- 著者
-
浅井 玲子
- 出版者
- 法政大学スポーツ研究センター
- 雑誌
- 法政大学スポーツ研究センター紀要 = Bulletin of Sports Research Center, Hosei University (ISSN:21879168)
- 巻号頁・発行日
- no.36, pp.51-54, 2018-03
本研究では,競技連盟主催の東京六大学野球ゼミナールの取り組みにおいて,大学スポーツの資源を活用し,学生がスポーツを支え,活性化する体験が,文部科学省が示す職業的発達や経済産業省が求める社会人基礎力の育成に寄与する可能性を検証することを目的とした。対象者は当該ゼミナールの1期生11 名であり,尺度として「改訂版社会人基礎力尺度」を使用し,2 年間の取り組みによって当該ゼミナールに参加しない大学生活と比較した場合に参加者がどのような力をつけることが期待されるか,「社会人基礎力」という視点から検証した。当該ゼミナールでの活動と,その他の大学生活での社会人基礎力獲得に対する期待を比較するために,回答結果を対応のあるt 検定を用いて分析した結果,ゼミナールの活動に参加した学生たちは,当該ゼミナールでの活動が社会人基礎力の獲得にポジティブな影響を与えると考えていることが示された。当該ゼミナールでの活動において,大学スポーツの現状,スポーツ界の現状を調査,分析し,企画の実現性を考慮するプロセスを経て提案を行うこと,また,自身の所属とは異なる大学の学生や多くの社会人との活動を通じて,社会人基礎力の獲得や向上への手応えを参加者が得ていることが示された結果であった。