著者
高橋 光彦 笠原 敏史 水村 瞬 永谷 祐美子 佐藤 貴一
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.A0616-A0616, 2006

【目的】<BR>端坐位での静的・動的側方傾斜刺激に対する姿勢反応を明らかにする.<BR><BR>【方法】<BR> 静的側方傾斜刺激:被験者は健康な男子大学生9名であり,平均年齢22.1±1.9歳,平均身長173.1±2.4cm.被験者に電動ティルトテーブル上で,上肢は胸の前に組ませ,下肢は股関節内外転中間位,骨盤は中間位になるように端座位になり、傾斜角度は0°から5°間隔で7つの肢位(30°まで)で実施し,それぞれの角度で10秒間坐位保持を実施し、頸部,体幹の傾斜角度を解析する.<BR> 動的側方傾斜刺激:被験者は男子大学生6名であり、平均年齢23.2±2.2歳.被験者には全身黒タイツを着用し、反射マーカーを付けて電動ティルトテーブルに座り、上肢を胸の前で組ませ股関節内外転中間位・骨盤直立位姿勢をとらせ、連続的に右側へ坐面傾斜角度を0°~20°増加させ、開眼・閉眼状態でそれぞれランダムに実施し、頸部,体幹の傾斜角度を解析する.<BR><BR>【結果】<BR> 静的側方傾斜刺激:頸部,体幹のそれぞれの座面傾斜角度における0°との比較では,座面傾斜角度の増加に対して頸部,体幹傾斜角度も増加した.<BR>頸部,体幹のそれぞれの角度における左右の傾斜での比較では,座面傾斜角度が増加しても左右の頸部,体幹それぞれの傾斜角度で有意差はみられなかった.傾斜角度が増加するにつれて,頸部の傾斜角度は右傾斜がより増加する傾向があり,体幹は左傾斜がより増加する傾向にあった.<BR> 動的側方傾斜刺激:頸部は、開眼時・閉眼時とも坐面傾斜角度8°付近までは坐面傾斜角度が増加するに伴い頸部傾斜角度も急激に増加していき、8°以上は緩やかな増加となり、18°付近で傾斜角度は減少した。<BR><BR>【考察】<BR> 静的側方傾斜刺激:頸部,体幹傾斜角度は20°では全てで有意差があり,20°付近から頸部,体幹の立ち直り(頸部,体幹を水平に保つこととする)よりもバランス反応が優位になり,姿勢保持のために頸部,体幹傾斜角度が増加していると考えられる。<BR> 動的側方傾斜刺激:各坐面傾斜角度で頸部傾斜角度と体幹傾斜角度の有意差はなく、両者とも8°付近で最大となりその後18°付近から減少していることから、同様のパターンで傾斜していると言える。これは頸部・体幹の反応は連動して行われていることを示唆している。<BR><BR>【まとめ】傾斜反応において、立ち直り反応は出現するが、傾斜角度を増加させると、立ち直り反応を抑制しバランス反応が優先されるよう姿勢変化することがわかった。
著者
木村 健 浅香 正博 勝山 努 川野 淳 斉藤 大三 佐藤 貴一 下山 孝 杉山 敏郎 高橋 信一 服部 隆則 藤岡 利生
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.96, no.2, pp.199-207, 1999-02-05
被引用文献数
17

第二次<I>Helicobacter pylori</I>治験検討委員会が改訂した治験ガイドラインの主な内容は,以下の通りである.<BR>I.除菌の利点と問題点: 利点は消化性潰瘍の再発抑制効果,そして低悪性度胃MALTリンパ腫の改善,かつそれらの医療経済効果である.問題点は薬剤耐性の獲得,および除菌後に新たに生じる疾患があり得ることである.<BR>II.除菌治験の適応疾患: 除菌治験を速やかに行うべき疾患は,現在のところ,胃・十二脂腸潰瘍と低悪性度胃MALTリンパ腫である.<BR>III.除菌薬: 酸分泌抑制薬+抗菌薬2剤の3剤併用療法をfirst-line therapyとする.<BR>IV.存在診断と除菌判定: 存在診断は培養,鏡検,ウレアーゼ試験にて行う.除菌判定は,培養と鏡検に加えて<SUP>13</SUP>C尿素呼気試験を必須とし,血清学的検査法とPCR法を削除する.除菌判定の時期は,治療終了後6~8週とする.
著者
伊藤 公訓 佐藤 貴一
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.2433-2440, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
43

本邦における消化性潰瘍の2大要因は,H. pylori感染,およびNSAIDsなどの薬剤服用である.従って,前者に対してはH. pylori除菌治療が,後者に対しては薬剤服用中止が根本的な治療法になる.薬物治療ではプロトンポンプ阻害薬などの酸分泌抑制が重要な役割を演じることに異論の余地はないが,近年多くの臨床的エビデンスが蓄積されてきた.とりわけ,抗血栓薬服用者に対しての出血性潰瘍予防について多くの臨床研究結果が示されており,それらに基づく効果的な治療戦略の再構築が求められる.一方,特発性消化性潰瘍は近年報告例が増えており,有効な治療法確立が急務となっている.