野菜の栽培も含まれる。また、家庭分野の調理実習においては、野菜を使った料理を取り上げることもできる。したがって自分たちで食材を栽培し、調理して食べるという技術科と家庭科の連携の授業ができると考えた。しかし、どの野菜が栽培と調理実習の連携の教材として適しているのか、またどのように連携授業を行えばよいのか明らかではない。そこで本研究では、「生物育成」で栽培する野菜の検討及び連携授業の提案と実践を行い、その教材の教育的効果を検証することを目的とした。【方法】2012年5月~2013年8月に、中学校技術科の教科書に記載されている野菜を中心に、16種類の野菜を栽培し、評価を行った。評価の結果、適していると考えられた野菜の一つである万願寺とうがらしを用いた教材を提案し、授業実践を行った。授業実践は2013年10月に、京都府内のA中学校の第1学年(124名、4クラス)を対象とし、講義と調理実習の授業実践と、授業実践前後にアンケート調査を行った。調査内容は、万願寺とうがらしの知名度や好き嫌い、イメージ等、である。【結果】栽培と調理実習の連携授業を行うにあたっては、「収穫しやすく、かつ一度に多く収穫できる」野菜であり、「50分間という短い時間でも可能な調理実習内容」という課題を解決する必要があることを我々は明らかにした1)。そこで、栽培をした野菜について1.簡単さ、2.面白さ、3.時季、4.関係性、5.調理への応用、という5つの観点から評価した結果、ピーマン、万願寺トウガラシ、シシトウ、ミズナ、コマツナ、ホウレンソウ、ジャガイモがその条件を満たしており、かつ総合的にも栽培と調理実習の連携に適した教材であることが分かった。 これらの野菜の中から、京野菜でもある、万願寺とうがらしを選び、育ち方や旬、京野菜についての講義と、短い時間でもできる「万願寺とうがらしと厚揚げの炒め煮」の調理実習を提案し、授業実践を行った。授業後にアンケート調査を行った結果、万願寺とうがらしに対するイメージの変化や好みの変化が見られ、講義や調理実習を通して生徒の意識を変え、可能性を広げることができた。また、京野菜の一つである万願寺とうがらしの学習をしたことで、他の京野菜にも関心をもつきっかけにもすることができた。本授業の目標は、「万願寺とうがらしについて理解を深め、万願寺とうがらしを使った料理を作ることができる。」であったが、調理実習に意欲的に取り組んでいたことからも授業の目標は達成できたといえる。調理実習は、4クラスとも50分間で片付けまで終わらせることができていたことも含め、「万願寺とうがらしと厚揚げの炒め煮」は教材として適しているといえるだろう。 以上のことから、万願寺とうがらしを用いたこの教材の教育的効果は認められ、栽培と調理実習の連携の授業として有効であるといえる。今後は、栽培と調理実習の連携の授業を推進していくために、「収穫しやすく、かつ一度に多く収穫できる」野菜を用いた、「50分間という短い時間でも可能な調理実習内容」等の調理実習教材を開発することが必要である。また、京都府以外でも実践できる「地域の食文化」の内容と関連づけた、各地域の特産物や郷土料理を用いた教材を開発することも必要であろう。そして、教員自身の意識を高め、「生物育成」と調理実習の連携を推進していきたい。 引用文献1)中須晴南ら;教育実践研究紀要 Vol.14,印刷中(2014)
著者
瀬戸 美江 佐伯 俊子 中西 洋子 梶田 武俊
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.367-372, 1990-11-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
12
被引用文献数
3

It is known that chlorophyll is easily decomposed by acid, heat, enzyme, light and other factors. In this study, photodecomposition of chlorophyll in green leaves under various conditions was examined.The results obtained were as follows:1) Spinach powder was rapidly discolored by UV light irradiation, and its discoloration was accelerated with increases in temperature and in the presence of oxygen.2) The color of spinach powder stored under high humidity was deeper than that of the powder stored under low humidity, but color changes induced by UV light irradiation in the former were smaller than those in the latter.3) Chlorophyll in spinach powder decreased by UV light irradiation, but shifts in the wavelength of maximal absorption were not observed.4) It is suggested that the rate of photodecomposition of chlorophyll depends on the species of plants.
著者
圓口 智子 湯川 夏子 中西 洋子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.166-171, 2016 (Released:2016-05-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究の目的は,乾燥米麹から調製した自家製塩麹のカゼイン分解活性の特性を明らかにすることである。本研究により以下のことが明らかになった。 1) 塩麹のカゼイン分解活性は24℃,7日間の発酵・熟成で84%に低下したが,以後冷蔵庫保存2ケ月間,同レベルの活性を維持した。一方,塩麹の糖度は7日間の発酵・熟成で10%から20%に増加し,以後微増した。塩濃度は調製・保存の全期間を通じて約11%であった。 2) 活性測定に用いた塩麹10倍希釈液によるカゼインの分解は,少なくとも6時間は反応時間に比例して進行した。SDS-PAGEでも,カゼインタンパク質の分解を確認した。 3) 塩麹原液のカゼイン分解活性は,50℃,30分間放置では変化が認められなかったが,さらに高温に放置することにより活性の低下が認められた。 4) 塩麹のカゼイン分解活性は,生姜の約3倍,キウイフルーツの約1/8であった。
著者
圓口 智子 湯川 夏子 中西 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】近年、「万能調味料」として塩麹が注目を集めており、塩麹を利用した料理レシピ本が数多く出版されている。塩麹には食材に塩味を付けるだけでなく、麹の持つタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)やデンプン分解酵素の作用による栄養素の吸収促進や素材のうま味を引き出す効果が期待されている。塩麹は家庭において、麹に食塩と水を加え、約1週間室温で発酵・熟成させて作ることができる。また、購入後すぐ使える塩麹も市販されている。これら塩麹を効果的に利用するためには、含まれる酵素の性質を理解する必要がある。本研究の目的は、自前で調製した塩麹および市販塩麹の持つプロテアーゼの諸性質を明らかにすることである。<br>【方法】塩麹は、乾燥米麹「みやここうじ」((株)伊勢惣)を用いて調製した。また、メーカーの異なる市販塩麹を購入し、使用した。プロテアーゼ活性は、カゼイン消化法(37℃)により測定し、1分間に280nmの吸光度を1.0増加させる活性を1unitとした。<br>【結果】塩麹10倍希釈液を用いた測定では、少なくとも反応時間4時間までは反応時間に比例してカゼインの分解が進行した。しかし、10倍希釈液を50℃30分間放置することで、プロテアーゼ活性(カゼイン分解活性)は42%に低下した。発酵・熟成前(調製0日目)のプロテアーゼ活性は0.15&plusmn;0.017unit/g原液であり、24℃、7日間の発酵・熟成で0.12&plusmn;0.011unit/g原液(残存活性84%)となった。以後、冷蔵庫保存1ケ月間、同レベルの活性を維持した。一方、食塩無添加の場合、24℃、7日間でプロテアーゼの残存活性は20%に低下した。市販塩麹の中にはプロテアーゼ活性の検出できないものがあった。
著者
中西 洋子
出版者
目白大学
雑誌
目白大学人文学研究 (ISSN:13495186)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.A15-A24, 2011