著者
長野 心太 久保田 良浩 高岸 智子 篠塚 淳 青木 昭和
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.81, no.7, pp.1324-1328, 2020 (Released:2021-01-31)
参考文献数
22

妊娠27週5日の32歳,女性.心窩部痛と嘔吐を主訴に救急搬送された.腹部単純CTで中腸軸捻が疑われたため新生児科医および産科医の立ち会いのもと,緊急手術を施行した.Treitz靱帯の形成はなく,上腸間膜動脈を中心として小腸・盲腸・上行結腸が時計回りに360°軸捻転していたため,腸回転異常症に伴う中腸軸捻と診断し,捻転を解除した.腸管の虚血性変化は軽度で腸管切除は要さなかった.術後は一過性に子宮収縮を認めたものの,経過良好で術後9日目に退院となった.妊娠中に生じる中腸軸捻の報告は非常に少なく,国内では2例目である.母児ともに予後良好に治療しえたので報告する.
著者
近藤 将成 久保田 良輔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.496, pp.21-26, 2015-03-05

本報告では,レーベンシュタイン距離に基づく遺伝的アルゴリズムを用いて,看護師の勤務希望を考慮した勤務表を生成する方法を提案する.これまでにも,看護師の勤務希望を考慮した勤務表生成が行われてきたが,それらの勤務表は看護師の勤務に関するガイドラインを完全に遵守できているとは言い難く,また,勤務希望の満足率も高いとは言えない.提案手法では,レーベンシュタイン距離に基づいて勤務表間の類似性を算出し,これを評価関数の設計と突然変異を行う要素の決定に利用することで,勤務に関するガイドラインを守りつつ,勤務希望の満足率を高く保つことが可能となる.種々のシミュレーションにより,提案手法の有効性を検証する.
著者
坂井 幸子 久保田 良浩 加藤 久尚 森 毅 清水 智治 谷 眞至
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.978-984, 2018

<p>症例は在胎30週4日,812 gで出生した女児.日齢36に壊死性腸炎を発症,日齢44に消化管穿孔に対して開腹術を施行し,壊死小腸を切除して残存小腸は約50 cmとなった.術後11日目に母乳を再開し順調に増量できたが,日齢90頃より下痢便が出現,乳糖不耐症を疑いMA-1<sup>®</sup>へ変更し改善した.日齢123に血便,腹部膨満,CRP上昇を認め,消化管アレルギーを疑いエレメンタルフォーミュラ<sup>®</sup>へ変更したが改善せず,1週間絶食後に経腸栄養を再開したが腸管ガス貯留が持続し,腸内細菌異常増殖症(small intestinal bacterial overgrowth;SIBO)を疑いmetronidazoleの投与を開始した.数日後には腸管ガスの著明な減少を認め,経腸栄養再開後も症状の再燃は認めなかった.本症例では未熟性による腸管蠕動不良,壊死性腸炎,消化管アレルギーなどの要因が加わりSIBOを発症したと考えられた.</p>
著者
小栢 進也 久保田 良 中條 雄太 廣岡 英子 金 光浩 長谷 公隆
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0051, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】膝を伸展させる代表的な筋は大腿四頭筋であるが,足や股関節の筋は下腿や大腿の動きを介して膝を伸展できる。このため,ヒトの多関節運動においては膝関節以外の筋も膝伸展運動に関与する。変形性膝関節症(膝OA)患者は立脚初期の膝伸展モーメント低下が報告されており,大腿四頭筋の膝伸展作用が低下している。しかし,膝OA患者は大腿四頭筋以外のどの筋で膝伸展作用を代償しているのか明らかではない。筋骨格シミュレーションによる順動力学解析は筋張力と関節角加速度の関係性を計算式により算出することで,膝伸展運動における筋の貢献度を調べることができる。そこで,本研究では膝OA患者の歩行分析から,筋が生み出す膝関節角加速度を調べ,膝伸展に貢献する筋を調べる。【方法】対象は膝OA患者18名(72.2±7.0歳),健常高齢者10名(70.5±6.7歳)とした。被験者の体表に18個のマーカーを貼り,三次元動作分析システム(3DMA-3000)およびフォースプレートを用いて歩行動作を測定した。マーカーの位置情報には6Hzのローパスフィルターを適用した。次に,OpenSimを用いて順動力学筋骨格シミュレーション解析を行った。8セグメント,7関節,92筋のモデルを使用した。解析はモデルを被験者の体に合わせるスケーリング,モデルと運動の力学的一致度を高めるResidual Reduction Algorithm,筋張力によってモデルを動かすComputed Muscle Controlを順に行い,歩行中の筋張力を計算式により求めた。さらに各筋の張力と膝関節角加速度の関係性を調べるためInduced Acceleration Analysisを用いた。データは立脚期を100%SP(Stance Phase)として正規化し,立脚初期(0-15%SP)での各筋が生み出す平均膝伸展角加速度を求めた。統計解析には歩行速度を共変量とした共分散分析を用い,筋張力と筋が生み出す膝伸展加速度を膝OA患者と健常高齢者で比較した。【結果】0-15%SPの張力は大腿広筋,足背屈筋群,ひらめ筋,腓腹筋で膝OA患者が健常高齢者より有意に低く,股内転筋群で有意に高い値を示した。膝伸展角加速度の解析では大腿四頭筋(膝OA患者2656±705°/sec2,健常高齢者3904±652°/sec2),足背屈筋群(膝OA患者-5318±3251°/sec2,健常高齢者-10362±4902°/sec2),ヒラメ筋(膝OA患者1285±1689°/sec2,健常高齢者3863±3414°/sec2),股内転筋群(膝OA患者1680±1214°/sec2,健常高齢者1318±532°/sec2)で有意差を認めた。【結論】膝OA患者と健常高齢者では大腿四頭筋と足背屈筋群に大きな差を認めた。膝OA患者は立脚初期の大腿四頭筋の発揮張力低下により膝伸展作用が低下する一方で,前脛骨筋を含む足背屈筋群の発揮張力を減少させ,その膝屈曲作用を低下させている。足背屈筋群は下腿を前傾することで膝を屈曲させるため,膝OA患者は足背屈筋群の張力発揮を抑えて立脚初期に膝屈曲が生じない代償パターンにて歩行していることが明らかとなった。