著者
中野 忠
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

16世紀のロンドンはフリーメンが大多数を占め、彼らが地域の自治に役職を通じて参加する都市だった。この制度の枠組みは存続するが、それを支える原理は17世紀以降、しだいに変化した。罰金支払いによる役職忌避が広がり、役職の一部は有給の職員の雇用や請負によって置き換えられた。地域人口の高い流動性も役職制度の機能の障害となった。大火以後の移動の高まりに対して、転入者を役職制度に組み込むための努力も払われた。しかし役職を通じての奉仕よりも地方税の支払いがより重要な住民の貢献になっていった。教区ごとの救貧税により貧民を救済する救貧法の定着が、この傾向を促進した
著者
中野 忠 道重 一郎 菅原 秀二 唐澤 達之 小西 恵美 山本 千映 真保 晶子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

消費文化や印刷文化の浸透を背景とする18世紀のイギリスの都市化は、人々の社会関係のあり方に新しい次元をもたらすとともに、古い制度や組織が担ってきた機能を新たな社会関係資本のネットワークのもとに再編する過程として進行した。都市社会はよりオープンになり、貧困や犯罪は中位層以上の市民が対処すべき社会問題となる一方で、社会的な差異を作り出す新たな力が作用し、参加型の地域社会もその性格を変えていった。