著者
馬 銘浩 吉村 誠
出版者
山口大学大学院東アジア研究科
雑誌
東アジア研究 (ISSN:13479415)
巻号頁・発行日
no.18, pp.289-303, 2020-03

中国六朝時代に発達した「閨怨詩」は『詩経』を源流とし、漢代の文学に対する経学思想から解放され、人間の内面を深めて行った実相と感応する文学的なとらえ方の中に成立する。それは劉勰の『文心雕龍』に代表される「詩学」とも言うべき理論の中で整備され、人間性が色濃く出た文学創作である。一方、それらの詩文が日本にもたらされ、『万葉集』にその足跡を見ることが出来る。ただ中国文学とは異なり、実質的な内容に自発的に表現が獲得されたのではなく、中国文学の思潮の中で表現が用いられたと言ってよい。従って文学的作為の中で「閨怨詩」の影響はあると指摘出来る。
著者
吉村 誠 葛 崎偉 中田 充
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は,頭に浮かぶイメージから的確な言語表現を見いだす「思考イメージの言語表現支援システム」を実現することを目的としており,以下のような技術の開発を行うものである.1)単語から連想語を導き出す機構を構築する.2)単語から文例を導き出すプロセスを実現する.3)1)と2)を統合することにより,「思考イメージの言語表現支援システム」を実現する.1)を実現するために,概念階層を持つ連想語辞書を構築した.また,2)のために毎日新聞社の新聞記事データを用いた文例DBを実装した.連想語辞書の構築にあたっては,基準辞書としてEDR電子化辞書を用い,その概念階層を利用して連想語を求める仕組みを構築した.その際,EDR電子化辞書の「関連概念」と,他の電子化辞書中の関連語,反義語などを登録できる機能を辞書システムに持たせることで,概念体系を横断した検索を実現した.文例DBでは,指定されたキーワードを含む文例を高速に検索する必要があるため,連想語辞書にある単語と文例データベース中の文例との間の対応表を作成し,全文検索を行う際の時間の短縮を実現した.さらに,キーワードを入力して,文例を提示する「思考イメージの言語表現支援システム」のプロトタイプを作成した.最後に,連想語辞書の妥当性を検証するために,50人程度の被験者に対してアンケートを行い刺激語から導き出された連想語が被験者にとって妥当であるかどうかを評価した.その結果,妥当な連想語が求められているものの,ある種の連想語についてはその妥当性に問題があることも判明した.また,刺激語・連想語から導き出した文例についてもその妥当性を検証するため,同様のアンケート調査を行った,その結果として,多くの場合妥当な文例が得られているものの,特定の場合において妥当性が低い文例が得られていることが明らかになった.
著者
籔内 宣博 外山 義隆 吉村 誠司 平林 達也 北本 靖子
出版者
公益社団法人 日本水道協会
雑誌
水道協会雑誌 (ISSN:03710785)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.2-15, 2019-03-01 (Released:2020-11-01)
参考文献数
26
被引用文献数
1

要検討及びその他農薬48物質について大阪市の水源である淀川水系及び浄水処理過程における実態調査を行ったところ、本市水源に要検討及びその他農薬が流入していることが確認された。また、そのオゾン、塩素及び粒状活性炭(以下、GAC)による処理性を調査したところ、オゾン処理及び塩素処理では分解しにくい物質が多く存在した。GAC 処理では、水温によらず一定の除去が期待できた。よって、オゾン処理と粒状活性炭処理を組み合わせることで、農薬類を効果的に除去できることが確認できた。
著者
濵砂 良一 川井 修一 安藤 由起子 伊東 健治 倉島 雅子 西村 敬史 山口 隆正 吉村 誠 小林 とも子 村谷 哲郎 松本 哲朗
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.1-7, 2011-01-20 (Released:2015-04-06)
参考文献数
14
被引用文献数
3 1

Real-time PCR 法を用いてChlamydia trachomatis(クラミジア)およびNeisseria gonorrhoeae(淋菌)を検出するAbbott RealTime CT/NG assay(realtime 法:アボットジャパン)の有用性を,女性子宮頸管スワブ検体,女性初尿検体,男性初尿検体を用いて検討した.対象は北九州市内の産科・婦人科施設,泌尿器科施設,皮膚泌尿器科施設を受診し,子宮頸管炎または尿道炎が疑われた患者,女性88 名,男性100 名である.これらの検体をBD プローブテックET CT/GC(プローブテック:日本べクトン・ディッキンソン)と比較した.クラミジアに対する全検体の陽性一致率は97.1%(66/68),陰性一致率は99.0%(206/208),淋菌に対する全検体の陽性一致率は100%(33/33),陰性一致率は100%(243/243)であった.女性の子宮頸管スワブでは3 検体の不一致例が,男性初尿では1 検体の不一致例があった.女性初尿においては2 検査間の不一致例はなかったが,子宮頸管スワブと初尿との間にrealtime 法で3 症例,プローブテックで4 症例の不一致があった.realtime 法とプローブテックの不一致例のうち3 検体でアプティマCombo 2 クラミジア/ゴノレア(富士レビオ)による再検査を行い,すべて陽性であった.女性では子宮頸管スワブ,初尿のいずれかのうち2 つ以上の検査で陽性の場合,男性では初尿で2 つ以上の検査で陽性の場合,「真のクラミジア陽性」症例と仮定すると,realtime 法における子宮頸管スワブ,女性初尿,男性初尿の感度はそれぞれ94.4%,77.8%,97.4%であった.これに対しプローブテックではそれぞれ88.8%,77.8%,100%であった.淋菌に対する感度はいずれの検査でも100%であり,realtime 法は女性の子宮頸管スワブ,男性の初尿を用いると,淋菌,クラミジアに対してプローブテックと同等かそれ以上の有用性を示した.
著者
吉村 誠
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.686-692, 2021-03-25 (Released:2021-09-06)
参考文献数
8

Sun Wukong 孫悟空, Zhu Bajie 猪八戒 and Sha Wujing 沙悟浄 were disciples of Sanzang Fashi 三蔵法師 in the Ming dynasty novel The Journey to the West 西遊記. Many mysteries remain regarding their roots. This article points out that some of the real disciples of Xuanzang 玄奘 (602–664) were their models.The model of Sun Wukong can be found in the Gaochang 高昌 native Ma Xuenchi 馬玄智 who delivered Xuanzang’s letter from Khotan 于闐 to Emperor Taizong 太宗 of Chang’an 長安, and in the exotic-looking attendant in Xuanzang’s portrait. The two may be the same person. He became a “monkey practitioner” 猴行者 in the Song dynasty novel The Narrative Story of Acquisition of Sūtras by Sanzang of the Great Tang Dynasty 大唐三蔵取経詩話 and a monkey-faced attendant in the painting of Acquisition of Sūtras by the Tang Monk 唐僧取経図 found in the Anxi Yulin Grottoes 安西楡林窟 during the same period.The model of Zhu Bajie is considered to be Xuanzang’s disciple Kuiji 窺基 (632–682). According to the Song Biographies of Eminent Monks 宋高僧伝, he traveled with women and food in carriages and was called the “Three Carriages Monk” 三車和尚. Given his image of greed and amorousness, he was fused with a boar (or pig) pulling the chariot of Marīcī 摩利支天 in The Journey to the West of the Yuan Dynasty 元本西遊記. In The Journey to the West, critical Edition by Yang Donglai 楊東来先生批評西遊記 of the Ming dynasty, he calls himself “General Carriage” 御車将軍, a subordinate of Marīcī.The model for Sha Wujing is the Great God 大神 dreamed by Xuanzang, when he was in distress in the desert. He was called “Shensha God” 深沙神 in the Song Dynasty novel The Narrative Story of Acquisition of Sūtras by Sanzang of the Great Tang Dynasty, but in The Journey to the West of the Yuan Dynasty he came to be known as “Sha Monk” 沙和尚. His level of divinity was demoted from god to monk because of the appearance of Zhu Bajie, which was modeled after Kuiji, and the image of Wŏnch’uk 円測 (613–696), a rival of Kuiji was superimposed.
著者
井上 博行 吉村 誠
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.349-356, 2011 (Released:2011-12-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1

The purpose of this study is that systems, which offer the music suitable for feelings of the user who is not only a room but also acting outdoors, are constructed. In this paper, it is tried that user's situations and activities, user's feelings and musical genres are related. Genres of music were chosen six genres of the pop music generally listened to well. And, rhythms with the feature of each genre were extracted, and 11 sample music only of the rhythm were made. Next, Kansei evaluation experiments were done to activity in seven situations including outdoor and indoor environments, and acquired data was analyzed by the correspondence analysis. The relation between the “place and action - feeling” and “musical genres” was shown as a result of obtaining. Also, we tried to construct a simple evaluation system using obtained result, and effectiveness was confirmed.
著者
吉村 誠
出版者
山口大学
雑誌
研究論叢. 人文科学・社会科学 (ISSN:02860589)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.46-36, 2007-01-31
著者
中田 充 葛 崎偉 吉村 誠
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

古典文学作品に書かれた手書き文字を対象とした文字認識手法を提案し,それに基づいた認識プログラムを試作した.本手法では,特徴グラフを用いて文字の構造を表現する.認識対象文字と認識用辞書に含まれる既知文字(辞書文字)の類似性を計算し,認識対象文字を最も類似性の高い辞書文字として認識する.次に,源氏物語中に書かれた文字を対象として評価実験を行った.その結果,一文字毎に切り出された文字を対象とした場合の認識率は76.6%であり,続け字を含む縦一行を対象とした場合の認識率は54%であった
著者
堀之内 達郎 副島 和彦 神田 実喜男 吉村 誠 福島 一雄 阪本 桂造 藤巻 悦夫
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.111-115, 1993

血管腫は, 良性腫瘍としては比較的多い腫瘍であるが, 筋肉内血管腫は比較的まれな腫瘍で, 臨床的に特徴的な所見に乏しく病変が深部にあることが多いため, 診断が困難である.今回我々は, 大腿中間広筋内にびまん性に発生した筋肉内血管腫を経験した.症例は, 28歳, 男性, 左大腿部腫瘤と疼痛を主訴に来院.左大腿部に8×6cmの弾性硬, 境界不鮮明で圧痛のある腫瘤を触知した.CT, MRIで同部に境界不明瞭な腫瘍陰影を認めた.血管造影では, 静脈相で不整な集積像を認めた.手術所見は, 中間広筋内に1~2cmの腫瘍を数個認め, 内容は暗赤色を呈しており, 一部正常組織を含めて一塊として摘出した.病理組織所見では, 筋肉内血管腫の混合型で主に海綿型を呈し, 一部に毛細管型を伴っていた.
著者
阿濱 志保里 平尾 元彦 吉村 誠
出版者
山口大学大学教育機構
雑誌
大学教育 (ISSN:13494163)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.30-35, 2012-03

本報告では4大学間教育・研究交流連絡協議会主催の4大学間(島根大学・山口大学・高知大学・愛媛大学)共同事業「学生リーダーズ・サマースクール」の実施報告を行う。また、事業終了後,サマースクール参加者によって山口大学で実践・実施された「新・山口明倫館~山口大学版リーダーズ・サマースクール~」の実践報告を行う。
著者
吉村誠 著
出版者
吉村誠
巻号頁・発行日
1918
著者
吉村 誠司 善光 龍哉 大津 嘉弘 金崎 竜一 重松 伸治 高瀬 茂弘 閨 正博
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 45 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.281-286, 2003-09-01 (Released:2017-08-18)

During the course of seeking for novel gluconeogenesis inhibitors, FR225659 and its four congeners were isolated from the fermentation broth of Helicomyces sp. No.19353. Series of NMR analysis allowed elucidation of their planar structures. The planar structure of FR225659 includes a novel acyl moiety, an unprecedented amino acid residue, 3-chloro-4-hydroxyarginine, and two unique amino acid residues, a 3-hydroxy-3-methylproline and a dehydrovaline. As all efforts to obtain crystals of 1 suitable for X-ray crystallography turned out to be in vain, a combination of chemical modification and spectroscopic methods was applied to elucidate the stereochemistry of 1. Acid hydrolysis followed by derivatization with chiral phthalic acid allowed X-ray crystallographic analysis of the proline analogue, which determined its stereochemistry to be (2S, 3R). Conformational analysis of 9 using ^<2,3>J_<CH> developed by Murata et. al. allowed assignment of the relative stereochemistry of the arginine analogue to be 2,3-erythro-3,4-threo. Then, the modified Mosher's method suggested that the absolute configuration of 4'-C is R, which was supported by NOE analysis of 1. The CD spectrum of 1 showed positive Cotton effect at 236nm, indicating an optical activity around the biphenyl axis between the quinoline and the phenol of 1. As the CD spectrum lacking clear Davydov split does not appear to be easy to translate, further elucidation of the axial chirality is now in progress. FR225659 family exerted potent inhibitory activities against glucagon-induced gluconeogenesis of rat primary liver cells, while they showed ten or more times less potent cytotoxicities against EL-4 cell line. As they do not suppress gluconeogenesis independent of glucagon, they should stop a signal pathway from glucagon. Diabetes patients are reported to produce more hepatic glucose than normal, and this leads to complications unless properly treated. Thus, FR225659 family can be drug candidates for diabetes to down-regulate the high blood glucose level of those patients. It is noteworthy that the hydroxyl group at position 3" plays important roles in both biological activities and solubility in various solvents.
著者
福田 竜三 荒川 涼 中田 充 葛 崎偉 吉村 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MSS, システム数理と応用 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.294, pp.41-46, 2011-11-10

筆者らはこれまでに,続け字を含む日本語文字列を対象とした,特徴グラフに基づいた文字認識手法を提案している.特徴グラフとは文字の構造を表現するグラフである.この認識手法では,既知文字の必須構造と同型となる認識対象文字列の特徴グラフの同型部分グラフを見つけることで認識対象文字列の部分領域を切り出し,その領域と既知の文字との間の類似度を求めることで文字を認識する.本稿では,文字幅が一定でない認識対象文字列に対する認識性能が良くないという従来手法の問題点を改善する手法を提案する.この手法では,部分領域を区切る際に,個々の文字の大きさをより正確に反映させる.次に認識実験を行い,従来手法の認識結果と比較することで改善手法の有効性を示す.
著者
内川 隆一 市川 真衣 河野 真友 坂井 美穂 吉村 誠人 大山 浩貴 鎌北 直実
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.7, pp.77-86, 2014-02

千葉県銚子市および茨城県神栖市内におけるペット飼養の実態並びに飼養者の意識を知る目的で平成23および24年の6月から7月にかけて千葉県銚子市内および茨城県神栖市内の学校に通う小学校5年生、中学校2年生、高校2年生を対象として「ヒトとペットに関するアンケート」を実施した。本報ではペットの飼養状況を中心にその結果を報告した。両市の80%以上の学童・生徒は動物に対して好意を抱いており、その40%が犬猫を、30%がその他の動物をペットとして飼養していた。また、現在ペットを飼っていない人もその半数以上がペットを飼いたいと思っていた。動物は嫌いだと答えた人の多くは動物に対して恐怖心を持っており、過去の動物による嫌な経験が一つの原因となっている可能性が指摘された。しかし、犬猫の健康に対する基本的理解度は低く、感染症や予防接種に対しても関心があまり高くないことが明らかとなった。また、現在犬猫を飼養している人においても、不妊・去勢手術に対する関心が低く、手術が行われたのは1/3程度であった。動物アレルギーが強く疑われる学童・生徒が少なからず存在し、息苦しさ、吐き気といった重い症状が現れた人も含まれていた。
著者
吉村 誠
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.235-241, 2010-12-20

1 0 0 0 斎〓の研究

著者
小林 正美 森 由利亞 吾妻 重二 二階堂 善弘 阿 純章 吉村 誠
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

研究代表者の小林正美は平成16年3月に調査した四川省綿陽・安岳・大足の摩崖道教造像に関する論文「金〓斎法に基づく道教造像の形成と展開-四川省綿陽・安岳・大足の摩崖道教造像を中心に」を作成し、さらに12月に四川省仁寿県牛角寨壇神岩の摩崖道教造像の調査を行い、論文の内容を補強した。また、小林は道教の斎法の原型である指教斎法の成立と構造に関する論文「道教の斎法儀礼の原型の形成-指教斎法の成立と構造」を作成した。本年度は研究期間の最終年度にあたるので、研究分担者はそれぞれ以下の報告論文を作成した。森由利亜 「清朝全真教と天師道儀礼の関係に関する覚え書き」吾妻重二 「宋代の景霊宮について-道教祭祀と儒教祭祀の交差」二階堂善弘 「『法海遺珠』の元帥神について-道教の〓・民間信仰の儀礼と元帥」「2003年度厦門・泉州寺廟調査報告」阿 純章 「受菩薩戒儀及び受八斎戒儀の変遷」吉村 誠 「曇無讖の菩薩戒-『菩薩地持経』の受戒作法を中心に」「四川省仏教道教調査旅行報告」また、「研究成果報告書」にはこれまでに入力した道教経典電子テキストと仏教経典電子テキストの目録を付録に載せた。