著者
佐々木 浩子 木下 教子 高橋 光彦 志渡 晃一
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.9-16, 2013

大学生の睡眠の質と生活習慣及び精神的健康との関連を明らかにすることを目的として,北海道及び東北の大学生に「生活習慣と精神的健康状態に関する調査」を実施し,男女差及び睡眠障害の有無による比較及び検討を行った。 その結果,男子に比較して,女子では起床時刻が早く,食事の規則性などが良好で,喫煙や飲酒の習慣のある者や運動習慣のある者の割合が低いものの,ストレスの自覚の割合が高く,睡眠時間が短いなど男女の生活習慣に有意な差があることが明らかとなった。しかし,睡眠の質の評価としたPSQI-J の総得点および総得点により群分けした睡眠障害の有無の割合では男女差は認められなかった。 睡眠障害の有無による比較結果から,睡眠に関して問題をもつ者は,定期的運動習慣のある者の割合が低く,喫煙習慣のある者の割合が高く,遅い就床時刻,短い睡眠時間,長い入眠時間で,食生活に対する意識も低いなど,生活習慣においても良好な状態になく,同時に精神的な問題も抱えていることが示唆された。また,睡眠に関する問題は男女差なく,大学生の多くが共通して抱えている問題であることが明らかとなり,睡眠と生活のリズムに関する教育の必要性があるとの結論を得た。
著者
笠原 敏史 鳥井 勇輔 高橋 光彦 宮本 顕二
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.523-528, 2009 (Released:2009-09-24)
参考文献数
20
被引用文献数
3 3

〔目的〕段差昇降時の支持脚の大腿四頭筋(内側広筋と外側広筋)と床反力の関係について筋電図計と床反力計を用いて測定した。〔対象〕若年健康男性8名とした。〔結果〕内側広筋と外側広筋の筋活動は昇段動作で最も大きな値を示していた。内側広筋と外側広筋の筋活動の比率は歩行に比べ段差昇降動作で大きな値を示し,内側広筋の活動の関与を高めていた。垂直方向の床反力の値は動作間で差はみられなかったが,昇降動作時の外側方向の分力は歩行に比べ有意に低い値を示していた。内側方向の分力に動作間の差がみられなかったことから,相対的に内側方向への力が増大し,内側広筋の筋活動の増大に関連している可能性が示唆される。〔結語〕段差昇降では身体の内外側方向の安定化に内側広筋の活動が寄与していることが明らかとなり,昇降動作の理学療法ではこれらのことに考慮して行う必要がある。
著者
梶本 寿洋 長勢 大介 秦 菜苗 坂上 未咲 高橋 由依 安住 昌起 吉川 文博 高橋 光彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.AbPI1084, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 ブリッジ動作は臨床で頻繁に使用される一般的な理学療法プログラムのひとつである。これまで下肢の肢位や負荷条件の違いによる検討が多数報告されているが、十分に解明されているとは言えない。両脚・片脚にて膝屈曲70~130°の角度変化では膝屈曲角度が増すにつれて大殿筋の筋活動量は増加し、ハムストリングス(Ham)では減少したとされる。膝屈曲の参考可動域は130°とされるが、実際にはさらに屈曲可能である。今回、参考可動域以上に膝を屈曲した場合のブリッジ動作を筋電図学的に検討し、筋力トレーニングとして有効かを検討した。【方法】 対象は健常成人男性8名で、平均年齢25.5歳、平均身長172.6cm、平均体重65.8kgである。試行動作は、両脚膝屈曲130°位ブリッジ動作(両膝130°)、両脚膝屈曲150°位ブリッジ動作(両膝150°)、片脚膝屈曲130°位ブリッジ動作(片膝130°)、片脚膝屈曲150°位ブリッジ動作(片膝150°)の4種目で、終了姿勢は股関節伸展0°位とした。 筋活動量は表面筋電計を用いて計測し、大殿筋(GM)、大腿二頭筋(BF)、半腱様筋(ST)、脊柱起立筋(ELS :L4レベル)、中殿筋(Gm)、外側広筋(VL)の計6筋から導出した。測定は終了姿勢で3秒間の筋電図測定を各3回実施し、計測開始から2秒間の筋電積分値(IEMG)を算出し3回の平均値を求めた。また、徒手筋力検査法における正常段階でのIEMGで正規化し、各筋の%IEMGを求めた。統計学的処理は一元配置分散分析後に多重比較を行い、有意水準を5%未満で検討した。【説明と同意】 対象者には本研究の趣旨および目的を説明し、同意を得て行った。【結果】 筋活動量は、GMで両膝130°・150°、片膝150°で21.5%・21.2%、22.2%であった。片膝130°は47.5%とその他と比べ有意に増加した。BFは両膝130°・150°で18.5%・12.3%、片膝130°・150°は37.3%・32.8%であり、両脚・片脚ともに130°に比べ150°で活動量が低かった。また、両膝130°と片膝130°、両膝150°と片膝130°・150°に有意差を認め、両脚ブリッジ動作に比べ、片脚ブリッジ動作が有意に高値を示した。STでは両膝130°・150°は14.5%・9.3%、片膝130°・150°は24.9%・21.6%であり、BFと同様に両膝150°に比べ、片脚でのブリッジ動作が有意に高値を示した。ELSの筋活動量は60.5%~63.6%間で、全てで有意差はなかった。Gmは両膝130°・150°は19.8%・14.8%、片膝130°・150°は50.6%・54.5%で両脚ブリッジ動作に比べ、片脚ブリッジ動作が有意に高値を示した。VLでは両膝130°・150°は5.1%・15.0%、片膝130°・150°は24.3%・65.7%で片膝150°が両膝130°・150°に比べ有意に高値を示した。【考察】 膝の角度変化と作用する筋に特異性が認められた。片膝130°はGMが他の肢位に比べ有意に増加したが、片膝150°では増加しなかった。このときVLで筋活動量が増加した。膝屈曲130°位では下腿長軸が頭側へ傾斜し、ブリッジ活動で足底を床に押し付けるとHamによる膝屈曲が生じる。これに対し、膝屈曲150°位では足部が殿部に近づき下腿長軸が尾側へ傾斜する為、膝においては大腿四頭筋による膝伸展が生じる。このことから膝屈曲130°と150°では主動作筋と拮抗筋が逆転する現象が起こり、目的動作の遂行に対する運動特性が変化すると考える。 ELSは両脚・片脚の膝屈曲70~130°で、膝の角度変化はGMとHam間で比率が変化し、体幹筋活動に影響しないとされる。今回の結果も60.5%~63.6%の範囲で同様の結果が得られた。両膝90°でELSは37.7%MVCであったと報告がある。筋電位と発揮筋力には直線関係があり、30~40%MVC負荷で筋力増強が得られるといわれる。ELSは膝の角度に影響されず、臥床を強いられる術後や虚弱高齢者に対して簡便に行える筋力トレーニング方法と言える。 Gmは片脚で著しく増加し、骨盤固定に対する股内旋作用が高まった為と考える。股外転筋は骨盤の側方安定性に重要であり、高齢者の歩行安定性に関連がある。今回の結果では片脚で50.6%・54.5%であり股外転筋のCKC筋力トレーニングとして活用できると考える。【理学療法学研究としての意義】 片脚ブリッジ動作は膝を過度に屈曲するとGMの活動量が低下し、筋力増強としての負荷条件を満たせないことが示唆される。また、膝屈曲150°位ではVLの高い筋活動が観察され、床からの立ち上がりに必要となる膝深屈曲位からの膝伸展筋力トレーニングとして活用できる可能性を有している。ELSは膝屈曲角度に影響されず筋力増強の負荷が得られ、臥床を強いられる場合でも簡便な筋力トレーニングとして有用であると考える。
著者
星文彦 山中 雅智 高橋 光彦 高橋 正明 福田 修 和田 龍彦
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.43-48, 1992
被引用文献数
16

椅子からの立ち上がり動作の運動学的解析を行い, 各筋群の機能的役割を考察した。計測方法:ビデオ, 床反力計, 表面筋電図, 及び殿部の離床を記録するためのマットスイッチ(自作)を用いて椅子からの立ち上がり動作を記録した。またビデオ, 床反力計, 表面筋電図は自作のトリガー発信器を用い同期記録した。分析結果:床反力は, 動作開始直後下降, その後急上昇し, 姿勢及び重心位置の変化を忠実に反映していると思われた。またその時の筋活動から立ち上がり動作開始時に体幹を前傾させることと重心位置を前下方へ移動させる原動力となっている筋群として縫工筋, 大腿直筋さらに前脛骨筋が重要な役割を果たしていると考えられた。
著者
高橋 光彦 笠原 敏史 水村 瞬 永谷 祐美子 佐藤 貴一
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.A0616-A0616, 2006

【目的】<BR>端坐位での静的・動的側方傾斜刺激に対する姿勢反応を明らかにする.<BR><BR>【方法】<BR> 静的側方傾斜刺激:被験者は健康な男子大学生9名であり,平均年齢22.1±1.9歳,平均身長173.1±2.4cm.被験者に電動ティルトテーブル上で,上肢は胸の前に組ませ,下肢は股関節内外転中間位,骨盤は中間位になるように端座位になり、傾斜角度は0°から5°間隔で7つの肢位(30°まで)で実施し,それぞれの角度で10秒間坐位保持を実施し、頸部,体幹の傾斜角度を解析する.<BR> 動的側方傾斜刺激:被験者は男子大学生6名であり、平均年齢23.2±2.2歳.被験者には全身黒タイツを着用し、反射マーカーを付けて電動ティルトテーブルに座り、上肢を胸の前で組ませ股関節内外転中間位・骨盤直立位姿勢をとらせ、連続的に右側へ坐面傾斜角度を0°~20°増加させ、開眼・閉眼状態でそれぞれランダムに実施し、頸部,体幹の傾斜角度を解析する.<BR><BR>【結果】<BR> 静的側方傾斜刺激:頸部,体幹のそれぞれの座面傾斜角度における0°との比較では,座面傾斜角度の増加に対して頸部,体幹傾斜角度も増加した.<BR>頸部,体幹のそれぞれの角度における左右の傾斜での比較では,座面傾斜角度が増加しても左右の頸部,体幹それぞれの傾斜角度で有意差はみられなかった.傾斜角度が増加するにつれて,頸部の傾斜角度は右傾斜がより増加する傾向があり,体幹は左傾斜がより増加する傾向にあった.<BR> 動的側方傾斜刺激:頸部は、開眼時・閉眼時とも坐面傾斜角度8°付近までは坐面傾斜角度が増加するに伴い頸部傾斜角度も急激に増加していき、8°以上は緩やかな増加となり、18°付近で傾斜角度は減少した。<BR><BR>【考察】<BR> 静的側方傾斜刺激:頸部,体幹傾斜角度は20°では全てで有意差があり,20°付近から頸部,体幹の立ち直り(頸部,体幹を水平に保つこととする)よりもバランス反応が優位になり,姿勢保持のために頸部,体幹傾斜角度が増加していると考えられる。<BR> 動的側方傾斜刺激:各坐面傾斜角度で頸部傾斜角度と体幹傾斜角度の有意差はなく、両者とも8°付近で最大となりその後18°付近から減少していることから、同様のパターンで傾斜していると言える。これは頸部・体幹の反応は連動して行われていることを示唆している。<BR><BR>【まとめ】傾斜反応において、立ち直り反応は出現するが、傾斜角度を増加させると、立ち直り反応を抑制しバランス反応が優先されるよう姿勢変化することがわかった。
著者
星 文彦 山中 雅智 高橋 光彦 高橋 正明 福田 修 和田 龍彦
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.43-48, 1992-01-10 (Released:2018-10-25)
被引用文献数
17

椅子からの立ち上がり動作の運動学的解析を行い,各筋群の機能的役割を考察した。計測方法 : ビデオ,床反力計,表面筋電図,及び殿部の離床を記録するためのマットスイッチ(自作)を用いて椅子からの立ち上がり動作を記録した。またビデオ,床反力計,表面筋電図は自作のトリガー発信器を用い同期記録した。分析結果 : 床反力は,動作開始直後下降,その後急上昇し,姿勢及び重心位置の変化を忠実に反映していると思われた。またその時の筋活動から立ち上がり動作開始時に体幹を前傾させることと重心位置を前下方へ移動させる原動力となっている筋群として縫工筋,大腿直筋さらに前脛骨筋が重要な役割を果たしていると考えられた。
著者
佐々木 浩子 木下 教子 高橋 光彦 志渡 晃一
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 = Bulletin of the Northern Regions Academic Information Center, Hokusho University (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.9-16, 2013

大学生の睡眠の質と生活習慣及び精神的健康との関連を明らかにすることを目的として,北海道及び東北の大学生に「生活習慣と精神的健康状態に関する調査」を実施し,男女差及び睡眠障害の有無による比較及び検討を行った。 その結果,男子に比較して,女子では起床時刻が早く,食事の規則性などが良好で,喫煙や飲酒の習慣のある者や運動習慣のある者の割合が低いものの,ストレスの自覚の割合が高く,睡眠時間が短いなど男女の生活習慣に有意な差があることが明らかとなった。しかし,睡眠の質の評価としたPSQI-J の総得点および総得点により群分けした睡眠障害の有無の割合では男女差は認められなかった。 睡眠障害の有無による比較結果から,睡眠に関して問題をもつ者は,定期的運動習慣のある者の割合が低く,喫煙習慣のある者の割合が高く,遅い就床時刻,短い睡眠時間,長い入眠時間で,食生活に対する意識も低いなど,生活習慣においても良好な状態になく,同時に精神的な問題も抱えていることが示唆された。また,睡眠に関する問題は男女差なく,大学生の多くが共通して抱えている問題であることが明らかとなり,睡眠と生活のリズムに関する教育の必要性があるとの結論を得た。
著者
安井 夏生 高田 信二郎 松井 好人 高橋 光彦 二川 健 谷口 寿章
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

<家兎実験>家兎脛骨を用いて骨延長実験を行い、術直後よりbisphosphonate(minodronate)を腹腔内投与し、延長仮骨における骨吸収を抑制した。また延長終了時に仮骨内にFibroblast Growth Factor(bFGF)などの骨成長因子を局所投与し、骨癒合に及ぼす影響を観察した。それぞれの実験でテトラサイクリン2重標識を行い、骨形態計測にて延長仮骨のリモデリングを観察した。対照群(生理食塩水投与群)では延長仮骨は典型的な3層構造を呈したが、bisphosphonate投与群では骨吸収層(骨改変層)が消失し、延長仮骨は骨透明層とそれをはさむ骨硬化層の2層構造を呈した。FGF投与群では骨癒合が有意に促進された。骨形態計測によるとbisphosphonate投与群では延長仮骨での骨吸収が著明に抑制されているが、骨形成は対照群と比べて差が無かった。FGF投与群では骨形成が著明に充進していた。DEXAおよびp QCTで延長仮骨の骨密度を測定したところ、bisphosphonate投与群もFGF投与群も対照群に比して有意に高い骨密度を示し、結果的に骨癒合期間の短縮が見られた。延長終了後3週間で抜釘し、3点曲げ試験にて延長仮骨の強度測定を行った結果、bisphosphonat投与群の仮骨はコントロール群の仮骨に比して有意に高い骨強度を示した。以上の結果から骨延長における骨吸収の抑制と骨形成の促進は、ともに延長仮骨の骨癒合を促進し、結果的に治療期間を短縮させると結論した(Bone 2006印刷中)。<マウス実験>マウス下腿骨を延長するために小型のリング型創外固定器を独自に開発した。このシステムの確立により遺伝子改変動物の骨延長が可能となった。マウスでも延長仮骨は中央にfibrous interzoneを有する層状構造をとり、延長を停止すると速やかに骨癒合が完成した。またbisphosphonate投与によりマウスでもリモデリングが抑制され、骨癒合が促進される傾向にあった。骨延長に伴う下腿三頭筋の長さや質量の変化を計測したところ、延長量に比例して両者は増加することが分かった。ただし筋肉の断面積は延長中いったん減少し、延長を停止すると元にもど回復する傾向がみられた。Chondromodulineやosteoactivinのノックアウトマウスやトランスジェニックマウスを用いて行った骨延長の実験結果については論文作成中である。