著者
伊藤 彩乃 庄司 顕則 赤崎 洋哉 松前 満宏 山崎 旬 遊川 知久
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.347-350, 2017 (Released:2018-03-15)
参考文献数
20
被引用文献数
8 5

クゲヌマランは海岸のマツ林などに自生するとされる絶滅危惧種であるが,近年,埋立地などを中心に個体数が増加している。しかし,その生態については不明な点が多く,保全対策の検討が困難である。そこで,埋立地のシラカシ・タブノキ植栽林のクゲヌマラン群生地で野外播種試験を行い,クゲヌマランの種子発芽と初期成長を観察した。その結果,播種後 1年で 20 %近くの発芽率が確認され,複数の根が伸長し,長さ 3 cmまで成長した個体もみられた。同地で試験を行っているキンランと比較し,成長が早かった。埋立地の樹林環境が本種の発芽・成長に適していることから,都市部の植栽林がクゲヌマランの保全に貢献していると考えられる。
著者
伊藤 彩香 菊地 淑人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.385-388, 2023-03-10 (Released:2023-03-10)
参考文献数
3

本研究は、マンホールカードを事例とし、作成団体の視点を中心にカード作成・配布の実態とそれに基づく課題を明らかにすることを目的とするものである。そのため、2021年以前に作成された599作成団体795種類のマンホールカードを対象に、アンケート調査等により、(1)各団体の作成種類数・カード配布場所、(2)各団体のカード作成目的及び効果・課題等の認識、(3)カード受取者の居住地構成に関する分析を行った。一連の分析を踏まえ、作成・配布のプロセスにおいて観光に関する視点を導入・反映させていくことの重要性を指摘した。
著者
民上 真也 柴田 みち 梅澤 早織 久恒 靖人 鈴木 規雄 中村 祐太 伊藤 彩香 水谷 翔 大貫 理沙 穐山 雅代 栃本 しのぶ
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.11-15, 2022 (Released:2022-03-15)
参考文献数
8

新型コロナウイルス (COVID‐19) の世界的な蔓延に伴い, 人々は感染予防対策として新しい生活様式を強いられている. 医療の現場においては, 院内感染対策の徹底, 一般診療とCOVID‐19診療の両立など, 新たな医療体制の構築が求められるようになった. 聖マリアンナ医科大学病院では, 本邦での感染者の発生当初より「神奈川モデル」の高度医療機関および重点医療機関協力病院として多くのCOVID‐19症例を積極的に受け入れて治療を行っている. 院内においては, 救命病棟の改装, コロナ専用病棟への改築, 発熱外来の設置など, COVID‐19診療支援体制の構築に努めてきた. 院内での感染対策としては, 手指消毒, マスク着用, ソーシャル・ディスタンス確保, 黙食など遵守事項の徹底が求められた.NST活動は, 感染予防のため医療者間の接触を最小限にしたチームの再編成が求められ, カンファレンスや回診などの活動も制限された. 他の多くの施設においても, 特に第1波の時期においてはカンファレンスや回診などのNST活動は制限され, また, 院内勉強会や院外での講演会も中止を余儀なくされたため, 従来の形で栄養を学ぶ機会が失われた.
著者
東 哲典 蘭光 健人 庄司 顕則 伊藤 彩乃 赤﨑 洋哉 松前 満宏 山﨑 旬 遊川 知久 辻田 有紀
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.430-435, 2020-05-31 (Released:2020-07-28)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

クゲヌマランは絶滅危惧種であるが,近年,埋立地や公園など人工的に造成された緑地に多くの自生が確認されている。しかし,本種がなぜ造成地に定着することが可能になったのか,その原因は未だ明らかでない。本種は共生する菌類への栄養依存度が非常に強い部分的菌従属栄養植物で,特に種子の発芽は共生菌からの栄養供給が不可欠である。そこで本研究では,造成地に生育するどのような菌類が本種の種子発芽に関与し,定着を可能にしたかを明らかにするため,埋立地の植栽林にある自生地で野外播種試験を行い,得られた実生の共生菌を特定した。その結果,担子菌のイボタケ科に属する3種類の菌が本種の種子発芽に関与していることが明らかになった。これらの菌は,実生の成長段階,埋設した土壌深度や播種地点に関わらず検出され,種子発芽とその後の生育に重要な役割を果たしていると考えられた。イボタケ科は,ブナ科やマツ科樹木と共生する外生菌根菌である。植栽されたこれらの樹木とイボタケ科の菌類との間に安定した共生系が成立し,これらの菌を利用してクゲヌマランは造成地へ定着できたと推測される。
著者
庄司 顕則 伊藤 彩乃 赤崎 洋哉 松前 満宏 山崎 旬 遊川 知久
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.343-346, 2017 (Released:2018-03-15)
参考文献数
19
被引用文献数
7

キンランは里山に自生する絶滅危惧種である。今回,キンランが生育する埋立地において野外播種試験を行い, 2年間にわたって発芽と成長を観察した。その結果, 2年目により多くの発芽・成長個体が確認され,複数の根が伸長した個体もみられた。本種の生育地付近だけでなくブナ科が混生する周辺の植栽林で成長が確認されたことで,里山環境が失われつつある中,埋立地など都市部の植栽林が本種の保全に活用できる可能性が高まった。