著者
安田 康晴 佐々木 広一 坂口 英児 山本 弘二 吉川 孝次 友安 陽子 上杉 香鈴 二宮 伸治
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.806-815, 2022-10-31 (Released:2022-10-31)
参考文献数
20

背景:救急現場で使用されている眼球保護具の形状はさまざまであり,それら形状別の飛沫防御効果を検証する必要がある。目的:救急活動時に使用されている眼球保護具の形状による飛沫防御効果を検証し,適切な眼球感染防御対策について検討すること。対象:ゴーグルなど着用なし,眼鏡,全周カバー付きゴーグル,スポーツタイプゴーグル,シールドグラス,フェイスシールド,シールド付きヘルメット。方法:模擬飛沫発生装置により,救急活動での傷病者と救急隊員の距離・水平角・方位角別の眼球部の模擬飛沫付着を比較・検討した。結果:模擬飛沫の付着は本研究で用いたフェイスシールドでは認められなかったが,他の眼球保護具では認められ,眼鏡やスポーツタイプのゴーグル単体より,シールドグラスなどを併用することにより飛沫防御効果が高まった。まとめ:顔面全体を覆うフェイスシールドの着用や眼鏡やゴーグルにシールドグラスなどを併用することにより眼球への飛沫曝露リスクを軽減させることが示唆された。
著者
安田 康晴 二宮 伸治 諌山 憲司 竹井 豊
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.5-14, 2015-02-28 (Released:2015-02-28)
参考文献数
19

救急車搬送中の傷病者の容態悪化を防ぐため安静に搬送する必要があり,高規格救急車には加速度等により生ずる揺れを吸収するために防振架台が設置されている。本研究は救急車の振動と防振架台の効果と対策について検討した。実験1:3種類の救急車で障害物を走行し,床上と防振架台上の振動を測定した。独立懸架方式サスペンションの救急車が最も振動が小さく(p<0.001),全救急車で床面上より防振架台上が大きく(p<0.05),共振により振動が増幅していた。実験2:救急車と防振架台の共振周波数について検討した。車体は5〜20Hzで振動が減衰しているが,防振架台上は3〜5Hzで減衰し,10Hz以上では車体に対して著しく振動が増加した。防振架台を固定すると当該振動のゲインが低くなった。防振架台は3〜5Hzの低周波域で効果的に振動を吸収するが,衝撃荷重では著しい共振を起こす。振動を抑制する対策として,防振架台を固定する,障害物の走行時は減速することがあげられる。
著者
小松 真也 二宮 伸治
出版者
一般社団法人 日本体外循環技術医学会
雑誌
体外循環技術 (ISSN:09122664)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.393-399, 2015 (Released:2016-01-07)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

体外循環操作訓練の評価は指導者に委ねられているが、多人数を対象とする場合は、訓練者自ら評価を行える環境が望ましい。この環境を構築して総合的な能力の評価を実施するには、シナリオトレーニングを定量的に評価できる手法を確立し、基本操作手技とシナリオトレーニングの定量評価の関係性を明らかにする必要がある。 本研究では養成校における学生91名を対象とし、シナリオトレーニングにチェックシート手法を導入して達成度の定量評価を行う環境を構築した。次に基本操作手技およびシナリオ達成度評価の関係性を検討するため、血圧維持を課題とする基本操作手技評価の後にシナリオトレーニング評価した群と、逆の順序で実施した群に分類し、それぞれの評価を比較した。 その結果、基本操作手技評価を先に実施した群は、シナリオトレーニング時に有意に血圧維持習熟度が上昇したが、シナリオ達成度評価には有意差が認められなかった。このことより体外循環操作の総合的な能力を評価するためには、基本操作手技とシナリオ達成度の定量評価を統合したトレーニング様式を検討する必要が示唆された。
著者
コリー 紀代 清水 弘美 高橋 望 小水内 俊介 近野 敦 金井 理 二宮 伸治 大塚 健 浅賀 忠義
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.117-125, 2018-04-25

背景 : 在宅医療の高度化により, 気管内吸引等の高度ケアを担う人材の育成が喫緊の課題である.方法 : 気管内吸引を行う看護師と看護学生の眼球運動を測定し, 気管内吸引中の認知・判断面を含めた多重タスク構造を気管内吸引オントロジーとして可視化した.結果 : 構築された気管内吸引オントロジーの階層構造からは, 手順という手続き的知識のみならず, 医療機器に関する知識, 気管内吸引が無効であった際の選択肢に関する知識など, 多岐にわたった専門知識が要求される行為であることが示された.考察 : オントロジーは「できる」能力の範囲や評価すべき能力の定義を示す教育評価ツールとしても活用の可能性がある表現法と考えられた.
著者
土井 康明 上田 隆浩 茂里 一紘 二宮 伸治
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
日本造船学会論文集 (ISSN:05148499)
巻号頁・発行日
no.186, pp.89-96, 1999-12
被引用文献数
3 2

A numerical simulation method of the motion of a rowing race boat is developed in order to evaluate the performance of oar size and rowing pattern. The driving force of blade is measured experimentally. The resistance of the boat is referred to the experimental result carried out in a towing tank. The motion of crew, which is most important in the simulation, is evaluated from the equation of a boat motion where the other terms are experimentally measured. These measured external forces are modeled by Fourier series or polynominal expressions. The equation of a boat motion is numerically solved by use of Runge-Kutta method. The Simulated boat velocity and force acting on blade are compared with the measured ones. The experiment was carried out in cooperation with the crew at Hiroshima University. Good agreement with the simulated results and measured ones shows that the present simulation method has merit to evaluate the rowing performance. Through the present simulation method, outboard length, blade area, stroke rage and phase of catch are evaluated.