著者
伊藤 智明 福本 俊樹
出版者
企業家研究フォーラム
雑誌
企業家研究 (ISSN:24340316)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.23-40, 2021-07-10 (Released:2022-08-20)
参考文献数
28

Engagement with an Entrepreneur and a ResearcherSecond-person Approach and Convivial Tools as Methods of Entrepre- neurial ResearchChiaki Ito and Toshiki FukumotoThe purpose of this paper is to explore qualitative methodology that enhances the viability and continuity of fieldwork that tracks entrepreneurs’ trial and error. Capturing the trials and errors of entrepreneurs requires second-person engagement with entrepreneurs and convivial tools. In this article, through examples of the author’s own fieldwork with an en- trepreneur and a researcher, we suggest that the knowledge creation system of manage- ment science can be used as convivial tools for forming and maintaining relationships.
著者
伊藤 智明
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.98-108, 2018-03-20 (Released:2018-06-18)
参考文献数
34
被引用文献数
2

本稿は,創業経営者による使用理論の省察と経営理念の制作に着目し,創業期のベンチャーにおける企業家学習の過程と成果をアクション・リサーチによって得られた経験的データに基づく事例分析で解明する.分析の結果,創業経営者は,自らの使用理論を省察することで,自己と従業員たちとの差異を認識し,経営理念を断続的に制作する中で,自らの使用理論とベンチャーの経営理念とを選り分けることが明らかになった.
著者
伊藤 智明 足代 訓史 山田 仁一郎 江島 由裕
出版者
日本ベンチャー学会
雑誌
日本ベンチャー学会誌 (ISSN:18834949)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.15-29, 2016-03-15 (Released:2020-09-12)
参考文献数
39
被引用文献数
1

本稿は、企業家による事業の失敗に対する意味形成プロセスとその成果を、省察的対話における語り直しとスキーマの更新に着目して解明することを目的とした探索的な単一事例研究である。ベンチャーの廃業前後の研究者との対話の逐語記録を分析対象とした継時的な分析の結果、二つのことが明らかになった。第一に、事業の失敗に対する意味形成過程における、企業家の批判的省察や危機の対処行動を促す他者の役割である。第二に、事業の失敗の原因に関する自責と他責の選り分け方の変更、および、他者の視線に気づきそれへ配慮できるようになったことが、意味形成過程の成果となっていたことである。これらから示唆されることは、事業の失敗に伴う負の感情を制御するための企業家の省察的実践の働きと、企業家の判断基準の変更を前提にした理論構築の必要性である。