著者
伊豆原 月絵 イズハラ ツキエ Tsukie IZUHARA
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.1, pp.40-48, 2011-01-31

本研究は、1700年代を中心に、1600年代中葉以降のフランス宮廷を中心とした欧州貴族の女性にみられる美意識を明らかにすることを目的とする。往時の女性に対する観察者の「美意識」については、図像資料や文献資料を基に論じた。文献資料からは、1600年代から1700年代初期までは、情感を表現する眼差しや表情を「美しい」としていたが、1700年代の中葉にかけて、次第に女性の外見に重きをおいた記述が増え、「豊かな胸」「見事な肩」「背が高い」などの外見的特徴が主な美の構成要素になっていく。 また、美しさを構成する要素は、「真直ぐ伸びた背中」、「高い胸」のデコルテと「なで肩」であり、それは、姿勢と体型に関係がみられることを、人体解剖学的見地より考察し、新しい視点を示唆した。
著者
伊豆原 月絵 イズハラ ツキエ Tsukie IZUHARA
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.2, pp.3-14, 2012-01-31

フランス宮廷では、18世紀になると、宮廷晩餐会用の女性の衣裳は、華やかさを増し、花紋様の重厚なブロケードに刺繍の装飾を重ね、さらにレースをあしらった豪華で装飾的な衣裳が好まれていた。一方、私的なサロンによる交流が広がるにつれ、公の衣裳の重厚さに対して、私的な衣装の美意識は、軽やかさが求められ、その美意識は、宮廷の衣裳にも反映していった。往時は、中国風庭園、家具、陶器、織物、衣裳など、アジア風のデザインが流行し、様々な事象にシノワズリーの影響がみられ、インド製の木版捺染や手描き更紗とともに、アジアから舶載された絣織の「シネ」は珍重され、フランスのみならず、欧州各国に染織技法とともにその紋様表現は、伝播していく。18世紀になると絣は、需要の拡大とともに発展し、宮廷女性衣裳の生地としてフランスで盛んに織られるようになった。 本論文では、神戸ファッション美術館の所蔵品のローブ・ア・ラ・フランセーズに用いられた絣織「シネ・ア・ラ・ブランシュ」の織物を復元することを目的に、往時のシネの製作技法について、アジアの絣の技法の調査を踏まえ比較検討を行う。
著者
伊豆原 月絵
出版者
日本シルク学会
雑誌
日本シルク学会誌 (ISSN:18808204)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.79-87, 2019 (Released:2019-03-12)
参考文献数
10
被引用文献数
1

The author conducted a restoration study of the 18th-century French court costume and is studying aesthetic sense and dyeing technique. Because costumes are being restored based on detailed research data such as composition data such as costume patterns and weaving techniques, weaving methods, etc. There is no previous study mentioning the reason such as silk costumes are lightweight. In this study, from the survey of textiles in the Rococo era of domestic and overseas museums, it was hypothesized that the texture properties of this court costume texture might be related to silkworm varieties, and for four years from 2012, after obtaining the Grants-in-Aid for Scientific Research, we restored court costumes from breeding of the original race of European silkworm variety. First of all, we bred Sevenne white of European silkworm cultivar, reeled the raw silk, weave a white cloth and made a dress. Next, again breeding it, restoring the fabric of Kasuri made of natural dyestuffs, making it into a court costume.These studies demonstrate that the characteristics of the court costume ‘light, three-dimensional form, and soft’ properties are attributable to the characteristics of the European silkworm cultivar Sevenne White, and due to differences in silkworm varieties. We clarified the importance of fiber properties and the aesthetic sense required in the Rococo era. The characteristic is clearly to have them as a result of the experiment, it became clear that the difference in the form of the dress is caused by the fiber characteristics of the silkworm variety.
著者
伊豆原 月絵 高木 麻里 澁谷 摩耶 齋藤 久美子 百武 真友美 イズハラ ツキエ タカギ マリ シブヤ マヤ サイトウ クミコ ヒャクタケ マユミ Tsukie IZUHARA Mari TAKAGI Maya SHIBUYA Kumiko SAITOU Mayumi HYAKUTAKE
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.85-94, 2010-01-29

大阪樟蔭女子大学と神戸ファッション美術館の学館協働事業として、神戸ファッション美術館の収蔵品について、平成19年度より18世紀のフランス宮廷衣装のドレスの織物・刺繍・装飾・縫製の復元を行っている。復元研究の最終目的は、第一次資料を基に、美意識を支えた縫製・構成技術、ドレスのフォルムから身体のフォルムを、また、染織の色彩と紋様から意匠や象徴性などを解明することで、往時の求められていた美意識を明らかにすることである。復元研究では、19世紀末以前の衣装を対象とする服飾美学、服装史、構成学の既往研究のほとんどが、美術館、博物館の展示ボディに着装されたドレス表面の計測結果や図像資料から、また、欧米の文献を基にパターン(構成図)作成を試み、復元製作をしているのが実情である。なぜなら、現存する歴史衣装は少なく、華やかなるロココ時代の宮廷衣裳にいたっては、日本のみならず世界でも数十点に満たない。したがって、第一次資料を基にした復元研究は、少ないのが現状である。このようなことを鑑み本論文では、復元製作において、最も重要な情報収集として、18世紀のドレスの文献調査に併せて、保存状態の優れた神戸ファッション美術館所蔵の18世紀に製作された女子のフランス宮廷衣裳を第一資料とし、計測調査(1着のドレスの計測した箇所は、10,000箇所以上)とその記録方法に重きを置き、第二次資料作成の方法について述べた。
著者
伊豆原 月絵
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.49-54, 2011-01-31

筆者は、神戸ファッション美術館との学館協同事業の一つとして、復元研究を行い、細部にわたって計測をした第一次資料を基に、第二次資料および構成図を作り、実物ドレスの制作を行った。 本論文では、18世紀中葉の衣服制作の技術的な変遷を解明するために、制作時期が、およそ10年離れているとされる2体の復元したドレスについて、裁断と縫製などの衣服制作技術について、比較検討を行った。 ドレスは、布地が手織りの織物で作られているため、縫製段階で、「ねじ曲げる」「折り目をずらす」などの工夫がされていた。例えば、腰の膨らみを強調するために、手織りの織物の特性である独特の打ち込みの甘さを用いて、「ねじり」を入れ縫うことにより、元に戻ろうとする糸の力を用いて、布地を押し上げ膨らみをもたせるなどの技術や、織り布を倹約するための「布テープ」によるほつれ止めの手法の発達などがあげられる。ドレスの復元制作の過程から、18世紀中葉の衣服製作の技術の変遷を考察した。
著者
伊豆原 月絵 高木 麻里 澁谷 摩耶 齋藤 久美子 百武 真友美
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集 (ISSN:18807887)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.85-94, 2010-01-29

大阪樟蔭女子大学と神戸ファッション美術館の学館協働事業として、神戸ファッション美術館の収蔵品について、平成19年度より18世紀のフランス宮廷衣装のドレスの織物・刺繍・装飾・縫製の復元を行っている。復元研究の最終目的は、第一次資料を基に、美意識を支えた縫製・構成技術、ドレスのフォルムから身体のフォルムを、また、染織の色彩と紋様から意匠や象徴性などを解明することで、往時の求められていた美意識を明らかにすることである。復元研究では、19世紀末以前の衣装を対象とする服飾美学、服装史、構成学の既往研究のほとんどが、美術館、博物館の展示ボディに着装されたドレス表面の計測結果や図像資料から、また、欧米の文献を基にパターン(構成図)作成を試み、復元製作をしているのが実情である。なぜなら、現存する歴史衣装は少なく、華やかなるロココ時代の宮廷衣裳にいたっては、日本のみならず世界でも数十点に満たない。したがって、第一次資料を基にした復元研究は、少ないのが現状である。このようなことを鑑み本論文では、復元製作において、最も重要な情報収集として、18世紀のドレスの文献調査に併せて、保存状態の優れた神戸ファッション美術館所蔵の18世紀に製作された女子のフランス宮廷衣裳を第一資料とし、計測調査(1着のドレスの計測した箇所は、10,000箇所以上)とその記録方法に重きを置き、第二次資料作成の方法について述べた。
著者
伊豆原 月絵
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.40-48, 2011-01-31

本研究は、1700年代を中心に、1600年代中葉以降のフランス宮廷を中心とした欧州貴族の女性にみられる美意識を明らかにすることを目的とする。往時の女性に対する観察者の「美意識」については、図像資料や文献資料を基に論じた。文献資料からは、1600年代から1700年代初期までは、情感を表現する眼差しや表情を「美しい」としていたが、1700年代の中葉にかけて、次第に女性の外見に重きをおいた記述が増え、「豊かな胸」「見事な肩」「背が高い」などの外見的特徴が主な美の構成要素になっていく。 また、美しさを構成する要素は、「真直ぐ伸びた背中」、「高い胸」のデコルテと「なで肩」であり、それは、姿勢と体型に関係がみられることを、人体解剖学的見地より考察し、新しい視点を示唆した。
著者
伊豆原 月絵
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.3-14, 2012-01-31

フランス宮廷では、18世紀になると、宮廷晩餐会用の女性の衣裳は、華やかさを増し、花紋様の重厚なブロケードに刺繍の装飾を重ね、さらにレースをあしらった豪華で装飾的な衣裳が好まれていた。一方、私的なサロンによる交流が広がるにつれ、公の衣裳の重厚さに対して、私的な衣装の美意識は、軽やかさが求められ、その美意識は、宮廷の衣裳にも反映していった。往時は、中国風庭園、家具、陶器、織物、衣裳など、アジア風のデザインが流行し、様々な事象にシノワズリーの影響がみられ、インド製の木版捺染や手描き更紗とともに、アジアから舶載された絣織の「シネ」は珍重され、フランスのみならず、欧州各国に染織技法とともにその紋様表現は、伝播していく。18世紀になると絣は、需要の拡大とともに発展し、宮廷女性衣裳の生地としてフランスで盛んに織られるようになった。 本論文では、神戸ファッション美術館の所蔵品のローブ・ア・ラ・フランセーズに用いられた絣織「シネ・ア・ラ・ブランシュ」の織物を復元することを目的に、往時のシネの製作技法について、アジアの絣の技法の調査を踏まえ比較検討を行う。
著者
片桐 正夫 石澤 良昭 上野 邦一 藁谷 哲也 畔柳 昭雄 重枝 豊 清水 五郎 伊東 孝 坪井 善道 重枝 豊 伊東 孝 畔柳 昭雄 坪井 善道 藁谷 哲也 石澤 良昭 上野 邦一 伊豆原 月絵 大山 亜紀子 小島 陽子 チェン ラター 加藤 久美子 長澤 紘人 木下 洋道 勝原 基貴 有川 慎一郎 ロス ボラット ブリュノ ダジャンス ブリーノ ブルギエ イム ソックリティ 三輪 悟
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

王道(幹線古道)の踏査、および沿道遺構の実測を含むデータの収集により、(1) 王道及び遺構の建築的編年指標から建造年代の確定、技術的特徴の解明、これによる地域別の差異、技術者集団の存在について、(2) 各道の整備の編年、役割についての考察(Bルートでは現タイピマーイへ、Cルートではプリア・ヴィヘア、現ラオスワット・プーなどへの聖地巡礼、Dルートでは鉄資源の確保や生産地を結ぶなど)が可能となった。