著者
伊藤 陽司 山岸 宏光
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.43-53, 1996-01-25
被引用文献数
2

北海道東部,知床半島の硫黄山から羅臼岳を経て天頂山に至る稜線部には羅臼岳断層系と呼ばれる活断層が知られている.詳細な空中写真判読と航空機による空からの目視調査によって,半島先端域の知床岳の稜線部と半島中央域の知西別岳〜遠音別岳の稜線部に新たな活断層:知床岳断層系および知西別岳-遠音別岳断層系を見い出した.これら活断層は第四紀溶岩流や溶岩ドームの原面を変位させた断層崖,低断層崖,逆向き低断層崖および地溝で特徴づけられる.知床半島の活断層には特徴的な地質現象との関わりからみると,(1)地溝を形成する正断層群とこれから噴出した溶岩流・溶岩ドームやこれに沿う火口で特徴づけられる火山活動に関連したもの,(2)火山活動の痕跡が認められず,地震と関連ありそうなもの,そして(3)ランドスライド発生に関連したものの3つがある.
著者
伊藤 陽司
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.32-41_1, 1996-12-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

空中写真から, 645箇所のランドスライド地形を判読し, それらの分布, 形態, 規模や滑動方向の特徴, 地形, 地質との関係, 最近発生した斜面災害との関係を解析した。 “グリーンタフ” や凝灰岩薄層をはさむ頁岩を主とする新第三系分布地域には小規模なものが集中し, それらの多くは岩屑スランプの形態を示す流れ盤型地すべりである。地すべり多発地質である新第三系を覆ってキャップロック構造を形成する第四紀陸上溶岩類の周縁部には大規模なものが数多く存在し, それらは岩盤スランプ, 岩盤崩壊や岩屑なだれの形態を示す。第四紀成層火山体の山頂, 山腹にはその山容を大きく変える地すべり, 崩壊, 岩屑なだれやさまざまな規模の溶岩ドームの崩壊がある。ランドスライド地形の斜面では集中豪雨や地震に起因して古い滑動地塊の再滑動や滑落崖での新たな崩壊が発生しており, 防災上, 少なくとも住宅・道路に近接するランドスライド地形の斜面には注意が必要である。
著者
中村 大 川口 貴之 千葉 貴久 伊藤 陽司 渡邊 達也 山下 聡
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.132, no.1, pp.14-21, 2016-01-01 (Released:2016-01-16)
参考文献数
5
被引用文献数
1

In this study, we conducted a follow-up survey of brick cracking on a brick wall in the parking space of JR Kitami Station and installed temperature sensors on the surface of the brick wall in order to measure changes in the brick wall temperature during late winter. In addition, we attempted to reproduce the brick cracking observed on the brick wall by conducting an indoor freeze-thaw experiment. The field investigation confirmed that the brick cracking on the brick wall occurred on the south-facing wall in the period from the coldest season to late winter. It was also confirmed from the records of the measured surface temperatures of the brick wall that, even in winter, the bricks could thaw in daytime and re-freeze at night, depending on the weather, solar radiation, and depth of snow coverage. Furthermore, we were successful in reproducing the brick cracking observed on the brick wall in the parking space of JR Kitami Station in the indoor freeze-thaw experiment. Our experience outlined above has demonstrated that frost damage can occur on the brick wall at JR Kitami station by a mechanism caused by the phenomenon of closed-system freeze-thaw, which the authors propose.
著者
山岸 宏光 伊藤 陽司
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.1-9_1, 1993-09-15 (Released:2011-02-25)
参考文献数
15

筆者らは4万分の1空中写真判読により北海道全域で12, 843個の地すべり地形を認定し, その分布図を基礎に地質分帯を試みた。結果として, 19地質区に区分し, さらにつぎの4地質帯に要約できた;1) 火山岩地帯, 2) “グリーンタフ” 地帯, 3) 泥岩地帯, 4) 蛇紋岩- “緑色岩” 地帯。