著者
YAMADA Naohumi IGUCHI Kakeru AGENO Yasuo 伏見 譲
出版者
日本生物物理学会
雑誌
生物物理化学 = Journal of Electrophoresis (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.S171-S171, 2008

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著者
伏見 譲 鈴木 美穂 西垣 功一
出版者
埼玉大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

1.進化分子工学において、ウイルス粒子は、遺伝子型と表現型が一つの結合体になっているので、表現型の評価が即遺伝子型の選択に結びつくため、クローニング操作なしに人為淘汰が行える。これを模擬する試験管無いプロセスとして、無細胞翻訳系でmRNAと新生タンパク分子が結合体となるような系(これを以下in vitroウイルスと呼ぶ)を開発しつつある。in vitroウイルスは、逆転写、PCR増幅、転写という、レトロウイルス様のライフサイクルで増殖する。mRNAと新生蛋白の結合法として、2つの方法を試みた。一つは、その蛋白に組み込まれたビオチン様ペプチドと、mRNAに付加されたアビジンとの結合による。もう一つは、mRNAをtRNAとみなすことができるように改変する方法である。このmRNAの3'末端CCAにシンテターゼを用いて、アミノ酸をチャージする事には成功した。2.進化分子工学は生命の起源のモデルと表裏一体をなす。われわれは、進化分子工学において、遺伝子型と表現型を対応づける戦略としてのウイルス型戦略が、細胞型戦略よりも進化速度の点で有利であることに着目した。RNAワールドから、蛋白質合成系が進化してくる機構として、in vitroウイルス様の生命体があったとするモデルを構築することに成功した。すなわち、RNAワールドに登場する最初のコード化された蛋白質はRNAレプリカーゼ(当然リボザイムである)の補因子に違いないが、その蛋白質補因子はそれがコードされているリボザイムRNAに結合していたとする。すると、RNA複製系と翻訳系が、速やかに安定に漸進的に共進化してくることが、コンピュータシミュレーションで明らかにされた。それは、ウイルス型メンバーを持つハイパーサイクルである。
著者
伏見 譲
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

耐熱性T7RNAポリメラーゼを用いて1.4Mトレハロース存在下で50℃の等温過程でDNA/RNAを増幅する系を構築した。この系で、A, T, Gの3塩基からなるランダム領域を含み3SR増幅機構をコードしたライブラリーを初期プールとして、適応度を比増殖速度とする自然淘汰型進化リアクターを運転した。勝ち残る配列はランダム領域がAT-richとなる傾向を示す。また、以前からしばしば観測された、より速い増幅機構であるRNA-Z増幅機構をコードした突然変異体が進化してくることはなかった。また、T7プロモータの50℃の最適配列をRNA-Z法進化リアクターを用いたin vitro selectionで求めた。37℃の野生型プロモータとハミング距離2だけ離れた配列であった。in vitro virusのゲノムに載せるべき初期ランダムライブラリーは、終止コドンを含んでいてはならず、また、対象に応じてアミノ酸組成が自由に設計できることが望ましい。DNA合成機を3台並列に運転してスプリット合成するMLSDS法は配列多様性が10^<16>に達する。このライブラリーの実際の合成物を複数種いろいろな評価関数で評価しその高品質なことを確認した。また、長鎖化法を検討した。人為淘汰型や自然淘汰型の進化リアクター中で、富士山型やNKモデル型などの適応度地形を山登りするダイナミクスを理論的に研究した。突然変異率と集団サイズで決まるゆらぎの効果を「進化温度(T)」というパラメターで表す。いずれの地形でも、Tが高いときは、歩行者は適応度(W)最大を目指すのではなく、「自由適応度(G)」の最大をめざすというリャプノフ関数Gを定義できる。また、獲得したシャノンの意味の情報量(情報のextent)以外に、ΔW/Tは獲得した適応度情報量(情報のcontent)、ΔG/Tは進化の過程で獲得した生命情報の量、という解釈ができることがわかった。以上を統合して、生存アルゴリズムを自動的に創出する人工生命というべき自律的に進化するin vitro virusを実体として構築するまでには至らなかった。