著者
山辺 昌彦 大岡 聡 植野 真澄 井上 祐子 小山 亮 石橋 星志
出版者
公益財団法人政治経済研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

「東方社コレクション」と「日本写真公社撮影空襲関係写真」について、リストと解題を作成してその全貌を紹介するとともに、展示や写真集により主な写真を広く公開した。これにより、東方社撮影写真が、空襲などの戦争被害をはじめとして、戦時下や戦後直後の市民の暮らしなどを伝える貴重な記録写真であるという、東方社写真の歴史的意義が明確になり、東方社写真の再評価を確立した。また、防衛総司令官・東久邇宮稔彦の東京空襲体験、別所弥八郎撮影写真の特徴なども明らかにすることができた。
著者
井上 祐子
出版者
同志社大学
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.67-80, 2010-09

論文(Article)本研究は、生活相談員が必要と認知する対人福祉サービスの構造を検討することを目的とした。調査対象は、京都府にある223の高齢者福祉施設に勤務する生活相談員とし、192名から回答を得た。仮説モデルは、「相談面接」「援助計画策定」「ネットワーク形成」「権利擁護」「危機管理」を要素に構成した。仮説モデルのデータへの適合性は、構造方程式モデリングを用いて検討した。その結果、CFIは0.913、RMSEAは0.080と統計学的な許容水準を満たしていた。以上の結果から、生活相談員の対人福祉サービスの体系化に際しては、上記の5領域を重視することの必要性が示唆された。Purpose:This study is intended to examine the structure of personal social services that are recognized need by social workers working in welfare facilities for the elderly. Method: Questionnaires were sent to 223 welfare facilities for the elderly in Kyoto prefecture, and responses from 192 social workers were analyzed. The hypothesis model was structured with "Consulting interview", "development of care plans", "network formation", "advocacy" and "crisis management". This hypothesis model was examined using Structural Equation Modeling (SEM). Result: This model performed well in term of CFI=0.913,RMSEA =0.080, and met the level of statistical tolerance. Conclusion:The result of this study suggested that the above five factors were important for the systematization of personal social services.
著者
山根 一美 井上 祐子 倉田 節子 小河 育恵 岡 須美恵
出版者
ヒューマンケア研究学会
雑誌
ヒューマンケア研究学会誌 (ISSN:21872813)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.79-83, 2013

中堅看護師は、専門的知識・技術に裏付けされた看護が実践できる自律した看護実践者であり、かつ看護組織において、看護実践以外にも後輩や学生の教育、リーダー業務や委員会活動など中心的役割を担う者として期待されている。しかし、日常業務に追われ、自己のキャリアを十分に発揮できず、役割が遂行できないという実情に苦悩している。先行研究では、役割の曖昧さがストレスとして離職の要因となったり、今の職位のまま仕事の続行を希望する中堅看護師が約90%あるとの報告があった。また、中堅看護師に対する支援として、上司からの承認やワーク・ライフ・バランスを考慮した組織的な支援体制の構築が重要との報告があった。一方、中間看護管理者は役割の変化に伴い、役割葛藤・困難さを自覚しており、中間看護管理者への支援に管理者研修、メンターの配置、組織的な教育体制などが重要と指摘されていた。このようにそれぞれの支援に関する研究は多数存在するが、中堅看護師から中間看護管理者に役割移行時の支援に焦点を当てた研究は見当たらない。そこで本研究は、中堅看護師から中間看護管理者への役割移行に必要な支援を検討するために、文献から中堅看護師と中間看護管理者のとらえる役割、役割遂行上の困難、および求める支援を明らかにすることを目的とした。
著者
梁 洪淵 斎藤 一郎 森戸 光彦 美島 健二 井上 祐子
出版者
鶴見大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

目的:口腔の老化度指標を確立することを目的に抗加齢医学に基づいた全身と口腔の老化度検査を行い両者の比較検討をする。背景:「健康と若さを保ちながら年を重ねることを可能にする医学」として抗加齢医学の確立が望まれ、健康増進のための指導や療法は「健康日本21」を実現させるための新たな予防法としての取り組みであることから、歯科領域においても抗加齢歯科医学の実践が急務である。一方、本学ドライマウス外来を受診した2600人の統計解析の結果より、ドライマウスの大半は生活習慣病や服用薬剤の副作用等により発症していることが明らかとなり、さらに唾液分泌障害の要因の一つに酸化ストレスが関与している事も判明した。これらのことを背景に本研究では口腔と全身の老化度の関係を検討する。対象:本学アンチエイジング外来を受診した30名を対象に下記の検査を実施した。方法:検査項目口腔の老化度検査 1.唾液分泌量 2.現在歯数 3.カンジダ菌検査 4.歯周組織検査 5.咬合力 6.反復唾液嚥下テスト 7.唾液CoQ10検査全身の老化度検査 1.血液検査(酸化ストレス、ホルモン等) 2.脈波伝播速度 3.体組成検査 4.骨密度 5.握力 6.脳機能検査 7.毛髪検査評価:過去の文献より口腔の老化度に関する項目を設定し、口腔と全身の老化度を測定することにより両者の老化度の関連を評価した。結果:全身ならびに口腔の検査を実施した結果、次の項目に相関が認められた。握力と安静時唾液分泌量(r=0.5770 p=0.03)、総テストステロンと安静時唾液分泌量(r=0.6607 p=0.05)、BMIと安静時唾液分泌量(r=-0.5752 r=0.03)、ウエスト/ヒップ比と安静時唾液分泌量(r=-0.5933 p=0.03)、PWVと現在歯数(r=-0.4958 p=0.005)、骨密度と現在歯数(r=0.4011 p=0.02)以上の結果から、口腔の老化度検査は全身の老化度を把握する一つの指標となる可能性が示唆された。