著者
伊東 健一 伴 祐樹 割澤 伸一
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.277-287, 2021-12-24 (Released:2021-12-24)
参考文献数
28

Wind displays are devices that enhance the presence of virtual reality (VR) by simulating realistic sensation of wind. However, certain wind displays require many wind sources because they reproduce fully physical wind directions. Methods to manipulate perceived directions of wind by cross-modal effects and realize wind displays with fewer wind sources have been proposed so far. We hypothesized that the visuoaudio-haptic cross-modal effect can enhance the effect of the manipulation. Thus we quantitatively investigated the effect of the congruent visual and audio information on the perceived wind directions. We present virtual images of flowing particles and threedimensional sounds of the wind as information to indicate “virtual” wind directions. The user study has shown that presenting both visual and audio information is significantly effective than presenting the audio or visual information alone. The median of absolute errors between the perceived wind directions and the virtual wind directions were 34.8° at most with the visual and audio information and the physical wind from front or behind.
著者
伊東 健 蝦名 真行
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.423-429, 2012-06-01 (Released:2013-06-01)
参考文献数
25
被引用文献数
1

抗酸化剤応答配列は親電子性物質による生体防御タンパク質の誘導を担う遺伝子制御配列である.転写因子Nrf2がこの配列に結合して親電子性物質応答を仲介することが発見されてからおよそ15年が経過するが,今やNrf2は細胞の酸化ストレス応答を担う主要な転写因子として認識されるに至り,これを標的にした治療薬開発も臨床試験の段階にまできている.ここでは,最近のトピックスも含めNrf2/Keap1応答経路について概説する.
著者
濵砂 良一 川井 修一 安藤 由起子 伊東 健治 倉島 雅子 西村 敬史 山口 隆正 吉村 誠 小林 とも子 村谷 哲郎 松本 哲朗
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.1-7, 2011-01-20 (Released:2015-04-06)
参考文献数
14
被引用文献数
3 1

Real-time PCR 法を用いてChlamydia trachomatis(クラミジア)およびNeisseria gonorrhoeae(淋菌)を検出するAbbott RealTime CT/NG assay(realtime 法:アボットジャパン)の有用性を,女性子宮頸管スワブ検体,女性初尿検体,男性初尿検体を用いて検討した.対象は北九州市内の産科・婦人科施設,泌尿器科施設,皮膚泌尿器科施設を受診し,子宮頸管炎または尿道炎が疑われた患者,女性88 名,男性100 名である.これらの検体をBD プローブテックET CT/GC(プローブテック:日本べクトン・ディッキンソン)と比較した.クラミジアに対する全検体の陽性一致率は97.1%(66/68),陰性一致率は99.0%(206/208),淋菌に対する全検体の陽性一致率は100%(33/33),陰性一致率は100%(243/243)であった.女性の子宮頸管スワブでは3 検体の不一致例が,男性初尿では1 検体の不一致例があった.女性初尿においては2 検査間の不一致例はなかったが,子宮頸管スワブと初尿との間にrealtime 法で3 症例,プローブテックで4 症例の不一致があった.realtime 法とプローブテックの不一致例のうち3 検体でアプティマCombo 2 クラミジア/ゴノレア(富士レビオ)による再検査を行い,すべて陽性であった.女性では子宮頸管スワブ,初尿のいずれかのうち2 つ以上の検査で陽性の場合,男性では初尿で2 つ以上の検査で陽性の場合,「真のクラミジア陽性」症例と仮定すると,realtime 法における子宮頸管スワブ,女性初尿,男性初尿の感度はそれぞれ94.4%,77.8%,97.4%であった.これに対しプローブテックではそれぞれ88.8%,77.8%,100%であった.淋菌に対する感度はいずれの検査でも100%であり,realtime 法は女性の子宮頸管スワブ,男性の初尿を用いると,淋菌,クラミジアに対してプローブテックと同等かそれ以上の有用性を示した.
著者
吉谷 優子 伊東 健太郎 石﨑 智子
出版者
日本赤十字北海道看護大学
雑誌
日本赤十字北海道看護大学紀要 = Journal of Japanese Red Cross Hokkaido College of Nursing
巻号頁・発行日
vol.17, pp.25-33, 2017-03

2011年6月、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(以下、「障害者虐待防止法」)が成立した。しかし残念ながら、障害者虐待防止法施行後も、障害者虐待事件の報道は絶えない。 そこで、日本の障害者虐待に関する文献を概観し、障害者虐待研究の実態を把握することで今後の課題を明らかにすることを目的に、研究を行った。 科学技術文献情報データベースJDreamⅢクイックサーチ機能を用いて、科学技術文献と医学薬学文献を、「障害者」と「虐待」で検索したところ、1975年から1988年までは文献がなく、最古のものは1989年の文献であった。2012年の障害者虐待防止法施行頃から2015年に絞って同様に検索したところ254文献であった。そのうち、被虐待者、虐待のリスクの高い人として児童に関心を寄せたものが204文献、高齢者に関心を寄せたものが17文献、障害者に関心を寄せたものが50文献、対象の記載や限定のないものが3文献であった。2012年からの4年間で、「障害者」と「虐待」のキーワードで254文献検索されたが、うち50文献のみが障害者虐待に関心を寄せたものであった。この50文献のうち、原著論文は10文献であった。そのうち5文献は、障害の種類や施設の種類等を絞らずに、社会全体で障害者虐待を防止し、早期発見したいとの観点から書かれていた。 虐待がまだ多い現状に鑑み、今後も障害者虐待に関する研究を行う必要があると考えられた。
著者
伊東 健
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

これまでの培養細胞での研究より,Nrf2は血管内皮細胞では抗炎症作用を示す一方でマクロファージではスカベンジャーレセプターであるCD36を発現誘導し酸化LDLの貪食を促進すると考えられており,Nrf2の動脈硬化症での役割は不明であった.そこでNrf2の個体レベルにおける動脈硬化症への関与を調べるために,動脈硬化症モデルマウスであるApoE遺伝子欠損マウス(ApoEKO)とNrf2遺伝子欠損マウスをかけ合わせることによりApoE::Nrf2遺伝子二重欠損マウス(DKO)を作成した.このDKOマウスに高脂肪食を12週間投与し,大動脈における動脈硬化巣の形成を脂肪染色法により解析した.ApoEマウスでは動脈硬化巣が形成されるのに対して,DKOマウスでは動脈硬化巣が出来にくいことが明らかになった.このことは動脈硬化症おいては血管内皮細胞のNrf2よりもマクロファージのNrf2が動脈硬化巣の形成に大きく関与していると考えられる.また,マウスマクロファージ培養細胞にNrf2誘導剤であるDEMを処理したところ,酸化LDLを取り込んだマクロファージのアポトーシスを抑制するAIM(apoptosis inhibitor expressed by macrophage)が誘導されることが明らかになった.Nrf2はマクロファージにおいて酸化LDLに対するCD36を介した貪食能だけでなく細胞のアポトーシスを制御することにより動脈硬化巣形成へ関与していることが示唆された.個体レベルでマクロファージにおけるNrf2の役割を明かにするために,DKOマウスにApoEKOマウスの骨髄を移植し,動脈硬化巣形成への影響を現在解析中である.今回の個体レベルでの研究により動脈硬化巣形成に対してはマクロファージにおけるNrf2の役割が重要であることが示された.