著者
堀越 和夫 鈴木 創 佐々木 哲朗 川上 和人
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.3-18, 2020-04-23 (Released:2020-05-16)
参考文献数
58

小笠原諸島の絶滅危惧種アカガシラカラスバトColumba janthina nitensの個体数は非常に少なく,その個体群の存続には侵略的外来種であるネコの捕食圧が大きく影響していると考えられていた.このため,諸島内の最大の有人島である父島では,2010年から島内全域でネコの捕獲が行われ,2013年頃にはその個体数が当初の10分の1以下になったと考えられている.また,集落域では飼いネコの登録や不妊去勢の推進が行われ,ノラネコの個体数も減少した.そこで,ネコ対策の効果を明らかにするため,一般からの目撃情報に基づき2009年から2017年におけるアカガシラカラスバトの個体数と分布の推移を明らかにした.その結果,個体数は夏期/冬期,山域/集落域を問わず,2012年から2013年に大幅な増加が見られた.また分布域は2009年には山域や集落の一部に限られていたが,2017年には集落域の8割および山域の6割まで拡大し,繁殖域は当初の分布面積の2倍に拡大した.これら個体数の増加,分布域と繁殖域の拡大時期は,山域でのネコ個体数が最少となり,また集落域の野外の個体数も減少した時期であった.一方,2014年以後はハト個体数の増加傾向が見られなくなっているが,この時期は山域のネコの個体数が回復傾向にある時期と重なっていた.以上のことから,アカガシラカラスバトの集団の回復にはネコ対策が効果的であると言え,今後トラップシャイ個体の効率的な捕獲手法を開発する必要がある.また,この鳥は頻繁に島間移動するため,他島での対策も進める必要がある.
著者
佐々木 哲朗 堀越 和夫
出版者
首都大学東京
雑誌
小笠原研究 (ISSN:03868176)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.155-171, 2008-03

南硫黄島周辺海域において、貝類、甲殻類および魚類の動物相調査を行った。同定作業は継続中であるが、現在までに27科53種の貝類、4科9種の甲殻類、22科63種の魚類を確認した。確認種は南硫黄島からの新記録種を多数含むが、多くは小笠原群島にも分布する種で占められていた。
著者
成瀬 貫 藤田 喜久 佐々木 哲朗 山田 鉄也
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
no.38, pp.87-90, 2014

小笠原諸島父島の二見湾湾口部に位置する口之瀬沖水深46mより、エクレアナマコ1個体が発見されたので報告する。これは本種の小笠原諸島初記録であり、また北半球においては沖縄島に次ぐ記録である。
著者
佐々木 哲朗 立川 浩之 向 哲嗣 栗原 達郎
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究 (ISSN:03868176)
巻号頁・発行日
no.41, pp.41-73, 2014

小笠原諸島海域の保全管理に資するため、兄島と父島の浅海域、海岸域および河川下流域において軟体動物相の現況調査を実施した。調査では5綱22目78科153属247種の軟体動物が記録された。記録種のうち40種は小笠原諸島からの初記録であった。To contribute to the conservation management, we investigated molluscan fauna of marine and freshwater habitats in Anijima and Chichijima Island. A total of 247 species of molluscs (153 genera of 78 families of 22 orders) were recorded on the basis of photographs. 40 species were considered to be new records from Ogasawara Islands.