著者
佐藤 みほ香 杉本 恵子 伊藤 マモル
出版者
法政大学スポーツ研究センター
雑誌
法政大学スポーツ研究センター紀要 = Bulletin of Sports Research Center, Hosei University (ISSN:21879168)
巻号頁・発行日
no.37, pp.41-47, 2019-03

大学体育会アスリートを対象に摂取量を適切にコントロールしたプロテイン粉末の摂取が身体組成,運動機能および運動後の疲労感に及ぼす影響を明らかにすることを目的として,異なるプロテイン粉末を摂取する2つの被験者群における1ヵ月摂取後の身体組成,運動機能および運動後の疲労感の変化を栄養・食事指導の教育的観点から比較した。用いたプロテイン粉末は,アサヒ社製ディアナチュラアクティブ (DNA) および明治社製ザバスWHEY100 (WHEY100)であった。その結果,DNA群では摂取前後でミネラル量のみに有意な低下が認められ,WHEY100群では水分量,たんぱく量,ミネラル量,骨格筋量で有意な低下,体脂肪量で有意な上昇が認められた。また,健康関連QOL (HRQOL: Health Related Quality of Life) の指標であるSF36-v2アンケートの結果では,10項目中「FP (日常的役割機能;身体) 」「GH (全身的健康感)」「FP (活力)」「SF (社会的生活機能)」「RE (日常的役割機能;精神)」「MCS (精神的側面のQOL)」「RCS (社会的側面のQOL)」の7項目においてDNA摂取群の方が高得点を示した。その中でも「GH (全身的健康感)」では有意に高い値を認めた。以上のことから,DNAの摂取は本研究に協力した被験者の身体組成維持や健康関連QOL向上にWHEY100よりも貢献する可能性を示唆した。
著者
伊藤 マモル 小坂 博信 上岡 尚代 泉 重樹 和田 武真 藤野 大樹
出版者
法政大学体育・スポーツ研究センター
雑誌
法政大学体育・スポーツ研究センター紀要 = 法政大学体育・スポーツ研究センター紀要 (ISSN:21862842)
巻号頁・発行日
no.31, pp.13-23, 2013-03-31

本研究ではスポーツ選手の敏捷性を向上させるための手段を模索する観点から、シューズ内の滑りを抑制したソックス (Technical Grip Socks:以下、TS)の着用が敏捷性能力に及ぼす効果を検証した。被験者は大学体育会に所属するフェンシング選手男女12人、バスケットボール選手男女33人であった。測定項目は、反復横跳び、マルシェ・ロンペ、ステップ50、サークルドリブル、垂直跳びであった。TSと比較したソックスは市販のスポーツソックス (以下、NS)であった。測定はインターバル3分で4回実施し、TSとNSを1回ごとに履き替えさせた。その結果、TSの着用は、敏捷性を向上させ、疲労感が高まっている時であっても、敏捷性を低下させない可能性が示唆された。また、TSが有するトリプルサポート機能は足部に生じる傷害を予防する可能性が示唆された。しかし、TSの効果をより明確にするならば、被験者の条件設定や被験者が使用しているスポーツシューズを詳細に調べるとともに、サーフェイスおよび被験者のアライメントや足裏の接地状態などの特徴に関しても検討する必要性を認めた。
著者
佐藤 みほ香 杉本 恵子 森嶋 琢真 伊藤 マモル
出版者
法政大学スポーツ研究センター
雑誌
法政大学スポーツ研究センター紀要 = 法政大学スポーツ研究センター紀要 (ISSN:21879168)
巻号頁・発行日
no.36, pp.55-58, 2018-03-31

本研究は,大学野球選手における24 時間のエネルギー消費量をポジション別に検討することを目的とした。大学野球選手4 名(外野手,内野手,捕手,投手)を対象に,生活時間調査法を用いて生活活動(起床時から就寝時まで)および練習中におけるエネルギー消費量を算出した。エネルギー消費量の計算式にはWeir 1949. を用いた。その結果,24 時間のエネルギー消費量は投手(3449 kcal),捕手(3229 kcal),外野手(3156 kcal),内野手(2842 kcal)の順に高値を示した。以上の結果は,大学野球選手における 24 時間のエネルギー消費量はポジションで異なることを示すものである。したがって本研究から得られた知見は,野球選手の練習前後におけるエネルギー摂取を考える際には,ポジションの差を考慮する必要性があることを新たに示唆するものである。
著者
朝比奈 茂 Asahina Shigeru 伊藤 マモル Ito Mamoru 山本 利春 Yamamoto Toshiharu 中澤 史 Nakazawa Tadashi 泉 重樹 Izumi Shigeki 笠井 淳 Kasai Atsushi マクラーレン ジェイソン Mclaren Jason
出版者
法政大学体育・スポーツ研究センター
雑誌
法政大学体育・スポーツ研究センター紀要 (ISSN:21862842)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.55-62, 2012-03-31

In spite of an increasing use of elastic stockings in the field of sports, the paucity of reports on physiological and morphological responses to wearing elastic stockings prompted us to investigate it. The purpose of the present investigation was to clarify the physiological effects of wearing elastic stockings for sports on cardiorespiratory responses, peripheral circulation, leg circumference etc. during exercise. Data were collected through a questionnaire, which was then compared against previously reported results. The results of the questionnaire revealed that many of the subjects were amateur runners, who exercised as a hobby or for recreational purposes. In addition, many of the subjects have some experience using compression stockings, holding the view that it aids the recovery of fatigue, promotes blood circulation, and improves their competitive power. On the other hand, although elastic stockings increased suppression around the lower leg, physiological effects demonstrated no significant differences in cardiorespiratory responses or peripheral circulation. It is concluded that wearing elastic stockings for sports does not a large effect on respiratory responses to intense exercise in healthy young people. Questions still remain about the physiological role of elastic stockings, but at this stage, there is no alternative but to wait for future research.
著者
中澤 史 伊藤 マモル 山本 利春 泉 重樹 朝比奈 茂 笠井 淳 マクラーレン ジェイソン
出版者
法政大学体育・スポーツ研究センター
雑誌
法政大学体育・スポーツ研究センター紀要 = The Research of Physical Education and Sports, Hosei University (ISSN:21862842)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.29-34, 2012-03-31

The purpose of this study was to investigate the psychological effect by comparing changes in feelings and psychological condition before and after wearing the compression garment for sports. Two kinds of questionnaire investigations, Two-dimensional mood Scale and Psychological condition inventory, were executed for 50 non-athletes (35males and 15females) and 25 college athletes (21males and 4 females) before and after wearing the garment. The result was as follows. (1) Regardless of the non-athletes or the athlete, it was shown that the activation level, the stability level and the degree of comfort were improved, and a moderate arousal level to sports was obtained by wearing the garment. (2) It was shown that the anxiety level of athletes and non-athletes was reduced, and there was an effect of promoting mental stability to sports. In conclusion, by wearing the garment, the possibility of becoming one method of the lead into an appropriate psychological condition for sports was shown.
著者
上岡 尚代 橋本 和幸 伊藤 マモル 小西 由里子 山本 利春
出版者
了德寺大学
雑誌
了德寺大学研究紀要 = The Bulletin of Ryotokuji University (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.8, pp.129-135, 2014

スポーツ選手を取り巻く環境条件には,天候,温度,湿度,サーフェイスの性状,用具など多岐にわたり,環境要因が適した状態に保たれる事は選手の健康を守る意味でも重要である.本研究ではスポーツ用具を用いる競技においてAdenosine TriPhosphate(以下,ATPと言う.)ふき取り検査法を用いた用具の清浄度を測定し,市販消臭剤と,コンタクトレンズ洗浄液に使用される「ポリヘキサメチレンビグアニド(以下,PHMBと言う.)」の清浄効果を比較検証し,競技者の衛生管理教育の基礎資料とする事を目的とした.方法は,剣道,フェンシング,なぎなた,アメリカンフットボールの顔に使用する用具(以下,顔用具と言う.)と手に使用する用具(以下,手用具と言う.)を対象に市販消臭スプレー使用前後及び,PHMBの使用前後のATP量を比較した.結果は,消臭スプレーでは手用具のATP量が減少し,顔用具では変化がみられなかった.一方,PHMBの使用後は顔用具,手用具とも減少した.この結果から,PHMBの活用はスポーツ用具の衛生管理に有用と考えられ,簡易で効果的な衛生管理方法の示唆を与える結果が得られた.