- 著者
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今井 久登
- 出版者
- 学習院大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2010-04-01
記憶の想起意識を俯瞰的に検討し,次の成果を得た。① 研究史:想起意識は当初,記憶システムの定義として位置づけられた。研究の進展と共に,想起意識から手続き的定義へと精緻化されたが,このような想起意識の位置づけの変化は明確に議論されず,結果として想起意識が研究の焦点から外れていった。② 実証研究:匂い手がかりによる自伝的記憶の無意図的想起と, 外的想起手がかりがない場合の展望記憶の自発的想起の研究を行い,それぞれの想起意識の性質を明らかにした。③ 5種類の想起意識(想起意図/想起努力/想起の自覚/回想・親近性/想起意識のない再認)を連続的に関係づけ,想起意識を全体的に捉える図式を提案した。